カテゴリ: トヨタ

三菱ekクロス EV試乗 Ⅰ に書きましたが、電気自動車はエンジンを冷やす必要がないので、フロントグリルに空気の取り入れ口を設ける必要がありません。日産『サクラ』や『アリア』、テスラ車などはそのため前面がすっきりしています。

『eKクロスEV』のフロントグリルに凹凸はありますが、ガソリン車『eKクロス』のデザインに寄せるため?のただの凹みであって、穴は貫通していません。

前面がすっきりしていると空気抵抗も少なく、電費も良くなるでしょう。
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 (彦根三菱の試乗車)

にもかかわらず、2021年12月に公開されたトヨタ「コンパクトクルーザーEV」は、フロントグリルどころかボンネットの上まで穴のような口がありました。コンセプトカーのデザインだと言えばそれまでですが、どこか内燃機関へのこだわりが透けて見えます。

トヨタの新型「ミニランクル」はオフロード感スゴい! 本格四駆「コンパクトクルーザーEV」登場に期待しかない!(2022/07/08)

即完売と思われたトヨタ「bZ4X」が予定販売台数を大幅に下回る結果に?(2022/06/21)

トヨタとスバルが共同開発した「bZ4X」は、5月14日からKINTOでリースでの販売を始めました。当初の国内販売台数は3,000台を予定していたそうですが、少なくとも1,500台は残っているとする記事です。

記事の中で「BEVインフラの整備もさほど進んでいない」とか「インフラの状況などが足かせになっている」と他人事のように書いていますが、トヨタディーラーそのものに急速充電器がないのですから、売れない原因は自らにあるのかもしれません。

たとえば、愛知県から京都府にかけてのトヨタディーラーで普通充電器があるところは以下です。(参照:GoGoEVで2022/06/22検索)

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同じ地域で急速充電器があるトヨタディーラーは以下となっています。
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 トヨタのお膝元である愛知県に多いのは当然として、滋賀県や福井県には1カ所もありませんでした。

急速充電が必要になったら、日産や三菱など他のメーカーのディーラーや公共施設、道の駅へ行ってということなのでしょう。

ついでに北海道でも調べてみましたが、「bZ4X」を売る気がないのは明らかです。

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以下のブログのように2年前でもトヨタには、急速充電器設置への意欲を感じ取ることはできませんでした。今後の設置への取り組み具合が、トヨタの本気度を示すのでしょう。

メーカーの充電器設置への意欲度?(2020/05/22) 

ちなみに、日産ディーラーの急速充電器は次のように配置されています。 
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【社説】サブスクがカギ、トヨタのEV戦略(2022/03/08)

EV普及、サブスクが鍵 高額車両、定額で負担感軽減 電池劣化で下取り下落、回避(2022/04/13)

【トヨタ bZ4X】個人向けがサブスクのみになった理由…KINTO 小寺社長(2022/03/13)

上の記事でKINTOの社長は以下のように述べておられます。

「カーボンニュートラルを実現しようと考えたら、一度電気自動車に乗っていただいたお客さまが次のクルマも電気自動車にしたいと思っていただくことが大切だと考えている。一度乗ってもう二度と乗りたくないということになると、なかなか電気自動車が普及しない。そのためには大きな不安要素である下取り価格とバッテリーの劣化とか故障といったリスクをお客さまにとってもらうのではなく、われわれが負うべきだと考えた」
私が買った2011年当時「カーボンニュートラルを実現」する一助にと思ったわけではなく、200万円もする軽自動車なんてと言われながらも、試乗によってEVの楽しさを知り、電気で動く車の将来性をかって買いました。

それから11年後の今、 「次のクルマも電気自動車にしたい」と強く思っています。

それはなぜか。
数年してささやかれ始めた「下取り価格の大幅な下落」や「バッテリーの劣化」といった「リスク」が車種によってはほとんどなく、「故障の頻発」もなかったためです。

事実は中古車価格にも現れていて、私は2016年4月に走行距離8000キロ弱のミニキャブミーブ・トラックを90万円ほどで購入しましたが、今では1.3万キロの同型車が185万円にもなって売られています。(2022/04/14現在)
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2016年3月に製造中止となったミニキャブミーブ・トラックですが、劣化しにくい東芝のリチウムイオン電池「SCiB」を載せていたため、その後評価が見直され、中古車価格は下がるどころか逆に上がっているのです。同じバッテリーを積んでいるアイミーブMグレードでも同じ事が言えます。
データは持ち合わせていませんが、テスラ車もバッテリーの温度・運用管理をしっかり行っているために、劣化しにくいのではないでしょうか。

つまり、「EV普及はサブスクが鍵」ではなくて、「EV普及はバッテリーが鍵」なのです。

劣化しにくいバッテリーや劣化しにくくするバッテリー管理を行えば、「下取り価格の大幅な下落」は起こらないのです。

「サブスク」という聞き心地の良い言葉に、惑わされてはいけません。メーカーが「サブスク」を持ち出てきたのは、バッテリー性能に自信がないからとみて間違いないでしょう。

もっとも、11年たっても元気なアイミーブMグレードや6年後も快適な ミニキャブミーブ・トラックに乗っていると、「次のクルマも電気自動車にしたい」と思っても、実現するのは20年後かもしれません。ですから、メーカーとしては、「サブスク」に似合ったそこそこのバッテリーが良いのかもしれません。知らんけど。

急速充電はMグレードの利点?(2011/08/28)

JC08モードを越えた! EVトラック(2016/07/09)

「値落ちしない」(2017/07/21)

レクサスがブランド初の市販EVモデルとなる「レクサス UX300e」を発表(2020/10/22)

レクサスは「UX300e」を発表し、2020年度分135台の商談申込みを開始したと告知していました。

WEB商談 申込ページ

いよいよトヨタも国内での電気自動車分野に乗り出してきましたが、レクサス・ブランドの固定ファンとホンダeと同じように生産数はわずかですから、すぐに完売することでしょう。

ただし、リンク先で気にかかったのは、市中での充電サービスに関する以下の部分です。「充電器利用の有料サービス「EV・PHV充電サポート」によって、合同会社日本充電サービス(NCS)の急速/普通充電器が利用できます。全国で急速充電器約6,800基、普通充電器15,000基が専用カードをかざすだけで利用可能です。」

確かに「日本充電サービス」にはトヨタも参加していますが、他人事のように書かないで、レクサス・ブランドとして出すからにはディーラー(EVsmartの記事によると2020年10月現在、レクサス・ディーラーは全国に199店舗)にも急速充電器は設置してほしいものです。増えても135台ですから割に合わないかもしれませんが。

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(UX300e画像:トヨタのHPより引用、海外仕様)
  • バッテリー容量:54.4kWh
  • 一充電航続距離:367km(WLTCモード)
  • 価格:バージョンC 580万円、バージョンL 635万円
プジョーe-208(Allure)
  • バッテリー容量:50kWh
  • 一充電航続距離:340km
  • 価格:約389万円9000円
日産リーフ
  • バッテリー容量:40kWh
  • 一充電航続距離:322km
  • 価格:約333万円
ホンダe
  • バッテリー容量:35.5kWh
  • 一充電航続距離:283km
  • 価格:約451万円
ダチア・スプリング・エレクトリック
  • ボディサイズ:軽自動車よりひと回り大きい(軽全長3400mm、全幅1480mm、全高2000mm)
  • バッテリー容量:26.8kWh
  • 一充電航続距離:225km(WLTPモード)
  • 価格:実質120万円前後か (補助金を引いた消費者負担額)

乗れば納得! 500万円のRAV4が売れている理由とは? PHVモデル試乗記(2020/07/13)

