2022/02

今回は補助金とは違う角度から、思いがけずお金が増えてしまうという話です。テレビにあった「徳川埋蔵金」のようなあるある詐欺?ではなく、ガッチリもらえます。

これに気がついて知っている人は知っていますが、あまり大声で言うようなことでもないので、記事にはならないのでしょう見かけたことがありません。ですから、買う前に気づく人はあまりいないかもしれません。ただ、違法なことをしているわけではないので、今の制度が続く限り、隠れたお金は入り続けます。


なんだか意味不明なことを書いていますが、前置きが長くなりました。

要は電気自動車で通勤した場合、通勤手当よりも充電料金の方が安いため、差額分で収入が増えた形となるということです。合法的に手取りが増えるというか、人によっては、こづかいが増えるというか。ガソリン車でも燃費が良ければ同じ事ですが、電気自動車はその額がより大きくなります。

これには条件が2つあります。通勤手当という給与制度があることと、自宅充電ができることです。
2つ目の自宅充電は必須条件ではありませんが、自宅以外で充電する場合は、充電カード契約により街中での普通充電が「無料」になっていたり、安く充電できる環境にあったりすることが必要です。ただし、宿泊先でする以外、自宅でないところで長時間、普通充電することはまれですから、自宅充電以外はあまり現実的な話ではありません。

ではどれくらい増えるのでしょうか。A社の通勤手当で計算してみましょう。ただし、燃費や電費は同じ車でも走り方によっても季節によっても違いが出てきます。それを固定して考えます。

Bさんは自宅から会社まで往復54kmの道のりを通勤しています。1週間に5日、月に4週として20日間で1,080km走ります。A社ではこの距離の場合、自動車の通勤手当は12,900円です。

燃費がすごく良い30km/Lのハイブリッド車トヨタ『アクア』 に乗っていると最高にお買い得です。1,080kmを30で割ると36ですから一ヶ月に36Lのガソリンが必要で、ガソリン価格を165円/Lとすると一ヶ月に5,940円ですみます。ですから一ヶ月に通勤手当12,900円との差額の6,960円が毎月プラスになる、手取りが増える計算です。

燃費20km/Lのガソリンで走る軽自動車に乗っているとすると、1,080を20で割ると54ですから一ヶ月に54Lのガソリンが必要で、ガソリン価格を165円/Lとすると一ヶ月に8,910円かかります。一ヶ月に差額の3,990円が浮きます。

重いミニバンのように燃費10km/Lのガソリン車なら、1,080を10で割ると108ですから一ヶ月に108Lのガソリンが必要で、同じガソリン価格で一ヶ月に17,820円出ていきます。ですから差額の4,920円が持ち出しとなります。

ガソリン価格が165円/Lなら、燃費13.8km/Lの車でこの会社の通金手当とほぼ同額になります。

A社の場合、車の通勤手当は一律ですが、上のように車の燃費によってプラス・マイナスが大きく違ってくるため、会社によっては手当額をハイブリッド車など車種で変えているところもあるようです。
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電費(燃費)を元に電気自動車でも計算してみます。もう一度書きますが、車種や季節によっても電費は違ってきますが、平均的なものとします。また、電気価格も契約先や契約内容、充電時間帯によって違ってきますから、平均的な価格とします。

私の乗る軽の電気自動車アイミーブMグレードの電費を9km/kWhとします。通勤距離の1,080kmを9で割ると120ですから一ヶ月に120kWhの電力量が必要で、最安値であろうナイトタイムの10.7円/kWhで充電すると一ヶ月に1,284円しかかりません。ですから一ヶ月に通勤手当12,900円との差額11,616円が毎月プラスになる計算です。

10.7円/kWhはあり得ないと思われるかもしれませんが、私の契約する関西電力のはぴeタイム(新規加入停止)は、23時からよく朝7時までの限定で、2022年6月末までこの額で適用されています。また、アイミーブMグレードは10.5kWhの電池しか積んでいませんから、電気ゼロから始めても規定時間内の4時間半で満充電にできます。(2022年7月以降は、15.2円/kWhに変更)

アイミーブMグレードでの充電を関西電力「eおとくプラン」約28円/kWhですると、一ヶ月に3,360円必要です。それでも一ヶ月に差額の9,540円が浮きます。

テスラ モデル3の電費を平均6km/kWhとします。1,080kmを6で割ると180ですから一ヶ月に180kWhの電力量が必要で、約28円/kWhとすると一ヶ月に5,040円かかります。一ヶ月に差額の7,860円が浮きます。

