グリーンボンド発行に関するお知らせ(2018/12/05)

トヨタグループの一員であるトヨタファイナンスは、環境負荷の低い電動車を販売するトヨタ店向け融資などにあてるグリーンボンドという債券を発行すると告知していました。

いよいよトヨタも資金面からも手当てし、電動車へ重心を移していくのかと期待しながらニュースリリースの文面を読んだのですが、「環境負荷の低い電動車」とは「ハイブリッド車・プラグインハイブリッド車・燃料電池自動車」であり、そこに「電気自動車」の文字は見あたりませんでした。

同じリリースの中に、 「トヨタ自動車株式会社は2015年10月「トヨタ環境チャレンジ2050」を公表、クルマの環境負荷をゼロに近づけるとともに、地球・社会にプラスとなる取組みの一つとして電動車の普及に取り組んでいます」とありますが、トヨタファイナンスもしくは文面の作成者は、トヨタの長期目標である「トヨタ環境チャレンジ2050」をよく読んでいないのかもしれません。

その「トヨタ環境チャレンジ2050」にある1項目目の「新車CO2ゼロチャレンジ」には、「次世代環境車(ハイブリッド車(HV)、プラグインハイブリッド車(PHV)、電気自動車(EV)、燃料電池自動車(FCV))のさらなる進化と普及促進を加速させます」と「電気自動車」はきちんと位置づけられているからです。下のようにイラストの中にも確かにEVはあります。
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(画像:トヨタ環境チャレンジ2050より引用)

また、これに続いての文では「エコカーは普及してこそ社会への貢献となります。EVやFCVが普及するためのインフラ整備についても、ステークホルダーの皆様と連携して進めていきます」ともあります。「EVやFCV」のインフラ整備とは、急速充電器や水素充填スタンドのことでしょうから、電気自動車に限っていえば日産や三菱の販売店がそうしたように、またホンダの販売店に続々と設置され始めているように、トヨタ販売店にも急速充電器を設置するだろうと考えるのが一般的で、そのための資金の一部を調達するために債券を発行するのかとリリースを読む前には思いました。

ところが、電気自動車のことはすっかり抜け落ちています。電気自動車には触れたくないなら、文面で 「ハイブリッド車・プラグインハイブリッド車・燃料電池自動車」と入れておけば良いものを、文章校正には引っかからず決裁されています。

「電気自動車」の文字は、たまたま落ちてしまったのかもしれませんが、意図的ではないにしろまた、関連会社の一部ではあるにしろ、これがトヨタとして電気自動車に対するスタンスなのではないか、潜在的な意識なのではないかと思えてしまいます。

急速充電出来るクラリティ PHEVを発売したホンダが、その販売店で急速充電器の設置を急速に進めている中、トヨタでは急速充電できるプリウスPHVを販売しながら、いまだにほとんどが200V普通充電器であることを考えると、トヨタの戦略には疑問符がついてまわります。
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(画像:トヨタカローラ滋賀販売店の普通充電器)