バッテリーが確保できずに予約を中止しているRAV4 PHVですが、約500万円という高額車が売れた「ナゾ」を記事では探っています。
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(画像:トヨタのHPより引用 ※写真は北米仕様のプロトタイプ)

その中でガソリン車やハイブリッド車に比べ格段に高い価格にもかかわらず売れた理由に、トヨタが以下の『3つのE』を掲げたからではないかとしていました。
  • Enjoy(楽しさ)
  • Electric(電気を使う)
  • Environment(環境)
Enjoyは加速のよさや安定した走り、Electricは外部への給電機能、Environmentは燃費(電費)のよさが含まれています。安定した走りとは、重いバッテリーを床下に搭載することにより重心が下がりコーナリングが安定しているのだとか。

ここまで読んで「ん、これって電気自動車そのものじゃん」と思ったあなたは、電気自動車通です。筆者がRAV4 PHVのメリットだと思って取り上げている点は、すでに電気自動車に備わっているものばかりです。

・2011年に買った軽規格のアイミーブMグレードでも本線に合流するとき、加速が良いので余裕を持ってアクセルを踏むことができます。
・2009年から法人向けの販売が始まったアイミーブは、ハンドルを左右に切ったときのふらつきが、ガソリン車と比べ格段に少ないです。
・アイミーブ シリーズでは、オプションの給電器が必要ですが、それで1500Wの電気を取り出すことができ、動く発電機として停電現場でも活躍することができます。

・うちのアイミーブMグレード(10.5kWh)場合、深夜電力の10.7円/kWhで満充電すると約112円、それで100kmは走るのですから、ガソリン換算でリッター100km以上走ります。
・最近は長雨で商用電力で充電する機会が増えましたが、うちの場合基本はソーラーパネルでの充電なので、太陽の光だけで充電することができ、この場合は限りなくゼロ円で走ることができます。(設備投資額を除く)

トヨタの開発陣が、「環境性能だけに留まらないメリット」をPHEVに盛り込もうとしたら、結果的に「電気自動車」のメリットに寄ってしまったというオチになりそうです。

ですから、それでもRAV4 PHVが売れたのは「ナゾ」でも何でもなく、購入者は「トヨタ車だから」高くても買ったと思うのは 私だけではないでしょう。

トヨタ RAV4 PHV が注文を一時停止、バッテリー生産能力を大幅に上回る人気で(2020/06/29)

記事によると、『RAV4 PHV』の「年度内の生産分が終了し、現在注文を一時停止している」と書いていました。月販300台の計画だったそうですから、「年度内の生産分」つまり6月から10ヶ月後の2021年3月分までの注文数は3000台だったのでしょうか。

予測通り3000台だったとして、その分しか生産計画がない「バッテリー」というのは不思議です。

(加筆)
なぜ人気SUVを提供? トヨタ「RAV4」とスズキ「アクロス」は何が違う? 両社の関係性とは(2020/07/03)

スズキが2020年秋にヨーロッパで発売する「アクロス」は、トヨタ「RAV4 PHV」のOEMで、それに年間3000台程度を供給するそうですし、トヨタ自身が2020年夏以降にヨーロッパや北米で「RAV4 PHV」の発売を控えていることから、電池の確保ができないということのようです。

何はともあれ三菱自動車 2020年5月 生産・販売・輸出実績<2020/06/30>に書いたように5月のアウトランダーPHEVの販売数は77台、2019年度内でも総数796台ですからトヨタ・ブランドは不動です。

RAV4 PHVに急速充電機能はなし(2020/06/07)でも書いたようにコストパフォーマンスも電費もアウトランダーPHEVより優れているのですから売れて当然かもしれません。

しかし、やっかみにしか聞こえないでしょうが、ガソリン走行と電気走行とを合わせて「1300km以上」という航続距離がいるのかという疑問はあります。また、ガソリン版などとの価格差は必要でしょうが、500万円という価格の車があっという間に予約で埋まる現実に驚かされます。
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 (画像:トヨタのHPより引用 ※写真は北米仕様のプロトタイプ)

トヨタ『RAV4 PHV』に試乗〜気になる電池生産状況などを確認してきました (2020/07/10)

【トヨタ RAV4 PHV 新型試乗】大容量バッテリーのパワーは、想像以上だ…九島辰也(2020/06/22)

RAV4 PHV の試乗レポートです。

根っからのへそ曲がりですから、RAV4 PHVのEV走行距離「95km」を「一日に運転する距離を余裕で超えている」とするなら、純粋な電気自動車で良いのにと思ってしまう私です。アイミーブでもリーフでも発売当初から「一日に運転する距離」を十分走ることが売りになっていました。

『「走ってナンボ!」なRAV4』は、タイトルにあるように「バッテリーのパワーと容量の大きさは想像以上」と書いていますが、モーターは立ち上がりからトルク全開なので、モーターの出力に速さは左右されるのであって、「バッテリーのパワー」は速さにそれほど関係ないはずです。電気の取り出しやすさは多少関係あるかもしれませんが。

RAV4 PHVは、プラグインハイブリッド車といっても18.1kWhものリチウムイオンバッテリーを積んでいますから、サーキットコース1周を「EVモード」で走り通すことができたと言いたいのかもしれませんが、「95km」走るのですからサーキットコース内なら当然のことでしょう。車格が違いますがアイミーブMグレードは10.5kWhしかなくても100kmは走ります。 

発売前のアイミーブに試乗させてもらったことがありますが、今のものよりもトルクがあったような気がします。軽自動車での性能を考えた場合、量販車では安全を考えて初速をコントロールしているような話を聞きました。それほどモーターのパワーは立ち上がり力強いです。

エンジンは発電に特化しモーターで走る日産のe-POWERが、『新次元の「電気」の走り』と表現してるのはそのあたりを考えてのことでしょう。‎

ですから「モーターのパワー」に感激し、「電気自動車の走り」に共感していただけたら、「モータージャーナリスト」の皆さんは電気自動車をもっと好意的に取り上げていってほしいものです。
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(画像:トヨタのHPより引用 ※写真は北米仕様のプロトタイプ)

RAV4 PHVに急速充電機能はなし(2020/06/07)

【トヨタ RAV4 PHV】日本発売まもなく…EV走行距離95km、最上位モデルとして登場(2020/06/04)

トヨタのSUVとしてプラグインハイブリッドシステムを初搭載し、まもなく発売される『RAV4 PHV』を紹介しています。

RAV4 PHV』は、18.1kWhのリチウムイオンバッテリーを載せ、一充電走行距離は95kmにもなるそうです。アイミーブよりも積載量は多いですから、まるで電気自動車です。これだけ走れば、近場を走る普段使いではエンジンがかかることはないでしょうから、疑似電気自動車を十分に堪能できることでしょう。

これにより購入者の生活パターンでは電気だけで事足りることがわかったり、私が初代プリウスに乗ってエンジン音のない走りがこのままズーと続けば良いのにと思ったように、同じ事を思う人が出てきたりすれば、「RAV4 PHV」が電気自動車への入門車となり、今秋に市販化への発表があるとされるトヨタ『LQ』(2020/05/20)への営業に結びつくのかもしれません。

ちなみにアウトランダーPHEVが搭載している容量は13.8kWhで57.6kmです。トヨタ『RAV4 PHV』いよいよ日本発売〜電動車の新基準となるか(2020/06/08)によれば、コストパフォーマンスも電費「EPA換算のEV航続距離/電池容量」もアウトランダーPHEVよりも優れています。

気になる充電方法ですが、記事によるとAC200Vと100Vの普通充電に対応しているとだけあり、急速充電機能には触れていません。そこで、情報を検索してみると急速充電機能はないと書いてありました。