ここまでの3パターンとも、30km/Lの『アクア』の差額6,960円よりも多く浮きます。

その他にも電力プランには様々なものがあり、シェルのSプラン26.18円/kWhやLOOOPでんきの22.4円/kWhなら、それなりに必要額が下がり収入が増えます。

アイミーブの差額の11,616円/月は極端としても、A社に勤めていると1年で139,392円、乗り始めて11年目のアイミーブなら、1,533,312円が知らず知らずのうちに補助されたことになります。これは、政府の補助額を大きく上回る額となります。

私のアイミーブは、11年前に補助金を引いて200万円ぐらいで買っていますから、この隠れた補助?金を差し引くと実質50万円ほどとなります。電気自動車は高い!という意見をよく目にしますが、条件によっては長く乗れば乗るほど、決して高い物ではないのです。(エンジンがないからオイル交換はない。回生ブレーキでブレーキパッドも減りにくいなど維持コスト面で更に有利となる)

また、「生産から消費までのライフサイクル全体で見ると炭素中立に貢献できない」などとも言われますが、同じ車を長く乗り続けることによって貢献できることもあるでしょう。貢献できないと声高に言う人たちに限って、11年もの間には何回か車を乗りかえているに違いないと思っています。(SDGsに貢献していると思っている。ひとり言)


この春に発売されるという三菱・日産の軽の電気自動車もそこそこの電費でしょうから、200万円という予想販売価格が高いと思っても、できるだけ早く手に入れて乗り始められることを強くお薦めします。政府の補助金は確実に年々少なくなりますし、いち早く乗り始めることにより、隠れた補助?金(通勤手当との差額)が上の計算のように毎月・毎年どんどん積み上がるからです。また、電気自動車が普及し始めれば、いつまでもガソリン換算の通勤手当が出るとは限らないでしょうし。

「国民車」軽自動車のEV化が始動 三菱自、200万円で先陣切る(2022/02/02)

実質200万円という価格設定はアイ・ミーブに比べればかなり「現実的」といっていい。総務省の「小売物価統計調査」によると、21年12月時点で軽自動車1台当たりの平均小売価格は約158万円。

「EVは過半に達しない」が7割、再エネ比率目標にも懐疑的(2022.01.31)には、「日経ものづくりが2021年12月から22年1月にかけて実施したアンケート調査でこんな結果が出た。一方で「今後10年以内に、水素エネルギーは普及する」と考える人は5割弱。水素を燃料とする自動車への期待が高い」と書かれています。

電気自動車乗りとしては,EVは過半に達しない点と水素を燃料とする燃料電池車への期待の点のどちらも、 「日経ものづくり」としてしっかりとした情報を提供してのアンケート結果だったのか疑わしく思ってしまいます。

まず 問1の「今後10年以内に、電気自動車(EV)はハイブリッド車を含むガソリン車を代替すると思うか」との問いが「あいまい」です。
「代替」とは以下のどれでしょうか。
1.新規の販売台数がすべて電気自動車に置き換わる。
2.新規の販売台数のうち、約半数ちかくが電気自動車に置き換わる。
3.街中を走っている車のすべて電気自動車に置き換わる。
4.街中を走っている車の約半数ちかくが電気自動車に置き換わる。

アンケートの意図としては1.かもしれませんが、回答した人とのイメージとしては、3.かもしれません。 

それはさておき、問2の「EVが普及しないと考える理由」における選択項目も「あいまい」です。

3番目に多いのが「充電時間が長すぎる」です。これが街中での急速充電を指すのであれば、そう言える場合もありますが、自宅や宿泊先での夜間の普通充電ができるなら「普及しないと考える理由」には当たりません。

考え方を変えてもらうことが、普及のカギであることは間違いない(2022/02/01)に書いたように、自宅などの200Vを使って11時間充電すれば、1kWhで6.5km走る電気自動車なら約215kmの距離を行って帰ってくることができます。帰宅から翌朝出発するまで、用事がなければ電気自動車を動かすことはないのですから、ただ置いてあるだけの車が「充電するため」に使われていても「長すぎる」と感じることはないでしょう。家で過ごす時間が「長すぎる」と感じれば別ですが。

