電気自動車「先進国」イギリス 街灯から充電(2017/11/21)

このレポートでは、冒頭に走行しながら無線で充電する導入実験道路の様子が映し出されています。このような走行しながらの充電が可能になり普通になれば、価格が高く重い電地をたくさん積む必要は無くなりますが、無線の規格統一も決まっていない現状では、実現はまだまだ先のことです。
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(画像:HPより引用、タイトルは「先進国」イギリスですが撮影場所はフランスです)

(蛇足:上記記事中の「あるカーセンターでは、車の紹介、販売だけではなく、家に設置する充電器の設置まで面倒を見てくれる」は、日本でもすでにディーラーが対応している。
「増え続ける充電スポットを効率的に見つけるための手段について、イギリスでは、この点についても対応が進んでいる《ZAPMAP》」は、日本にも「EVsmart」や「GoGoEV」などすでに複数ある。両方とも事前調査不足)

充電道路の計画は、世界的なEVシフトや技術革新により、電池の量産が始まり電池価格が低下すれば、先のような路面に無線設備を敷くコストの方が高くなり、計画自体が白紙になるかもしれません。また、自動運転と自動車のシェアリングがすすめば、車を個人で所有するという考え方がなくなり共有することになれば、社会の中の車の数自体が激減するかもしれないと言われていますから、インフラ整備にかけるコストも少なくなり、無線充電道路の維持管理は難しくなるかもしれません。

そんな未来を左右するのが電気自動車の要である『電池』であることは、少なくとも間違いありません。また、その電池の未来像は2つあって、進歩した『リチウムイオン電池』と新たに出てくるであろう『全固体電池』であることも間違いなさそうです。

その『リチウムイオン電池』と『全固体電池』のメリットとデメリットをEVの課題克服?リチウムイオン電池の後釜(2017/5/18)や他の記事を元に以下に整理してみました。

 

リチウムイオン電池

全固体電池

安全性

△→◯
可燃性溶媒
電解液漏出リスク
難燃性の電解液 

◯△
発火しにくい
固体電解質
硫化水素ガス発生

設計自由度
電極に析出するデンドライトが
正極と負極をショートする
可能性 


意図しない電極に流れる 

◯→?
低いと言われていたが
多層化
直並列設計が容易

体積

減・軽量化
動作温度域
高温や低温で出力低下

性能が安定
容量密度
航続距離 
△→◯
短い→長い
△→◎
容量密度が小さい
出力密度が低い
→Liの2倍・3倍
充電時間
量産技術・製造コスト
大量生産中
×
試作段階 

こうしてみると全固体電池はメリットが多いですが、リチウムイオン電池の性能向上の話題も出てきます。たとえば、東大が燃えない電解液 リチウムイオン電池の安全向上(2017/11/28)では、リチウムイオン電池の電解液に難燃性の物を開発し、安全性を高めたと紹介されています。

また、EV用電池の容量大きく 信大など技術開発(2017/11/28)では、リチウムイオン電池の体積エネルギー密度を25%引き上げる技術・高容量化につながる技術の一つとして、カーボンナノチューブの利用をあげています。

新材料の報告が契機に(2017/11/20)には、全固体電池が次世代電池として有望だとしていますが、メリットだったはずの安全性の点で「急速充電時に内部に結晶ができてショートの原因となる問題もみつかった」とあることは気にかかります。また、この記事には「電解質の改良で容量や寿命は25年にも解決できる」ともありますが、この先8年間という時間があれば、リチウムイオン電池の改善やコスト低下が全固体電池が追いつくことができないほど進むことも考えられます。

LG CHEMがポーランドのバッテリー工場を2018年より稼働(2017/11/27)には、ヨーロッパで初めて「大量生産EV用バッテリー、リチウムイオン電池セルを製造する工場が動き出す」とあります。また、サムスンSDI、ハンガリーの新工場完成(2017/5/30)には、2018年春以降に本格的な量産を始める計画とあり、 韓国SK、ハンガリーにEV電池の新工場 840億円投資(2017/11/30)にも、韓国内の瑞山工場に対する増産投資と、ハンガリー工場の2020年の稼働を目指すとあります。

中国では、テスラパナソニックも新たな生産工場を作ったり、増産する計画を検討中のようです。また、インドでは、スズキがデンソー、東芝との合弁によるリチウムイオン電池工場を作っています。このように世界各地で次々と増産の計画があることから、製造コストの更なる引き下げがおこることは間違いありません。

トヨタでは全固体電池を載せた電気自動車を2020年に発売するとの記事が以前にありましたが、2020年代前半へと後退しています。次世代の電池が『全固体電池』となるか、改良された『リチウムイオン電池』となるかは2020年頃にハッキリとするのでしょう。