アウトランダーPHEVは急速充電に対応していたばかりに、各地の急速充電器で電気自動車とかち合うこととなり、エンジンでも走ることができるプラグインハイブリッド車に急速充電機能が必要かと問題になっています。

RAV4 PHV』はそれがないので、トヨタとしてはプラグインハイブリッド車の立ち位置をよく考えた結果なのでしょう。

急速充電機能がないとチャデモ規格での電気の取り出しができないのかと心配されるかもしれませんが、1500W/AC100Vのコンセントが用意されているそうですから、非常時は元より普段使いでも役立ちそうです。このような100Vコンセントは、電気自動車にも標準でつけてほしいものです。
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(画像:トヨタのHPより引用 ※写真は北米仕様のプロトタイプ)

【トヨタ RAV4 PHV 新型試乗】RAV4としてもトヨタのPHVとしても「過去最高」…島崎七生人(2020/06/06)

【トヨタ RAV4 PHV 発売】EV走行距離95kmを実現、価格は469万円より(2020/06/08)

トヨタ『RAV4 PHV』試乗速報〜プラグインの長所を走りで強調【塩見 智】 (2020/06/11)

『UX300e』はバッテリーを温度管理(2020/05/15) で『UX300e』のバッテリーに温度管理機能がついていることを取り上げ、欧州レクサスの電気自動車『UX300E』のバッテリーは「10年100万キロ」保証付き (2020/05/14)の記事により空冷だと書きました。

その空冷に使用しているのは、 豊田自動織機の開発した電気自動車用大型電動コンプレッサーかもしれません。

豊田織機、EV向け冷房力4割増 大型コンプレッサー開発 (2020/05/21)

記事によるとバッテリーを冷却するため、エンジン車よりも高い冷房機能を持ち、「静粛性」や「長寿命」を達成しているそうです。

レクサス初のEV『UX300e』、バッテリー保証は100万km…年内に欧州で発売(2020/05/11)
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(画像:レクサスのHPより引用) 

トヨタ LQ(2019/10/11)で紹介したトヨタの東京モーターショー2019コンセプトカー『LQ』ですが、今秋に市販化への発表があり、2021年に発売されるのではと予想していました。

トヨタの近未来EV『LQ』市販化へ!? 発表は今秋、発売は2021年か…デザインを予想(2020/05/19)

リチウムイオン電池54.3kWhで一充電航続距離は約300kmという予想ですからリーフよりも性能では劣りそうです。が、そうした性能よりも、発売されるとなれば、全国のトヨタディーラーにくまなく急速充電器が設置されるでしょうから、そちらの方が魅力的な話です。

2020東京オリンピック・パラリンピックで全固体電池を載せた電気自動車を走らせる予定だったトヨタですから、いくら電気自動車に消極的とはいえ、そろそろ動きがあっても良さそうです。

トヨタにとっての電気自動車(2020/05/04)

トヨタで2題(2019/12/29)

「奇策」ではない「戦略」(2019/11/12)

『UX300e』はバッテリーを温度管理」の記事でトヨタがメインバッテリーの保証を「10年間または走行100万km」としていると書きました。

レクサス初のEV『UX300e』、バッテリー保証は100万km…年内に欧州で発売
(2020/05/11)

日産リーフの保証は「8年16万km」ですから、いきなり100万kmと言われてもトヨタのはホンマかいな、と疑ってしまいますが、テスラの最新バッテリーは、それが「100万マイル」(160万km)というのですから驚きです。

テスラが長寿命低コストのバッテリーを開発中、EVの価格をガソリン車と同等に (2020/05/15)

「保証」と書いているわけではありませんが、「100万マイルの使用に耐え、低コストで生産できる」というのですから、バッテリーの劣化を心配することなく長く乗り続けることができ、中古車価格も維持されるでしょう。そして、それは「同等のガソリン車と同じかそれ以下の価格でEVを販売できることを意味」しています。
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(画像:テスラ社HPより引用) 

え、これ買っても大丈夫? 激安10万円台続出!! 日産リーフの中古車相場と注意点 (2020/05/17)

レクサス初のEV『UX300e』、バッテリー保証は100万km…年内に欧州で発売(2020/05/11)

記事の冒頭に以下など4項目がポイントとして書かれています。
  • モーターは最大出力204ps
  • 1回の充電での航続は最大400km
  • ・・・
しかし、もっと重要なポイントはバッテリーの温度管理機能がついている点でしょう。

記事には、「低温や高温下でも正常に動作するよう」とありますが、外気温ばかりでなく、バッテリー使用による内部の温度上昇にも対応して、冷却するのではないでしょうか。

そうした管理を裏づけるようにメインバッテリーの保証は、10年間または走行100万kmとなっています。これだけあれば、バッテリー劣化による中古車価値の下落ということも避けることができるでしょう。

ちなみに日産リーフの保証は「8年160,000km」で、バッテリーの温度管理機能はついていません。
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(画像:レクサスのHPより引用) 

欧州レクサスの電気自動車『UX300E』のバッテリーは「10年100万キロ」保証付き (2020/05/14)によると空冷だそうです。

新型コロナウイルスによる感染拡大により自動車生産も縮小されたり止まったりする中、トヨタの中国合弁メーカー、広汽豊田汽車は「C―HR」の電気自動車モデルを発売したと報じていました。

広汽トヨタ「C―HR」、EVモデル発売
(2020/04/27)
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(画像:トヨタのHPより引用。ハイブリッド車)
また以下では、トヨタは中国の天津市において、電気自動車などの工場を建設しようとしているようだと書いていました。

トヨタを見習え!コロナ禍下でも積極的かつ果敢な動き、中国でEV工場建設を計画
(2020/04/26)

日本国内では電気自動車に慎重なトヨタですが、中国において「電気自動車」は特に「成長分野」だと認識しているのでしょう。

実際に以下では、日本電産が請け負う電気自動車関連モーターの受注は旺盛だと伝えています。

日本電産、今期純利益6割増 EVやHDD向け拡大 コロナショック後を占う「強気」予想 (2020/04/30)

明けない夜はないので、回復後の電気自動車は、さらに注目を浴びる存在になっていてほしいものです。

新型コロナの影響も、中国でテスラEVが新記録達成(2020/04/26)

ホンダ新型「フィット」はココがスゴい!一新された心臓部と走り込みで素直な走りを実現(2020/03/16)

私が電気自動車らしきものに興味を持ったのは、1998年にトヨタ・プリウスに乗ったときでした。

アクセルを踏むとモーターで音もなく動き出し、その状態はエンジンがかかる時速まで続きました。エンジンが唸るような車にしか乗っていなかった当時、それは新鮮な感覚で、このままエンジンがかからずどこまでも走り続ければ楽しいのにと思ったものです。

それから8年後、仕事関係で電気自動車のことを本格的に調べるようになり、資料のメモ代わりにこのブログを2007年に書き始めたのですから、ハイブリッド車のプリウスが「電気自動車ニュース」の原点と言っても良いかもしれません。

ホンダの新型フィットのうち、“e:HEV”と名づけられたハイブリッド仕様は、1.5リッターガソリンエンジンにモーターを組み合わせたものです。
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(画像:ホンダのHPより引用)
まだ試乗していませんので記事でしかわかりませんが、『「EVドライブモード」で走っている時のフィーリングは、電気自動車と同じである』は、プリウスの時代から変わらぬ姿です。また、初代のプリウスではエンジンがかかったのが明確にわかりましたが、新型フィットでは「同乗者と会話を楽しんでいたり、音楽を聴いていたりしたら、エンジンが始動したことに気づかないかもしれない」、高速走行などでは「クラッチをつないで通常のガソリンエンジン車と同じように走る。しかし体感上は、その切り替えが全く分からない」そうですからハイブリッドは進化をとげているようです。

