連休には充電器を利用された方も多かったことでしょう。そして、充電渋滞・充電待ちにあわれた方も多かったかと思います。

以下は、日本充電サービス(NCS)が公開している昨年の年末から年始にかけて(2017/12/28~2018/1/3)の使用実績ですが、これを見ると1カ所に2基設置されているSAなどは、充電渋滞が発生している「赤色」が1基の所よりも少ないですから、電気自動車だけでなくPHEVも増えている中、充電器の増設はこれからも必要不可欠でしょう。
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(画像:「ゴールデンウィークに急速充電器をご利用予定の方への参考情報」より引用)

しかし、急速充電器の設置費用は高額なためになかなかすすまないのが実状ですし、設置されても維持費の関係から出力を急速の50kWではなく、30kWや20kWといった「中速」と呼ばれるものになることが多いのが現状です。

こうした充電環境の中で、新型リーフを見かけることも多くなり、プリウスPHVやアウトランダーPHEV、海外メーカーのPHEVも発売されていることから、利用が多い場所の充電器では前述のような充電待ちがたびたびおこっています。そこで、今ある環境の中で少しでも気持ちよく使うことができる方法を考えてみたいと思います。
  1. 充電ノウハウと「マナー」の説明が必要
  2. 充電カードプランの「見直し」も必要
  3. 設置場所へ要望を
充電ノウハウと「マナー」の説明が必要
実際には、充電に「マナー」と呼ばれる決まったものはありません。充電機器によって「30分で交代」といった最低限の「ルール」があるだけで、あとは暗黙の了解で、「充電が終わりそうな時間には戻っている」だとか「充電コードはきちんと片づける」「充電後は車を移動させる」といったマナーが求められています。

メッセージ・ボード

しかし、この30分ルールは、初期の電気自動車で宣伝された「約30分でバッテリーの80%まで充電可能」といった宣伝コピーからきた制限であると考えられ(バッテリーの急速充電設計による?)、実際には、30分はあくまでも目安であって、目的地までの距離や残りの電池の容量、充電待ちする次ぎの車の有無などいろいろな条件によって、本来は充電は70パーセントであってもよいし、充電時間は20分間であってもよいのです。

また、この「30分」という数字は、制限時間いっぱいまで充電することが当然のような思い込みにもつながっています。

電池の特性や電池を劣化させないために、メーカーや電池によって違いはありますが、充電割合が80パーセント前後になると、電気を受け入れる量が減っていきます。具体的には、充電割合30パーセントからはじめた充電時には、充電器に125A表示されていた電流値が、たとえば80パーセントを越すとだんだん下がってきて、90パーセントでは25Aしか流れず、95パーセントでは5Aも流れないというふうになっています。

こうなると時間がかかるわりには、電気は貯まりません。しかし、律儀に30分間、充電器の前でたたずんでいるとしか思えないEVをよく見かけます。憶測かもしれませんが、新型リーフで新しくオーナーになったような方に多く見られます。(車内にいらっしゃれば安心ですが、買い物などで放置されていることもあります)

先に充電している車に何度か出会っていますが、30分の制限時間いっぱい充電している多くの場合、充電器に5Aなどと一桁の数字が表示されていることがよくあります。急ぐ旅でないのならそれでも良いでしょうが、確実に5分や10分を無駄に過ごしていることになっています。

電気をできる限りたくさん入れたい気持ちはわからなくはないですが、私が乗る電池容量の少ないアイ・ミーブMグレード(10.5kWh)でさえも80パーセント入れば、高速道路上で次のSAまでたどり着くことができるのですから、それよりも容量の多いEVでは、時間の無駄でしかありません。

こうした充電のノウハウを知り、「充電が終わりそうな時間には戻っている」といったマナーを守れば、たとえ充電環境が十分でなくても、自分も他のオーナーも気持ちよく使うことができるはずです。

しかし、こうしたノウハウを新車にしろ中古車にしろ電気自動車を売った側が、しっかりと説明しているかと言えば、はなはだ疑問です。ガソリン車を売ったときにセルフスタンドでのガソリンの入れ方を説明しないように、充電のノウハウは営業マンから伝わっていないでしょう。第一、営業マン自体が電気自動車に乗っておらず、ノウハウを持っていないことが多いのですから。

