EVの普及を目指して(2019/06/07)

トヨタは、6月7日に行われたメディア向け説明会の様子(動画)とプレゼンテーションの内容を掲載していました。ちなみにこの会を司会者は冒頭「電動車普及チャレンジ説明会」と言っていましたが、トヨタがこのWebに掲載しているタイトルは「EVの普及を目指して」ですし、副社長は最初の説明の中で「中心になるのは間違いなくEV」とか「EV普及に向けたチャレンジを説明したい」と述べていました。

これまで「電動車」とは、ハイブリッド車や燃料電池車などを中心に語られており、あくまでも付け足しの位置づけでEVも含めた「電動車」と強調していましたが、「電動化」の計画を5年前倒しし「中心になるのは間違いなくEV」とは大きな様変わりであり、いよいよトヨタも大きく「EVシフト」へ舵を切ったのだと説明を聞いて私は感じました。

後ほどの質疑の中でトヨタがEV重視へと変わったのではなく、あくまでも既存の計画の中にEVは含まれており、今回の発表があるとの発言は、残念ながら言い訳にしか聞こえませんでした。自分でつけたタイトルが「電動車の普及」ではなく「EVの普及」であり、「普及」とはEVを広く「一般的」な物にしていくということなのですから。
(このブログで2回続けてトヨタを取り上げること自体が「大きな様変わり」)
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(画像:2017年12月に発表された電動車普及のマイルストーン

発表された「EVの普及」を念頭に置いたトヨタの取組は大きく以下の3点です。
  1. 超小型EV(軽自動車よりも小さいEV)を活用したビジネスモデルの構築を日本で
  2. 中国・米国・ヨーロッパとEV市場ができつつある所では様々なタイプのEVを開発
  3. 劣化しにくい電池の開発。世界の電池メーカーと協業

トヨタEVで使われた電池を他のEVに載せ換える組み替えや他の機器への再利用は、すでに日産などが取り組んでいるものと同じですから、後発企業として真新しいものはありませんでしたが、「充電サービスもEVに最適なものを」という言葉には期待が持てそうです。

今まで急速充電機能を持つプリウスPHVを販売しながら、全国のトヨタディーラーに急速充電器はほとんどありませんが、副社長の言葉通りだとすると、今後は「急速」な「普及」が見込めるかもしれません。

ただし、2020年に市販されるという2人乗りの超小型のEVは、1充電走行距離が100kmの近距離移動を想定したものだそうですから、そのような想定車に急速充電機能はいらないとなると、急速充電器の設置はさらに先延ばしされるかもしれません。インフラ整備コストは膨大なものになりますし、トヨタ車を扱う店は全国に約5,000店あるそうですから、そこすべてに設置するだけの急速充電器をすぐに準備はおろか製造することができないという面もあるでしょう。

逆に100kmの超小型EVであれば電池容量も少ないですから、急速充電器を使えば10kwhを15分くらいで充電することができ、超小型EVの使い勝手もあがります。また、ディーラーへの来店機会も増えることから商談にも結び付くかもしれません。そう考えて急速充電器を設置してくれるとうれしいのですが。

トヨタ 最初のEVはコンパクトから<2018 /06/09>

また、「EVに期待するお客様の様々な声」を元にまずは2020年に2人乗り超小型EVでスタートするそうですが、発表にあったように「お客様が必要とする商品を開発」となると、当初は4人乗りであったPHVがユーザーの要望で5人乗りとなったように、早期に4人乗りの軽EVへとシフトするかもしれません。

ほとんどの時間で2人までしか乗らないにもかかわらず、たまたま3人乗ることもあるとか、4人乗ることができると便利だとか、器の大きさにこだわる日本人の何と多いことか。

2人乗り超小型EVは、田舎でいうところの「軽トラ」の位置づけになるのかもしれません。グランドゴルフに集うお年寄りの車は、間違いなく「軽トラ」が多くを占めます。
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(2020年に市販予定の2人乗り超小型EV:トヨタのHPより引用)

ところで、私の知識では、2人乗りの超小型車両の規格はまだ策定されていないはずですが、トヨタが正式に2020年市販を公表したということは、その規格が内々に決まったということでしょうか。超小型車両は側面衝突など安全性に課題があると思っていましたが、まもなく示されるのかもしれません。

ヤマダ電機がEV販売を計画しているのも2020年までですから、タイで生産された日本発のFOMMが輸入される日も近いかもしれません。 

他にも気になったところは、電池の安定供給のために、パナソニックだけではなく中国CATLをはじめ、BYD、GSユアサ、東芝などとも協力業していくとした点です。 素人考えですが、電池の化学組成が同じでも電極などで電池の性能は微妙に異なり、その電池を安定的にマネジメントするシステム(BMS)はそれぞれ別に必要になるはずです。

また、東芝のリチウムイオン電池「SCiB」10.5kWhという同じ電池を積んでいるアイミーブMグレードとミニキャブミーブ・トラック(電トラ)でも、車の性能によりいわゆる電費(km/kWh)は違っていますし、受け入れる電気も100Vで900Wと860Wと微妙に違っています。

車種によって電池メーカーを使い分けるのかもしれませんが、電池の種類が増えれば増えるだけコストが増すでしょう。そうしたコストを負ってまでも増えるEVに備えるということなのでしょうし、将来的にEVが「普及」すると見越しているのかもしれません。

東芝のリチウムイオン電池「SCiB」が「劣化しにくい電池」であることは、このブログでも再三触れてきましたが、来年に市販される2人乗りの超小型EVが100km程度を想定しているのなら、最適な電池かもしれません。(希望的観測)