こうした進化による「電気自動車と同じ」感覚を体験することは、「電気自動車体験者」のすそ野を広げ、電気自動車へのアレルギーをなくし、電気自動車という未知の「壁」を低くするかもしれませんし、私がプリウスで感じた電気自動車へ続く道をひらくかもしれません。

新型ホンダ・フィットe:HEV e:HEVと日産e-POWER、エンジン回転数とバッテリーの様子から分析する バッテリーとEV走行に注目!(2020/03/23)

上の記事の最後には、そんな思いが透けて見えました。
「もっとバッテリー容量があれば、それに比例して楽しさも増すのに」

超小型車「チョモビ」、一般道で走行可能に 速度に上限(2020/01/29)

国土交通省は、超小型電気自動車の新たな規格をつくると報じています。ようやくです。

特徴は、1)大きさはミニカーなみで、2)時速60キロを上限とし、3)乗用車並みの安全基準を設けて一般道を走ることができるところにあります。「一般道を走ることができる」というのは、車としてなら当たり前だと思いますが、6年も前の2013年から国交省が始めた実証実験制度では、運転できる地域が限られていたのです。

国交省は、2019年度内に「道路運送車両法」に新しい規格をつくるそうです。いつまで「実証実験」を続けるのかと思っていたら、ようやく6年で「実験」は終わりをつげます。

それもこれもトヨタのおかげです。公道を自由に走ることができる法律の規定がなかったにもかかわらず、トヨタは2人乗りの超小型電気自動車を2020年に発売するとしたのですから、国交省も改正に動かざるを得なかったのでしょう。もしくは、新しい規格をつくる動きを察知して,発表前に車を出してきたのかもしれませんが。

「実証実験」が終了できる日(2019/07/10)

2人乗り電気自動車のために保安基準を改正し補助金も(2019/11/23)
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(画像:トヨタの超小型EV)

超小型電気自動車の新たな規格が決まれば、トヨタに限らず様々な車が出てくるでしょう。大きさが限られていますから軽自動車のようにどれも似通った形にならざるを得ないので、気になるのは、その性能と価格です。
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(画像:FOMM ONE)

スタートアップの「水に浮くEV」、年内にも日本登場(2020/02/04)

FOMM ONEはすでにタイで作られていますから、出資しているヤマダ電機がすぐにでも販売しそうですが、手作り状態のようですから66万4千バーツ(約230万円)という価格がネックになりそうです。

70万円台で手に入るEV——3Dプリント製超小型電気自動車「YoYo」 (2020/01/20 )

上の記事ではありませんが、100キロ走って100万円あたりが超小型電気自動車の売れる価格帯ではないかと思います。

なぜ売れない?(2019/11/26)

VW up!のEV『e-up!』に改良新型、航続2倍に…欧州発売(2020/02/03)

e-up!は、超小型電気自動車ではありませんが、256km走って2万1975ユーロ(約265万円)ですから、車両価格が高くなるのは「電池が高い」からと言い訳する状況ではすでにないでしょう。

また、e-up!はリチウムイオンバッテリーの容量が32.3kWhだそうですから、35.5kWhを載せる ホンダe の価格(2019/09/12)と比べられてしまうのは必至です。

トヨタ、東京オリンピック・パラリンピック2020用 自動運転EVを出展へ…CES 2020(2019/12/25)

CES 2020に出展された『e-Palette』は、自動運転専用EVで東京2020オリンピック・パラリンピックで使用される予定です。

注目したのは、その記事の中に「全固体電池」の文字があるかですが、残念ながらそこにはありませんでした。大量生産の製造技術が確立していなくても、オリンピック・パラリンピックというまたとない見本市を宣伝の場に利用するかと思いましたが、「全固体電池」の利用はまだ実験段階から抜け出せていないのかもしれません。


トヨタ『e-Chargeair』、充電サービス提供に特化したEV…CES 2020に出展へ(2019/12/25)

「全固体電池」の開発目標の一つは、電気自動車の一充電走行距離を延ばすためですが、『e-Chargeair』があればその必要もなくなるかもしれません。

飛行機には飛びながら給油して飛行距離を延ばす「空中給油機」があるように、e-Chargeairは走りながら電気自動車へ充電をし、その航続距離を延ばそうという発想の「充電専用車」のようです。

このような充電システムができれば、以下のようなことになるかもしれません。

高速道路を走行中、私の電気自動車は電気が少なくなり『充電コール』のランプがパネルに点灯した。するとこの電気自動車からのサインを自動的に受け取ったe-Chargeairが、通りかかったSAから走り出てきて、電気自動車の前に回りこみ速度をあわせてきた。
人間が操作すればぶつかりそうな車間であるが、自動運転なのでその点は心配ない。 すぐに非接触で電気がe-Chargeairから私の電気自動車へ送られ始め、10分ほどで80パーセントの充電量を示した。
するとe-Chargeairは速度を上げて離れ、最寄りのPAへ走り去っていった。e-Chargeairはそこで自らの充電をしながら、次の給電機会まで待機するのだ。

これなら1000キロ走らせるという「全固体電池」の開発は必要なくなるかもしれませんが、システム維持には膨大な資金が必要になるかもしれません。もっとも、数十年後には個人所有の自動車というものはなくなり、すべてシェアするようになるかもしれませんから、公共インフラとしてのシステムの一部としてなら実現するかもしれません。

公道で2人乗りEV、20年初頭にも 高齢者の移動手段に (2019/11/21)

11月21日現在、国土交通省のプレスリリースにはありませんが、道路運送車両法に基づく保安基準を改正し、2人乗りの電気自動車を軽自動車の一種に区分し、走行できるようにするようだと報じています。

公道を自由に走ることができる法律の規定がないにもかかわらず、トヨタは2人乗りの超小型電気自動車を2020年に発売するとしていますから、そのうち国土交通省は改正に動くのだろうと思っていましたが、思ったよりも早く公表されるようです。さすがトヨタです。法律も作らせてしまう。

また、それに合わせるように経済産業省は20年度から購入費用の一部を補助する予定だそうだから、おそれいります。
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(トヨタの2人乗りの超小型電気自動車は、最高時速60km・一充電走行距離約100km)

超小型EV購入に補助金 経産省検討 最大10万円程度
(2019/11/09)

改正するにあたって、時速40キロ程度での衝突試験も課すようですが、高齢者をターゲットにしているのなら、踏み間違いなどその安全対策を進める必要があるでしょう。もちろん対策が取られるとさらに補助金(軽自動車は7万円)が出ることになるようですから、政治家や官僚にとって「忖度」は大事です。

安全運転装置付き車に10万円 65歳以上対象に政府補助 (2019/11/20)

「超小型EV」でEVビジネスを変えるトヨタの奇策 (2019/10/30)

トヨタが2020年冬に画像のような「超小型」電気自動車を発売しようとしていることについて、 池田直渡氏は、記事の中で「航続距離がいらないお客さん」にバッテリーを小さくして値段を下げる「実に恐るべき戦略」と書いていました。
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一日当たり100キロも走らず、軽自動車を使っているであろう「電力会社。役所の公用車を筆頭に、公的要素のある事業の全て、インフラ企業や郵政や、保険・金融関連など」が電気自動車に切り替えたくても「軽自動車を350万円のリーフにはできない。三菱のi-MiEVだって300万円。これでは現状の軽自動車と置き換えられない」との論理で、冒頭の結論にいたっています。(この文脈からは、i-MiEVも軽自動車のように誤解してしまいますが、軽自動車規格のi-MiEVは2018年3月に製造が中止され、上記の300万円i-MiEVは普通車規格です)