また、考え方を変えてもらうことがに書いたように、急速充電もたくさんの電気を入れようとするから「時間がかかる」と思ってしまうのであって、最低限の必要量を入れ、自宅などでの普通充電と組み合わせれば、場合によっては急速充電で「長すぎる」ほど充電する必要はありません。

短時間ですむ「給油」は家できない、「充電」は家でできるの違いが理解されないことが、どんな場合でも「充電時間が長すぎる」と思い込む原因です。編集者もこのあたりはわかっていないでしょう。

「寒冷地での使用にそぐわない」という項目もあります。この場合の「使用」がどのような状況を指すのか定かではありませんが、よく考えられるのは「大雪で立ち往生すると危険」というものでしょう。

ガソリンは携行缶などで給油しやすいが電気自動車の電気は路上を簡単に運べない、電欠したら凍死の危険もあるのではとの想像・思い込みからです。

この点については、以下の例などでそれほど危険でないことが検証されています。(検証に使われた電気自動車のバッテリー容量は多いです)


雪に埋もれた場合には、一酸化炭素中毒の危険性が増すガソリン車の方が「寒冷地での使用にそぐわない」と言えるかもしれません。

しんしんと雪が降る中、車外に出て雪かきを経験すればわかりますが、頭の先から雪をかぶり車内に戻ったときには雪まみれになっています。車の出入りにドアの開け閉めをするので、せっかく暖まっていた車内の気温も下がってしまい、服からはらった雪で車内も濡れてしまうことになります。(体験済み)

電気自動車にはこうした作業が必要ありませんから車内でじっとしてるしか仕方ありません。かえって雪に埋もれてしまえばかえって「雪洞」のようになって体感温度は下がらないかもしれません。(私の想像)
(加筆)
どちらにしても雪による渋滞・立ち往生が予想される冬に私は、毛布やスコップ、食料、スタックに備えて古毛布を車内に常備していました。

「燃料電池車(FCV)など他の方式が普及する」という項目もあります。
下の地図は次世代自動車振興センターが提供する水素ステーション整備状況です。(何日現在か記載なし)
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さすがに東京・神奈川・埼玉やトヨタのお膝元・愛知あたりは多いですが、茨城や栃木、群馬、山梨など県内に一カ所しかない所は全国にたくさんあります。これに対して充電ステーションは決して多いとは言えませんが、全国のどこへ行ってもだいたい見つけることはできます。
(囲みの中の数字は充電器の数 EVsmart
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他の選択項目で「充電ステーションなど社会基盤が整わない」をあげているのですから、「水素ステーションは社会基盤がないに等しい」もあげないといけないでしょう。

水素を充填するところがないにもかかわらず「燃料電池車(FCV)など他の方式が普及する」をあげるということは、電気自動車よりも「燃料電池車」の普及を「日経ものづくり」としては願っているというあらわれなのかもしれません。最初に書いた「水素を燃料とする自動車への期待が高い」という方向へ誘導したいのかもしれません。

しっかりとした情報を提供してこそ正確なアンケート結果がうまれると思うのですが、あいまいな情報ではそれを望むべきもないでしょう。

電気自動車とガソリン車には、同じ「車」という漢字がつきますが、両車を同じものと考えると電気自動車のとらえ方・考え方・運用方法を誤ります。別のステージにあるものと考えた方が良いでしょう。

例えば、「満タン」(満充電)という言葉は、両車では別のものととらえる必要があります。

ウチにはめったに乗らないガソリン車もありますが、久しぶりに使ったあとは、家に帰り着くまでにガソリンスタンドで給油してから帰ります。その時の量は「満タン」で、万が一に備えています。

ところが、電気自動車の場合は、家に帰り着くまでの電気があれば途中での充電は不要です。「満充電」にして帰る必要は全くありません。(自宅で充電できるという条件つき)

もちろん帰り着くことができるかどうか微妙な場合は、市中の急速充電器を使いますが、充電量は家までの距離分だけで十分なのです。ましてや時間制限の30分をかけてまでたくさんの電気を入れる必要はありません。(充電カードに「無料」分の設定がある場合、充電そのものを楽しんでいる場合は除く)

帰宅後、充電ガンを充電口に差し込めば、後は翌朝までほったらかしです。うちのアイミーブMグレードのように10.5kWhしかないバッテリーなら、ほぼゼロから約4時間半で「満充電」になりますし、大容量のバッテリーでも200Vコンセントで8時間充電すれば約24kWhの電気を貯めることができます。(充電する機器によっては、倍の48kWh入るものもある)

