出遅れるな、世界のカーメーカーのリーダーとして(2017/07/09)

学生が発言するプロジェクトの中で、「リーフ」に1か月間乗った体験を載せています。
その中で、気になった点を2つ上げておきます。
まずは、「電気自動車を前面に押し出しているメーカーは現在のところ日産のみ」です。まあ、事実としてはほぼ当たっていますが、「世界初の量産型電気自動車」を作ったメーカー三菱自動車工業の認知度はこの程度という例でしょう。

もう一つは以下の文です。「電気自動車の普及の遅れの最大の原因は何といっても充電スポットの少なさと充電にかかる時間です。ガソリンスタンドより充電スポットが圧倒的に少なく、また急いでも80%充電まで最大30分かかることなど、かなり面倒なのは否めません」

1か月間試乗した体験を元に書いているはずですが、現電気自動車オーナーとしてはここにも違和感を感じます。確かに、急速充電器が今以上に増え、1カ所に複数基付けばさらに便利ではありますが、現状でも当初の不便さは解消されつつあります。

著者の学校は同志社大学とありましたから、京都府にお住まいでしょう。ドライブには近隣の県まで出かけられたでしょうが、こと京都府に関していえば、 充電スタンドの情報を載せる「EVsmart」によると総数で402ヵ所あり、そのうち急速充電器は、ざっと数えただけでも100数ヵ所あります。ほぼ把握している臨県の滋賀県内には総数で244カ所の充電器があり、そのうち急速充電器は118カ所に設置されています。(普通充電器と急速充電器が併設されていても1カ所とカウント)

これが少ないと見る向きがあるかもしれませんが、ガソリンスタンドの数は統計は古いですが、2014年には京都府内452ヵ所・滋賀県内342カ所となっています。ガソリンスタンド1カ所につき、いくつも給油口があることは多いために、実際にはその差はもっと大きいですが、単純に比較すれば、京都府の場合ではスタンド:急速充電器=452:100となります。(スタンドの数は毎年減り続けており、3年後の現在は数をさらに減らしていると予想される)

ちなみに、2009年から2016年までの8年間に購入補助金を受けた電気自動車とプラグインハイブリッド車の合計台数は、京都府で2418台、滋賀県で1732台となっています。「世界初の量産型電気自動車」である三菱アイミーブの法人販売は、2009年から始まっていますから、この台数が上限であると考えて良いでしょう。

また、2017年4月末現在の乗用車の保有台数は、京都府で1,004,772台、滋賀県で794,554台となっており、集計年度が違っているため正確ではありませんが、京都府と滋賀県とも乗用車に占める電気自動車とPHVの割合は、それぞれ約0.2パーセントでしかありません。そのわずかの台数にもかかわらず、ガソリンスタンドの4分の1から3分の1もの充電器があるとも考えることができます。

さらに、個人住宅であれば、夜間に充電するために普通充電器を設置することが『普通』ですから、購入者の約半分が設置したとして、京都府で1200基、滋賀県で860基もの隠れた充電器が存在することになります。それも合わせれば、「圧倒的に少なく」というのは思い違いではあるでしょう。

著者は学生ですから、下宿先に普通充電器がないために夜駐車している間に満充電にすることができず、街中の急速充電器に頼らざるを得なかったため「圧倒的に少なく」と感じたのかもしれませんが。

(マーケティングを本業とする人でも「電気自動車の普及のためには、充電スタンドの普及と充電時間の短縮、走行距離と価格が鍵を握っています」と書き、いまだに普及が進んでいないようなコメントもある)

このような思い込みは、慣用句のように唱えられる急速充電で「80%充電まで最大30分」とかなり重なる部分があります。自動車メーカーの広告している数字がひとり歩きしているようです。実際に『30分』は、「バッテリー残量警告灯が点灯した時点から充電量80%までの目安」であって、ガソリン車でガス欠の警告灯が出るまで走ることはまれであるように電気自動車も同じようにその前に充電に立ち寄るでしょう。にもかかわらず、充電には必ず『30分』かかるものと誤解され、紹介文にはいつも引用されます。充電時間は、電池の容量や種類、電池の温度、気温にも左右され、30分かからずに済ますこともできます。

自宅で充電できれば、携帯を充電するように帰宅後に充電ガンを指しておくだけで、朝には満充電になっているのですから、そうであれば「面倒なのは否めません」という感想はなかったものと思われます。ガソリンスタンドで給油する必要がなくなり、自宅で一瞬カチッと充電ガンを差し込むだけで、朝には勝手に終了しているのですから、不便利なことはありません。

次世代自動車振興センターでは、「Ⅴ.マンション及び事務所・工場等への充電設備設置事業(基礎充電)の申請について」で充電設備に補助(充電設備の購入費の1/2等)を行っていますから、このような制度を利用できるところは利用して、利便性を高めていく必要があるでしょう。(マンションとは:共同住宅および長屋のことをいう)

いずれにせよ、1か月といわずにもっと長く乗ってもらって、たくさんの人に情報発信してもらうことが『誤解』を取り除き、電気自動車の普及につながっていくのでしょう。