ならば、電気自動車が「超小型」とまでは行かなくても「軽自動車」で200万円ならいかがでしょう。ガソリン代やエンジン・オイル代はいらないことから維持費は格段に安くなり、事業運営に必要なエネルギーを100%、再生可能エネルギーで賄うことを目標とする「RE100」 のような国際的な活動にも参加しやすくなり、企業イメージを高めることに役立つことでしょう。もちろん一回の充電で100キロ走ることが条件です。

i-MiEV Mグレードが来た1(2011/08/20) 

「軽自動車」であれば、「荷物」をほとんど積むことができない「超小型」とは違い、ある程度の「荷物」は運ぶことができます。また、給油の速さではエンジンが有利とも書いていますが、上記のような企業が営業回りに電気自動車を使うとすれば、昼休みに営業所などで充電すればすむことで、給油するためにガソリンスタンドへ行かなくても良くなる分、時間の節約になります。もちろん、電池の容量が少なければ200Vで充電しても結構な量が入ります。(一般的な200V15Aで1時間換算で3kWh)

100キロ走り200万円の軽電気自動車など存在しないと思われるかもしれませんが、過去にはありました。このことを、筆者は知っておられたのか、ご存じなかったのか。2011年7月に発売された三菱 i-MiEV 10.5kWh(Mグレード)は、車両本体価格が266万3000円でした。その当時、この車への補助金は74万円でしたから、192万3000円で買うことができたのです。

今、発売されている300万3000円のi-MiEVは、それよりも多い16kWhの容量ですし普通車規格です。また、補助金はじょじょに引き下げられており、このi-MiEVには現在16万4000円しか出ませんから高く感じるのは仕方ありません。しかし、筆者が書くように「航続距離がいらないお客さん」にバッテリーを小さくして値段を下げた電気自動車は実際にあったのです。

「実に恐るべき戦略」をすでに三菱は、8年も前に実践していたのですが、総数1万台ほどで販売を終了してしまいました。登場する時代が早すぎたのかもしれません。

2016年12月に「EV事業企画室」を立ち上げたトヨタにとって今回の「超小型」電気自動車は「奇策」でもなんでもなくて、時代を見ながら、環境規制の動きをながめながら「EVシフト」とみるや、錬ってきた対策を打ち出したにすぎないでしょう。後出しと言われようとも「業績」というジャンケンには勝てば良いのですから。

AIエージェント搭載、自動運転はレベル4のトヨタ『LQ』…東京モーターショー2019で初公開へ(2019/10/11)

トヨタ自動車は、コンセプトカー『LQ』を東京モーターショー2019で初公開すると報じていました。

4人乗りで一充電航続距離は約300kmという電気自動車です。

「多彩なセンサーが搭載されている」のは、テスラ車のようです。

LQは、2020年6月から9月までの試乗イベントや東京オリンピックの聖火リレー・マラソン競技などの先導車として大会をサポートする予定だそうですから、トヨタの電気自動車を目にすることも多くなりそうです。

トヨタ・シャープなど「太陽電池+ハイブリッド車」が、環境問題にとって電気自動車より大事と言える理由

記事では、7月4日に発表された「ソーラーパネルを載せたプラグインハイブリッド車」プリウスPHVを紹介しています。

このプリウスPHVは、高効率の太陽光電池を車の屋根などに貼り付けることにより、天気さえ良ければ約860W発電し56.3キロも走ることができるというのですから、プラグインハイブリッド車としてでなく、純粋なEV(電気自動車)としても魅力的な車です。

ただし、記事の中で気になったのは、充電環境を書いているところです。
現在使われている自動車をすべてEVに転換してその動力を賄うには、原子力にせよ、火力にせよ大量の電力が必要で、夏場の電力ピーク時には使えなくなってしまう
問題は夏場の消費電力ピーク時だ。EVの普及が電力需給を圧迫する可能性は大いにある
「天気さえ良ければ発電で56.3キロも走ることができる」プラグインハイブリッド車を紹介しているのですから、高変換率のソーラーパネルを貼り付けただけの「電気自動車」が将来出てきてもおかしくはなく、それに10kWhほどの電池が載っていれば、私の生活パターンでほぼ商用電源からの充電は必要なくなります。

そんな電気自動車が発売されれば、晴れることの多い『夏場』は暑さで効率は悪くなるかもしれませんが、充電はソーラーパネルから十分にできることから「電力ピーク時には使えない」ことはなく、太陽光で充電できる車なので「電力需給を圧迫する」こともないでしょう。高変換率ソーラーパネル電気自動車が登場すれば、書いている内容とは矛盾してしまいます。それはさておき、現在使われている自動車がすべて「EV」になれば当ニュースとしてはうれしいことです。

大前提として、「すべて」のガソリン車が「数年の内に」電気自動車に代わるはずもなく、電気自動車の割合が増えるとしても少しずつにでしょう。車自体が高価な物ですし、耐用年数は延び保有期間も長くなっていますから、フィルムカメラがデジタルカメラに置き換わったような短期間での移行はあり得ないでしょう。その間に予想される「電気」の手当は、携帯電話の基地局が増えていったようにされるはずです。

次ぎに「大量の電力が必要」と書いていますが、筆者はどれくらいの電気が必要となるのか具体的に考えて書いているのでしょうか。

古い記事ですが、10)EVの普及がすすめば原発が必要になるで計算したように、100万台の電気自動車が200Vの普通充電をするとなると1時間で300万kWhが必要になります。東京都の自動車台数は約400万台(2016年、バスや働く車も含む)でしたから、100万台は東京都の車の4分の1が電気自動車に入れ替わったとする台数です。(2017年の保有台数、電気自動車 103,569台、プラグインハイブリッド車 103,211台)

長距離トラックが電気自動車になるとは思えませんが(米・テスラは開発中)、東京都のバスも含めてすべての車が電気自動車になったとすると、300万kWhの4倍の1200万kWhが必要です。 東京電力の火力発電所は約4110万kW、水力で約987万kW、合計で5097万kW(1 時間発電して5097万kWh、2017年度末)ですから、その約4分の1が充電に使われることになります。

東京と神奈川・千葉・埼玉3県のすべての自動車も含めると約1550万台(2016年)でしたから、東京だけの台数の約4倍となり、1都3県の車だけでも、1550万台すべてが電気自動車となると、東電の火力・水力分の全部の電気は充電に使われてしまいます。つまり、電気自動車約1550万台分の普通充電と東電の火力・水力分の発電量はほぼ同じということになります。これでは確かに充電に「大量の電力が必要」のようです。

しかし、約1550万台が一斉に集中して充電するとして計算しましたが、そういう想定はあり得ないでしょう。それは商用車も含めてですから、会社に数十台ある電気自動車に200Vの充電専用線コンセントを台数分作るとなると、電気契約も見直さなければなりません。

一斉に充電を始めなければならないような車の使い方をする会社もあるでしょうが、営業から帰ってきた日中についでに充電したり昼休みを利用したり、夜間に分散させて充電した方が、契約電力のピークを下げることができ現実的でしょう。

他にも急速充電器での充電も考えられます。電気自動車の普及とともにその数も増えていくでしょうが、7月現在、東京・神奈川・千葉・埼玉の1都3県にある急速充電器は、合わせて1491カ所でしかありません。(充電器検索サイトGoGoEV

200V普通充電は3kWの電力を使いますが、急速充電は速いもので90kWにもなります。(実測70kW程度)しかし、これは設置が始まったばかりで、一般的には高くて50kW、コンビニや道の駅などのは20〜30kWのものが多数です。このような家庭の何倍もある高い電力を見ると「大量の電力が必要」となるように思えますが、上に書いたように一斉に充電しようにも、現時点では同時に1491台しかできません。

