日産のバッテリー部門買収の中国企業「ガソリン車は終わる」(2018/12/05)

上海エンビジョングループ(遠景集団、Envision Energy)の関係者の話として、バッテリーセルのコストは、2020年までに1kWhあたり100ドル、2025年で50ドルのものを市場に投入できると伝えています。

なお、記事では現状のEVバッテリーコストは、1kWhあたり200ドル弱(約2万3000円)としていますが、私が電気自動車を買った2011年頃は、自動車価格の半分が電池代と言われていましたから、それで計算すると私の乗る電気自動車は1kWhあたりは約14万円もしました。

電気自動車の価格がガソリン車に比べ割高なのは、その生産台数が少ないこともありますが、高い電池価格が大きな原因です。その要因がなくなれば、マフラーなどエンジンに関わる数々の部品がない電気自動車の製造コストは、ガソリン車よりも安くなるのは必然で、「ガソリン車の時代は終了に向かう」とも述べています。

ただし、「2020年までに100ドルのバッテリーを米国市場向けにリリースする」とも言っていますが、トランプ政権では、電気自動車向けの補助金廃止を検討していると伝えられていますから、アメリカではガソリン車の時代は延命されるかもしれません。しかし、この記事のように電気自動車がガソリン車よりも安くなれば、もとより補助金を必要としなくなりますから、電池をとりまく環境が変わればアメリカのガソリン車は世界的にはもちろん、アメリカ国内でも先細りするでしょう。「今」だけのトランプ氏の感情で重要事項を決めると、将来、大量の失業者をアメリカは生んでしまうかもしれません。

もう一つのニュースは、「大容量」かつ「長寿命」のリチウムイオン電池の話題です。材料メーカーのJNC(Japan New Chisso)が、「大容量」と充放電を繰り返しても容量が落ちにくい「長寿命」を実現する負極材料添加剤を共同開発するNanoGrafに出資したと告知しています。

負極材料の共同開発企業(米国)へ出資のお知らせ(2018/12/03)

NanoGrafのホームページによると、この負極材料添加剤をリチウムイオン電池に使うことによりエネルギー密度を現在の約2.7倍から約6.7倍以上に高めることができるとしています。

「大容量」かつ「長寿命」の「全固体電池」の登場を期待してやまないメーカーもありますが、リチウムイオン電池の進化もまだまだ期待できそうです。

近い将来登場するであろう全固体電池は、リチウムイオン電池よりも性能が高いばかりでなく、価格も安くないと、その存在そのものが危ぶまれそうです。
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(画像:NanoGrafのHPより引用)