今後、電気自動車などが増えてきても、避けられるはずのトラブルを事前になくすためにも、こうした充電ノウハウと「マナー」の説明は、販売する責任として引き渡し時に説明されるべきでしょう。(ただし、これは充電時間が短縮されるという「全固体電池」の登場や完全自動運転車の出現までの話かもしれませんが)
 
充電カードプランの「見直し」も必要
30分制限をフルに使って、時間がかかっても0.1kWhでも入れようとするのは、充電料金が月極固定である日産「旅ホーダイ」プランなども影響しています。同じ2,000円(税別)ならできるだけたくさん充電しようとするのは、人情として理解できます。

メーカーなどにより様々なプランがありますが、 他の充電カードは、充電時間により課金されます。三菱自動車のベーシック・プランの場合、高速道路のSAやコンビニでは1分12円ですから30分では360円となります。これが日産の「旅ホーダイ」プランの場合、何時間充電しようが月額2,000円です。

テスラの場合は、自前の充電網・スーパーチャージャーでの充電は当初、どれだけ充電しても無料としていましたが、台数が増えてきたためか、現在は「毎年400kWh(約1,600km)分の充電代」が無料で、制限を超えた場合に課金される仕組みを設けています。

新型リーフは販売が好調のようですから、日産店舗での充電渋滞はこれから多くなっていくでしょう。すでに今までの1店舗1台の急速充電器から、2台態勢へと 変更されるところが出てきているようです。満足度を維持するためには、充電器の台数を増やすこともですが、今後はテスラのように制限を設けることも必要となるでしょう。

設置場所へ要望をしませんか
上記の2点はディーラーであったりメーカーであったりといった、私の手の届かないところでの話です。むろん、充電のノウハウやマナーを私のようなブログで個人的に伝えることは、限定的にはなりますが可能で、これまでも充電レポートなどでおこなってきました。

さらに私のできることとしておこなっているのが、充電器の設置場所へ要望を直接伝えることです。より良い充電環境を作ってもらえるように提案をおこなっています。

たとえば、高速道路のSAなどへは急速充電器の増設と普通充電器の設置をお願いしています。ハイウェイポストには、「ご意見葉書」のような物がありますから、それに以下のような要望を書くのです。

NEXCOでは、高速道路の充電器は、経路充電(目的地までの途中充電)として急速充電器を整備しているので、普通充電器の設置計画はないとしていますが、電気自動車に乗ったことのない人に実状はわかりません。
EV充電器のうち普通充電器(200V)を設置してください。食事していると30分はたってしまい、おちついて食べていることができません。急いでいる人は「急速」、時間にゆとりのある人は「普通」とすみわけることができ、充電待ちを回避することができます
また、ショッピングセンターなどに普通充電器が配置されることも多くなってきました。ところが、ガソリン車との競合もあるために、せっかく設置されていても枠がふさがれていて利用できないことがあります。

そこで、そのようなところでは、以下のような要望を店舗の投書箱に入れたり、ホームページに掲載してある「お客様センター」へメールなどで連絡をしています。(イオンに対するご意見・ご要望・ご質問
電気自動車の駐車スペースを確保するために、カラーコーンなどを置いていただけませんか。充電器を利用しようとしましたが、ガソリン車が充電場所を占拠していてできませんでした。10台分のスペースすべてとは言いませんが、せめて半分の5台分でもカラーコーンなどを置いていただけるとありがたいです。
手間なことはしたくないのは誰もが同じですが、一人ひとりが声を上げることで、配慮されることもあります。実際に某ショッピングセンターでは、すぐにカラーコーンを設置していただくことができました。

店舗としてもカラーコーンを置くだけで、店内呼び出しをする必要がなくなったり、クレームの電話を受ける回数が減ったりすれば、スタッフの業務量を減らすことができるでしょう。

小さな取組でも何人もがおこなえば、会社を動かす力となるかもしれません。今ある環境の中で、少しでも気持ちよく充電器を使うことができるような方法を、これからも考えていきたいと思っています。