100万台の普通充電が1時間で300万kWhですから、上に書いたように充電するにしても時間差が出てくるはずで、1日24時間の中で分散します。現在の料金体系では、深夜の方が安い場合がありますが、使用状況を見て電気料金を見直し、充電が少ない時間帯を安くしてそちらへ誘導すれば、集中することは避けることができるでしょう。

たとえば、太陽光発電からの電気を期待できる昼間の料金を安くしその時間帯に充電してもらえば、電気をめいっぱい電気自動車に貯めることができるかもしれません。2019年1月3日に九州電力は、太陽光発電の最大35万kWを無駄にしています。35万kWは、普通充電する電気自動車の約12万台をまかなうことのできる電力です。

時間以外にも充電する日も分散します。私の乗るアイ・ミーブは少ない電池(10.5kWh)しか載っていませんが、それでも毎日30km走ると3日ごとの充電ですみます。今となっては数少ない容量のアイ・ミーブでも毎日充電する必要がないのですから、リーフのように40kWhも積んでいたら1日の走行距離にもよりますが、充電日はさらに先延ばしになります。ですから約1550万台が一斉に充電する想定はあり得ません。


最初に「電気自動車の割合が増えると(不足するかもしれない)『電気』の手当はされるはず」と他人任せな書き方をしましたが、自分でできることもあります。現在の充電は、交流を直流に直す必要がありロスが出ますが、太陽光発電の直流をそのまま電気自動車に直接流せば、ロスもほぼありませんし商用電源に頼ることもありません。

実際に太陽光発電の電気で電気自動車を走らせようと、自宅にソーラーパネル1.6kWの1号機を作りました。100Vの交流にするためにいったん変換していますからロスが出ていますし、200V普通充電の倍の時間がかかりますが商用電源に頼ることなく充電ができています。「夏場の消費電力ピーク時」こそ電力需給を気にせずに充電することができます。
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(左奥のパネルが充電用の1.6kW)
アナログ的「V2R」<2019 /07/17>

この時期のように梅雨空が続くと充電できない日もありますが、全くできないわけではなく、今日も時より日が差すと固定バッテリーの2kWhはいっぱいになります。ちりも積もれば山となるの例えのように、2019年11月からのFIT終了 でまず電力市場に出てくる約53万世帯の約200万kWは、約70万台の電気自動車を充電できる能力があります。


「大量の電力が必要」と電気自動車による電気不足の心配をする前に、電気自動車に蓄えられた電気が電力の調整になくてはならない日が来るかもしれません。

国内初、電気自動車の蓄電池を活用した電力系統への電力供給(V2G)実証試験の実施( 2018/11/07)のように、電力会社などが、電気自動車と電力系統(グリッド)とを結びつけ、電気自動車の蓄電池に充・放電し、需給調整能力があるかどうかを検証しています。将来は、余った電気を電気自動車に貯め、「夏場の消費電力ピーク時」のような必要なときに取り出して使おうとしているのです。
EVから送配電 九電が拠点設置 福岡に、実証試験向け(2019/01/05)

電気自動車に限らず車は、1日の大部分動かずに駐車しています。普通の車は荷物置き・休憩室にしかなりませんが、アイ・ミーブのように10.5kWhの小さな電池でも家1軒1日分の電気を蓄えていますから、電気自動車は大容量の動く蓄電池であり、これを使わない手はありません。

電気自動車(EV)から給電するローソンでの実証実験 — V2H & V2G 経由 VPP へ!(2019/07/22)

イオンモール堺鉄砲町にて、バーチャルパワープラント実証ならびに環境価値実証を開始(2019/07/25)・・・イメージ図にあるEVはアイ・ミーブっぽい

長くなったので、詳しくは書きませんが、電気自動車はガソリン車よりも効率よく走るために、その普及は日本の石油輸入量を大幅に減らし、石油資源の無駄を省くことにつながります。もっとも人口減やシェアリング、自動運転の普及によって、車そのものの数が減っていくでしょうから、ガソリン車が電気自動車に置き換わったとしても、電気の使用量が比例して増えることはないでしょう。

電気自動車による電気不足の心配をする前に、自動車を取り巻く環境・将来像をふまえて、電気自動車が普及すればどのようなメリットがあるか考えてみるのも面白いものです。

電気自動車は火力発電の電力を使うから意味がない?(2018/02/22)
3.世の中の乗用車が全部電気自動車になったら火力発電は足りなくなる?

電気自動車が増えても大丈夫<2019 /01/05>

再生可能エネルギーの地産地消を目指す( 金沢工業大学 未来社会 Society5.0をリードする研究力を身につける。令和元年度から新たな教育の取り組みを開始<2019 /07/10>

中国、ハイブリッド車優遇 環境車規制を転換へ (2019/07/13)

記事によると、中国政府は電気自動車だけを優遇する規制を見直し、ハイブリッド車も優遇する検討を始めたと伝えています。

具体的には、ガソリン車やハイブリッド車を100万台作るのに必要な電気自動車の生産台数を2万台としていたものを、修正案は、ガソリン車なら約2万9000台と厳しくし、ハイブリッド車はガソリン車と一緒にせずに逆に約6000台で済ませるというものです。

ガソリン車を減らし、電気自動車を増やそうという方向に変わりはありませんが、ハイブリッド車はちょっとまけといたろか、という修正案です。ですからハイブリッド車に強いトヨタやホンダには、朗報となりそうです。また、修正案には燃料電池車の普及も目指すとなっているそうですから、トヨタは二重の意味での追い風かもしれません。

ただし、ここで渡りに船とばかりに電気自動車へのシフトを緩めると、ただでさえ出遅れているのですから、あとあとボディブローのように効いてくるかもしれません。

【タイムズ24】タイムズカーシェアにEV100台導入を決定!~世界的なEVシフトに備え、EVカーシェアの運用体制を構築~ (2019/06/26)

タイムズ24は、カーシェアリングサービス「タイムズカーシェア」において、電気自動車100台を8月から順次導入すると発表していました。まずは、埼玉県・東京都・神奈川県、そして大阪府などへ展開するそうです。

なお、予定する配備場所は駅近くで、一部車両へWi-Fiも設置されるそうですから、ますますカーシェアリングサービスなのに全く走らないという利用をされるかもしれません。 リンク先のNTTドコモ調査によると走らせないで車内で3位「読書」、2位「友人や仕事上の電話」、1位「仮眠」だそうです。

電気自動車ですから、エンジン音で周囲に迷惑をかけることもありませんし、エアコンも効いて快適な個室空間に早変わりするのかもしれません。それならいっそのこと、車ではなくて車検も固定資産税もいらないコンテナハウスでもよさそうですが、移動手段としての会員の権利も確保しておきたいのでしょう。

2020年東京オリンピック・パラリンピックでデモ車を計画しているというトヨタの 「e-パレット」が登場すれば、走らない利用がますます増えるかもしれません。

( 「e-パレット コンセプト」 基本機能説明映像)

ちなみにタイムズ24は、以下のようにこれまでにも電気自動車を使ったカーシェアリングに取り組んでいます。

普及を妨げる最大の障壁は?ニッポンのEVと、EV事業のこれからを考える(2019/06/24)

「最大のネックは“値段が高い”こと」など、読み応えのある記事です。

2019年後半、正式発表される予定の「ホンダe」は、35.5kWhのリチウムイオンバッテリーを搭載するそうですから、間違いなく「高価」です。「ホンダe」は、日産リーフと比較される対象にはなるでしょうが、トヨタのいう「普及」には貢献しえないでしょう。

