太陽光発電の電気で電気自動車を走らせようとソーラーパネル1号機を設置したのは、今年の2月のことです。その後、バックアップ用の系統 2号機も作りましたが、曇り空であっても少々の雨であっても明るければ発電するので、電気が余っている状態でした。(両方のシステムは電力会社と系統連結していません
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(奥が1号機1600W、手前が2号機1200W)

そこで、自作オフグリッドなのを良いことに、いろいろと接続機器や接続方法を変えてみて、ようやくシステムが落ち着いたので報告します。

1号機の1600Wは、今回の一番の目的である電気自動車への充電に使用しています。ただし、アイミーブの受け入れる電力が最大約900Wなので、パネルがそれくらいを発電しない天気の場合は、充電を補正する蓄電池を痛めないためにも充電しないように運用しています。

そうすると、雨の日にも明るければわずかずつでも発電できる電気の行き場がなく、もったいない状態となります。そこで、システムの電圧48Vを100Vに変換するインバーターにコンセント口が2つある一方を利用して、冷蔵庫の電源に利用しています。
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(画像:DENRYO SK2000)
1号機
冷蔵庫の消費電力(電熱装置の定格消費電力135W)は大きいですが、電気自動車に充電を行うのは、日中の900Wを越す発電量の時間帯だけですから、このインバーター(2000W)に大きな負荷はかかりません。瞬間的な負荷はかかりませんが、冷蔵庫は24時間動いているので、朝方にバッテリーの電気が少なくなるときがあります。そういう場合は、バッテリー電圧が50Vになると商用電源に切り替わるように設定してあります。

また、1号機のバックアップとなる2号機の1200Wを遊ばせておくのはもったいないですから、普段は家の一部分ですが室外と室内のコンセントに電気を供給しています。
2号機
オフグリッド用に増設した室外コンセントには、主に夜間のLED電灯(5W)、散水用地下水くみ上げポンプ(350W)、プロパンガス給湯器(185W)がつながっています。

室内の1カ所だけ電力会社の系統から切り離し、オフグリッド用に変更した室内コンセントには、主に充電式掃除機(稼働時350W)、スマホなどの各種充電器をつないでいます。
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(画像:接続箱。ブレーカーにつながっているところが1・2号機からの電気ルート)

普段は、1・2号機とも太陽光発電の電気を電気自動車やコンセントへ流していますが、停電が長引き、2号機につないだリチウムイオン電池の残量が少なくなったときは、電気自動車からの給電ができるように、接続箱に入力用のコンセントをも設けました。(冷蔵庫もオフグリッド用室内コンセントにつなぎ替える)

上の画像の中の黄色い電気コードは、電気自動車から家へ給電をおこなっているところです。写真に見える「切換カバースイッチ」を下げ、2号機につながる室内外コンセントへ電気自動車から給電しています。

電気自動車からの給電コードは、窓やドアのすき間から入れることもできますが、冬場を考えると寒気を入れないようにスマートな形にしました。
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(画像:ミニキャブミーブ・トラックから給電器のMiEV power BOXを通して、100V1500Wを接続箱のコンセントへ)

こうしたシステムにより、まずは電気代の節約ができるようになりました。中でも冷蔵庫は電気を多く使うために、使用量が大きく減りました。

また、停電時のバックアップもリビング1室に限りますが、ほぼできるようになりました。昨年秋の台風時には周辺で24時間以上の停電が起こりましたが、昼間は太陽光発電でカバーすることができますし、夜に太陽光発電部分のリチウムイオン電池の残りが少なくなってもアイミーブとミニキャブミーブ・トラックの2台の電池でまかなうことができます。

非常時のバックアップもできるようになりました。現在、テレビは電力会社の系統コンセントにつないでいますが、2号機の室内コンセントにつなぎ替えれば、情報を得ることができます。また、散水用に使っている地下水は水質検査を通っていますので、上水道が止まっても水を得ることができます。さらに、プロパンガスの給湯器ですから、破損しない限りは湯を沸かすことができます。

ただし、ソーラーパネルの発電量は、1・2号機合わせて2.8kWと小さいですし、太陽光発電のリチウムイオン電池は合計でも3.35kWh、アイミーブとミニキャブミーブ・トラックはそれぞれ10.5kWhの蓄電池を載せていますが、 約80パーセントまでしか使えませんから、それぞれ8.4kWhということになります。

このシステムで家を完全にオフグリッド化できているわけではありませんが、少なくともリビングの一部屋はオフグリッド可能で、水もガスも確保できるようになりました。冷蔵庫を消費電力の小さな最新タイプに買い換えたり、固定蓄電池を増設したりして一軒のオフグリッドを目指すのも一つの方法ですが、まずはとりあえず今ある資産を活用し、自立したシステムを構築することができました。

10年間の固定価格買取制度(FIT)が終わる2019年11月に向け、約53万世帯・約200万kWをねらって、自家消費対策のための固定した蓄電池設置を設置メーカーは勧めているようです。また、電気自動車を持っている人向けに、車に載っている電池を固定蓄電池の代わりに、充電したり放電させたりするV2H(Vehicle to Home)用の機器も販売されています。いずれも自動で制御してくれ、普段と変わらない生活を過ごすことができる便利な機器ではありますが、難点は高いことです。

これらの高い機器を購入しなくても、今ある物でアナログ的でもよければ、Vehicle to Room=V2Rはできました。