これは、「給油」は家できない、「充電」は家でできるの違いによるもので、両車の「満タン・満充電」のとらえ方・方法を変える必要があります。

ガソリン車のメリット、電気自動車のデメリットとして「ガソリンやディーゼル燃料ならばガソリンスタンドで数分間で給油が済むが、BEVでは直流の高電力による急速充電でも満充電まで30分以上かかり」というようなフレーズをよく見ますが、すべての状況でこのようになるわけでなく、上のような帰宅時の条件によっては、電気自動車も「数分間」の充電で済む場合があります。実際、私は何度もこのような経験をしており、帰宅途中の自動車ディーラーで「数分間」充電し充電ガンを抜いているときに「もうお済みですか」と言われたことがあります。
(目的地・宿泊地に普通充電器が有り、経路途中で急速充電する場合も同じ)

また、記事に「家庭や会社にある交流充電では、一般的な100Vから200Vへ設備を改良しても、満充電までひと晩以上かかってしまう」と書いてあると、電気自動車はめんどくさい車と思われ、マイナスなイメージを持つでしょう。しかし、同じ事でも書き方を変えるとイメージは変わってくるはずです。

「一般的に家庭などには、200Vがクーラーや食洗機用に最初から準備されており、そうした200Vを使って帰宅した19時に充電を始め、翌朝6時に充電を終わると11時間充電することができます。その間に約33kWhの電気を貯めることができ、1kWhで6.5km走る電気自動車なら約215kmの距離を行って帰ってくることができます」(上に書いたように、充電する機器によっては倍入るものもある)

1kWhで6.5km走るような電気自動車は、33kWhで「満タン」(満充電)にはならないでしょうが、片道100km以上の移動距離でもない限り、毎回「満タン」を求めなくても良いのではないでしょうか。

下記の記事のようなガソリン車ジャーナリストは、「電池の技術革新が、BEV普及のカギであることは間違いない」と書きますが、私は「考え方を変えてもらうことが、普及のカギであることは間違いない」と常々思っています。
『普及っていうけど、「EVってめんどくさそうじゃん!」と思わせたガソリン車ジャーナリストがネックだった』とならないように、電気自動車の情報を正確に伝えてほしいものです。

普及っていうけど「EVって高いじゃん」! リチウムイオン電池に使われるレアメタルがネックだった(2022年1月30日)

「電気自動車ニュース」再開とのニュースを2021年4月1日のエイプリルフールに流しましたが、本当にボチボチ書いてみようかと出てきました。2020年10月末以来、ご無沙汰しています。
アイ・ミーブを取り巻く環境に何か変化が現れたら、また書き出すかもしれません 
とその時には書きました。そのアイミーブの後継車は今春発売のようですから、私を取りまく環境が大きく変わったわけではありませんが、突然書き出したのは以下、3つぐらいが理由です。

1つには、電気自動車の情報を求めている人が、相変わらずいるからです。
このブログを休止してから1年以上たつにもかかわらず、いまだに1日平均70カウントぐらいアクセスがあります。 また、1月14日から開かれていた東京オートサロンのようなイベントがあると途端にアクセス数が伸びます。こんなブログでもどこかが役立っているのかもしれません。(という思い込み)

2つ目は時間ができたからです。
もともと出歩くことは少なかったですが、コロナ禍の中、ますます出歩くことが減りました。特に寒い冬場は外での作業ができずに室内で過ごすことが増え、時間を持て余すようになりました。

3つ目は「あんまりな」記事が相変わらずあり、それを前に書かずにはいられなくなったからです。
ヒマを良いことにネットニュースを見るのですが、1年たってあのトヨタも大量の電気自動車を紹介する段階になったにもかかわらず、電気自動車のとらえ方をミスリードするような記事が散見されます。2020年10月には、
電気自動車体験が少ないにもかかわらず、わかったようなことを書く記事が少なくなってきたことも休止の理由

と書きましたが、1年以上たってもなかなか減りません。(ガソリン車で飯を食っている人にとって電気自動車の普及は死活問題なのかもしれませんが)

以前のように毎日というわけにはいきませんが、たまに出てきますので、今後ともよろしくお願いします。
というわけで、電気自動車に関する最新ニュースは別のサイトにまかせて、10年以上の電気自動車経験から考えたこと、思ったことを書き散らかしていきます。ただし、ページ管理に時間をとられることは避けたいので、コメント欄はなくしました。ご了承ください。

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