記事では、トヨタが2020年に市販すると発表した2人乗りの超小型EVについて、リチウムイオンバッテリーは10kWhまでではないかとその期待仕様を具体的に書いています。

ただし、軽自動車よりも小さい新たなカテゴリーの規格が経産省から発表されていない中で、トヨタが正式に2020年市販を公表した背景などを掘り下げてほしかったです。トヨタだからこそできるワザといってしまえばそれまでですが。
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(2020年に市販予定の2人乗り超小型EV:トヨタのHPより引用)

トヨタの前倒しにも増して、BMWは前のめりになっているようです。

独BMW、電動車投入計画を2年前倒し2023年までにEV・PHVを25車種( 2019/6/26)

当ブログでは、 トヨタも「EVの普及」へ(2019/06/09)と書きましたが、トヨタには「電動化技術」や「ハイブリッド」があるから優位は動かないという趣旨の記事も散見されます。

トヨタがEVに出遅れているなんて誰が言った!? ハイブリッド量産20年超のノウハウでEVでも世界制覇へ(2019/06/17)

かつてないメーカー同士の協業もトヨタに見るEV時代の開発戦略(2019/06/21)

その優位性を決定づけるものがトヨタの開発している「全固体電池」ですが、前回「半」固体電池?(2019/06/23)で書いたような次世代型リチウムイオン電池がいち早く登場してくると、2020年中にとりあえず「発表」されるという「全固体電池」は大丈夫かと心配してしまいます。

それを裏づけるかのように下記の記事の中には、「本当に全固体電池は必要なのか。現行の液系リチウムイオン電池を効率よく使いこなすことが、コスト面でも航続距離の面でも電気自動車(EV)にとって最善だ」とありました。

「2030年まで全固体電池は商品化しない」、CATLの真意 CATLの実像(下) (2019/06/24)

これを述べたのが、新たにトヨタが電池事業で提携する「CATL」の幹部だというのですから、真意は不明ですが、「全固体電池」の前途は多難そうです。

EVの普及を目指して(2019/06/07)

トヨタは、6月7日に行われたメディア向け説明会の様子(動画)とプレゼンテーションの内容を掲載していました。ちなみにこの会を司会者は冒頭「電動車普及チャレンジ説明会」と言っていましたが、トヨタがこのWebに掲載しているタイトルは「EVの普及を目指して」ですし、副社長は最初の説明の中で「中心になるのは間違いなくEV」とか「EV普及に向けたチャレンジを説明したい」と述べていました。

これまで「電動車」とは、ハイブリッド車や燃料電池車などを中心に語られており、あくまでも付け足しの位置づけでEVも含めた「電動車」と強調していましたが、「電動化」の計画を5年前倒しし「中心になるのは間違いなくEV」とは大きな様変わりであり、いよいよトヨタも大きく「EVシフト」へ舵を切ったのだと説明を聞いて私は感じました。

後ほどの質疑の中でトヨタがEV重視へと変わったのではなく、あくまでも既存の計画の中にEVは含まれており、今回の発表があるとの発言は、残念ながら言い訳にしか聞こえませんでした。自分でつけたタイトルが「電動車の普及」ではなく「EVの普及」であり、「普及」とはEVを広く「一般的」な物にしていくということなのですから。
(このブログで2回続けてトヨタを取り上げること自体が「大きな様変わり」)
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(画像:2017年12月に発表された電動車普及のマイルストーン

発表された「EVの普及」を念頭に置いたトヨタの取組は大きく以下の3点です。
  1. 超小型EV(軽自動車よりも小さいEV)を活用したビジネスモデルの構築を日本で
  2. 中国・米国・ヨーロッパとEV市場ができつつある所では様々なタイプのEVを開発
  3. 劣化しにくい電池の開発。世界の電池メーカーと協業

トヨタEVで使われた電池を他のEVに載せ換える組み替えや他の機器への再利用は、すでに日産などが取り組んでいるものと同じですから、後発企業として真新しいものはありませんでしたが、「充電サービスもEVに最適なものを」という言葉には期待が持てそうです。

今まで急速充電機能を持つプリウスPHVを販売しながら、全国のトヨタディーラーに急速充電器はほとんどありませんが、副社長の言葉通りだとすると、今後は「急速」な「普及」が見込めるかもしれません。

ただし、2020年に市販されるという2人乗りの超小型のEVは、1充電走行距離が100kmの近距離移動を想定したものだそうですから、そのような想定車に急速充電機能はいらないとなると、急速充電器の設置はさらに先延ばしされるかもしれません。インフラ整備コストは膨大なものになりますし、トヨタ車を扱う店は全国に約5,000店あるそうですから、そこすべてに設置するだけの急速充電器をすぐに準備はおろか製造することができないという面もあるでしょう。

逆に100kmの超小型EVであれば電池容量も少ないですから、急速充電器を使えば10kwhを15分くらいで充電することができ、超小型EVの使い勝手もあがります。また、ディーラーへの来店機会も増えることから商談にも結び付くかもしれません。そう考えて急速充電器を設置してくれるとうれしいのですが。

トヨタ 最初のEVはコンパクトから<2018 /06/09>

また、「EVに期待するお客様の様々な声」を元にまずは2020年に2人乗り超小型EVでスタートするそうですが、発表にあったように「お客様が必要とする商品を開発」となると、当初は4人乗りであったPHVがユーザーの要望で5人乗りとなったように、早期に4人乗りの軽EVへとシフトするかもしれません。

ほとんどの時間で2人までしか乗らないにもかかわらず、たまたま3人乗ることもあるとか、4人乗ることができると便利だとか、器の大きさにこだわる日本人の何と多いことか。

2人乗り超小型EVは、田舎でいうところの「軽トラ」の位置づけになるのかもしれません。グランドゴルフに集うお年寄りの車は、間違いなく「軽トラ」が多くを占めます。
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(2020年に市販予定の2人乗り超小型EV:トヨタのHPより引用)

ところで、私の知識では、2人乗りの超小型車両の規格はまだ策定されていないはずですが、トヨタが正式に2020年市販を公表したということは、その規格が内々に決まったということでしょうか。超小型車両は側面衝突など安全性に課題があると思っていましたが、まもなく示されるのかもしれません。

ヤマダ電機がEV販売を計画しているのも2020年までですから、タイで生産された日本発のFOMMが輸入される日も近いかもしれません。 

他にも気になったところは、電池の安定供給のために、パナソニックだけではなく中国CATLをはじめ、BYD、GSユアサ、東芝などとも協力業していくとした点です。 素人考えですが、電池の化学組成が同じでも電極などで電池の性能は微妙に異なり、その電池を安定的にマネジメントするシステム(BMS)はそれぞれ別に必要になるはずです。

また、東芝のリチウムイオン電池「SCiB」10.5kWhという同じ電池を積んでいるアイミーブMグレードとミニキャブミーブ・トラック(電トラ)でも、車の性能によりいわゆる電費(km/kWh)は違っていますし、受け入れる電気も100Vで900Wと860Wと微妙に違っています。

車種によって電池メーカーを使い分けるのかもしれませんが、電池の種類が増えれば増えるだけコストが増すでしょう。そうしたコストを負ってまでも増えるEVに備えるということなのでしょうし、将来的にEVが「普及」すると見越しているのかもしれません。

東芝のリチウムイオン電池「SCiB」が「劣化しにくい電池」であることは、このブログでも再三触れてきましたが、来年に市販される2人乗りの超小型EVが100km程度を想定しているのなら、最適な電池かもしれません。(希望的観測) 

トヨタとスバル、SUVモデルのEVを共同開発へ(2019/06/06)

トヨタとSUBARUは、中・大型乗用車向け電気自動車プラットフォームとCセグメントの電気自動車SUVモデルを共同開発すると伝えていました。他のメディアによると2020年代前半に、それぞれのブランドで売り出すそうです。

また、電気自動車の要の部品となる電池は、トヨタ、中国電池最大手と提携 電動化計画5年前倒し (2019/06/07)とあるように、中国の世界最大手の中国・寧徳時代新能源科技(CATL)と提携し、トヨタの「世界販売台数の半分を電動車にする目標時期を2025年と従来から5年ほど前倒し」するともありますから、6月5日に書いていた電気自動車の電費基準の中の「2030年」基準なんて、「厳しすぎる」どころか余裕を持って達成することができそうです。(販売数が伸びたらという前提で)

うがった見方ですが、経済産業省と国土交通省の新たな燃費規制の発表が3日でしたから、官僚の面目を守るために、発表後のプレスリリースになったのかもしれません。

どんな事情があるにしろ、電気自動車の選択肢が増えることはうれしいことです。

トヨタ、「5年早い」電動化に危機感 電池で全方位外交(2019/06/07)

トヨタ2029 電動化を最適化する 寺師副社長インタビュー(2)(2019/03/15)

寺師茂樹副社長へのインタビュー記事です。

冒頭で「国単位でみても自動車全体のシェアの1%に達している国は数えるほど」とあります。この1%がピュアEVだけを指すのか、PHEV(プラグインハイブリッド車)も含めるのかは文中に書いていませんが、電気自動車充電スタンド情報を提供するGoGoEVのコラム「【EV/PHEV】電気自動車・プラグインハイブリッド車の国別・メーカー別比較(2018年)」(2019/03/18)によれば、EV・PHEVを合わせた販売台数で18位のアイルランドまで1%を越えています。

元データの Visualizing EV Sales Around the World(Visual Capitalist)にも18位以降の国名は書いていませんが、2%台が9カ国ありますから、アイルランドの1.6%に続く1%台が数か国あってもおかしくはないでしょう。

世界の国数は約200か国ですから、1%台が仮にあと2か国あったとすると、約200か国のうちの約20か国が1%に達している国となりますから、その割合は世界全体の10%となります。

この数字から「1%に達している国は数えるほど」とみるか、「1%に達している国は世界に1割もある」とみるかは、その立ち位置にもよるでしょうが、月面探査プロジェクトに自車を送り込もうとするトヨタ自動車は、後者であってほしものです。 

「一生懸命電池性能向上とか、コストダウンとかはやっていかなきゃいけない。それはEVだけじゃなくFCVも同じです」と言いながらも、また、「全ジャンルの商品を揃え」といわれながらも、現実には高価なFCVは販売してEVは出していないのですから、まずはトヨタもEVを出してスタートしてほしいものです。
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(画像:JAXAのHPより引用) 

トヨタとパナソニック、EV電池を共同生産 20年に新会社 (2019/01/20)

トヨタとパナソニックは来年の2020年に、車載電池の新会社をつくると報じていました。

記事にはトヨタに忖度してか、「リチウムイオン電池」の言葉は出てきませんが、米テスラ向けのリチウムイオン電池を作っているパナソニックとの協業ですから、間違いなく2020年に導入されるであろうトヨタ製電気自動車はリチウムイオン電池を載せているということでしょう。

当ブログの「未来予想図」 には、2020年の欄のトヨタで2020年に中国へEV導入…車両電動化への取り組みを加速(2017/11/17)とあります。  
  • 2020年にオリンピックモデルの電気自動車を大会で使用
  • レクサスCTベースのEVは、トヨタ自動車九州で20年半ばをめどに生産(2018/01/01)
  • 『C-HR』および『イゾア』(IZOA)ベースのEVを中国市場に投入(2018/04/25)
2022年には全固体電池を載せたいようですが、電気自動車の商品化で遅れているトヨタにとって、あえて前面に出してこなかったリチウムイオン電池の利用をせざるを得ない状況になってきたということなのかもしれません。

トヨタ・パナソニックの協業から探る電気駆動車、EVに関する最大の課題(2017/12/13のものを再掲)

豊田章男社長も熱狂? 「ガチすぎる」トヨタの社内駅伝 (2018/12/17)

12月2日に開かれたトヨタ自動車の社員による「駅伝大会」の様子が紹介されていました。

注目した1枚の写真には、先導する超小型電気自動車「i-ROAD」が写っていました。


i-ROADの話を聞かないと思っていたら、しっかりと社内の行事ではありますが、トヨタスポーツセンター内の周回路を走っていました。

YouTubeの映像は2014年のものです。トヨタといえども超小型電気自動車の規格を経産省に認めさせる事は難しいようです。

グリーンボンド発行に関するお知らせ(2018/12/05)

トヨタグループの一員であるトヨタファイナンスは、環境負荷の低い電動車を販売するトヨタ店向け融資などにあてるグリーンボンドという債券を発行すると告知していました。

いよいよトヨタも資金面からも手当てし、電動車へ重心を移していくのかと期待しながらニュースリリースの文面を読んだのですが、「環境負荷の低い電動車」とは「ハイブリッド車・プラグインハイブリッド車・燃料電池自動車」であり、そこに「電気自動車」の文字は見あたりませんでした。

同じリリースの中に、 「トヨタ自動車株式会社は2015年10月「トヨタ環境チャレンジ2050」を公表、クルマの環境負荷をゼロに近づけるとともに、地球・社会にプラスとなる取組みの一つとして電動車の普及に取り組んでいます」とありますが、トヨタファイナンスもしくは文面の作成者は、トヨタの長期目標である「トヨタ環境チャレンジ2050」をよく読んでいないのかもしれません。

その「トヨタ環境チャレンジ2050」にある1項目目の「新車CO2ゼロチャレンジ」には、「次世代環境車(ハイブリッド車(HV)、プラグインハイブリッド車(PHV)、電気自動車(EV)、燃料電池自動車(FCV))のさらなる進化と普及促進を加速させます」と「電気自動車」はきちんと位置づけられているからです。下のようにイラストの中にも確かにEVはあります。
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(画像:トヨタ環境チャレンジ2050より引用)

また、これに続いての文では「エコカーは普及してこそ社会への貢献となります。EVやFCVが普及するためのインフラ整備についても、ステークホルダーの皆様と連携して進めていきます」ともあります。「EVやFCV」のインフラ整備とは、急速充電器や水素充填スタンドのことでしょうから、電気自動車に限っていえば日産や三菱の販売店がそうしたように、またホンダの販売店に続々と設置され始めているように、トヨタ販売店にも急速充電器を設置するだろうと考えるのが一般的で、そのための資金の一部を調達するために債券を発行するのかとリリースを読む前には思いました。

ところが、電気自動車のことはすっかり抜け落ちています。電気自動車には触れたくないなら、文面で 「ハイブリッド車・プラグインハイブリッド車・燃料電池自動車」と入れておけば良いものを、文章校正には引っかからず決裁されています。

「電気自動車」の文字は、たまたま落ちてしまったのかもしれませんが、意図的ではないにしろまた、関連会社の一部ではあるにしろ、これがトヨタとして電気自動車に対するスタンスなのではないか、潜在的な意識なのではないかと思えてしまいます。

急速充電出来るクラリティ PHEVを発売したホンダが、その販売店で急速充電器の設置を急速に進めている中、トヨタでは急速充電できるプリウスPHVを販売しながら、いまだにほとんどが200V普通充電器であることを考えると、トヨタの戦略には疑問符がついてまわります。
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(画像:トヨタカローラ滋賀販売店の普通充電器)

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