2017/12

中国が5年で「EV先進国」に。中島聡が予測する自動車業界の未来(2017/12/27)

記事では、これから3~5年ぐらいで自動車業界に起こるであろう近未来とさらにその先の未来を、「EVシフト」「自動運転」を中心に描いておられます。

この中でEVシフトの一番の課題として、リチウムイオン電池をあげておられますが、そのリチウムイオン電池生みの親のインタビューを載せたのが以下の記事です。

EV普及による変化を見据えよ-リチウムイオン電池生みの親の吉野氏(2017/12/27)

この記事で印象的なのは、『将来、無人自動運転が普及すれば、カーシェアリングが広がり、「世の中にマイカーはなくなり、片道の走行距離は300キロ走れば十分」な状況になる』という指摘です。シェアするようになると1台あたりの電気自動車が長い『距離を走ることになり(電池の)耐久性が重要になる』【()内はこのブログで加筆】というところです。(以下、適宜加筆しています)

長距離運転をするにしても個人所有の車であれば、経路上での急速充電や過去何度も検討されてきたバッテリー交換といった電気を補充する手間がいりますが、「無人」自動運転のカーシェアリングであれば、あらかじめ200キロ先の休憩する高速道路SAなどに配車を依頼しておけば、そこまで乗ってきた車から別の車に荷物を載せ換えるだけで充電する必要はなくなります。無人になった車はシェアリング専用の駐車場へ自動運転で戻り、無線方式で再充電されるでしょう。

もっと想像を膨らませれば、東京から大阪へと目的地を告げた時点で、AIが地形データと配車された電気自動車の電池残量を考慮して、乗り継ぐ車を適切なSAなどに事前に用意してくれるでしょう。そして、こうした運行が可能になると、経路上の「急速充電器」は不要になりますから、「充電に30分」ばかりか「充電待ち」も過去の言葉になるかもしれません。

現在は、何かというと電気自動車の欠点の一つとして、短い走行距離も問題にされ、自動車メーカーも電池メーカーもその高性能化に躍起になっていますが、「300キロ走れば十分」となれば、今ある電池性能でも問題がないことになり、課題はその低価格化と劣化しにくい高耐久性へと移ることになります。

そうなると、流行りのように盛んに取り上げられる「全固体電池」も「低価格」「高耐久性」という課題を乗り越えなければ、シェアリングの時代には生き残ることができないということになります。全固体電池の開発に時間がかかれば、その間にリチウムイオン電池の価格がその差を取り戻せないぐらい下がるかもしれず、その場合、全固体電池はデビューすることさえできないかもしれません。

将来は、電気自動車と自動運転が有望だと言われていますが、未来予想図でいうところのイギリスやフランスでガソリン車などの販売が禁止される今から22年後の2040年というと、日本では超高齢化社会になり、人口の減少にともなって税収も減り、道路や橋といったインフラの修理も追いつかなくなる中で、自動車自体のありようはどうなってゆくのでしょう。

ちなみに2040年には24歳になる2016年生まれの子は約98万人で、昨年に約131万人亡くなっていますから、1年間で約33万人も減っています。この人数は、沖縄県那覇市規模の都市が一つ消えてなくなったのと同じです。

そういった社会環境の中で、カーシェアリングが広がりマイカーといった概念もなくなり、自動車の販売数も何分の一かに減れば、はたして今の自動車メーカーや自動車産業自体が生き残ることができるのでしょうか、これからは先の吉野氏が言うところの「社会の変化を見据えた技術開発」がますます必要となるのでしょう。

近未来では、電気自動車を取り巻く環境がどのようなものになるのか楽しみでもありますが、「社会の変化を見据えた」とは思えない水素スタンドにかける政策を見ると不安でもあります。(電気を貯める素材としての『水素』には期待しますが)

今年1年、電気自動車ニュースをご覧いただき、ありがとうございました。
今後ともよろしくお願いします。

(【FORZA STYLE】 メルセデス・ベンツが描く未来のクルマとは?) 

三菱自動車 2017年11月度 生産・販売・輸出実績(2017/12/27)

リンク:2017年11月 軽四輪車 通称名別新車販売確報(全国軽自動車協会連合会 - 統計資料)

11月は、前月よりもわずかながら販売台数を増やしていますし、燃費不正の影響を引きずっていた昨年同月と比べると大幅に数が増えています。世界的にEVシフトの情報が流れる中で、電気自動車が注目されたのかもしれません。

2019年にも次期軽EVが発売される可能性が出てきましたが(日産と三菱の軽EV)、買え控えになる前に、「軽」のアイミーブを、Mグレードを買うなら今しかないに書いたように来春に三菱では、アイミーブを軽自動車から普通車へ車格を上げるそうですから、今後12月から年度末にかけて駆け込み需要はあるかもしれません。
1

2009年11月から2017年11月までの各車種国内販売総数(メーカー発表値)

 

アイ・M

ミニキャブ・M

アウトランダーPHEV

M-トラック

国内販売総数

10706

6551

40148

1018

↓2017年度合計

102

183

2782

3

03月




02月




01月



12月




11月
2018235-
10月
1416237-
09月
1317568-
08月
1216293-
07月
10302801
06月
1332487-
05月
13354001
04月
7192821

 

アイ・M

ミニキャブ・M

アウトランダーPHEV

M-トラック

↓2016年度合計

145

205

3625

43

03月
14378464
02月
30
66
459
2
01月31111904
12月
216244-
11月
753114
10月
11
2
486
8
09月
2
4
(未発表)1
08月
7
3
151
3
07月
10
11
261
2
06月
1521
253
9
05月
10
20
174
3
04月
6
9
250
3
アイ・M
ミニキャブ・M
アウトランダーPHEV
M-トラックは2016/03をもって製造中止
↓2015年度合計

489

423

11840

126

03月
10
8
955
6
02月
39
71
1317
20
01月
31
23
801
6
12月
35
21
518
11
11月
23
27
814
8
10月
21
26
1145
4
09月
73
57
1896
15
08月
68
44
1313
9
07月
73
32
2383
9
06月
59
51
221
19
05月
38
45
289
14
04月
19
18
188
5

アイ・M

ミニキャブ・M

アウトランダーPHEV

M-トラック

↓2014年度合計

824

781

8629

181

03月
60
44
796
22
02月
82
52
603
25
01月
84
84
830
20
12月
70
57
608
22
11月
92
76
558
22
10月
102
93
538
18
09月
97
110
1450
6
08月
51
87
457
10
07月
102
124
700
4
06月
41
17
1300
14
05月
25
12
563
10
04月
18
25
226
8

アイ・M

ミニキャブ・M

アウトランダーPHEV

M-トラック

↓2013年度合計

1099

1006

8968

181

03月
130
124
736
30
02月
238
98
1630
16
01月
55
42
1298
17
12月
82
59
1488
9
11月
66
92
1705
9
10月
75
93
560
15
09月
95
137
772
21
08月
54
71
776
9
07月
68
93
-
14
06月
70
79
-
9
05月
62
71
-
7
04月
100
71
3
25

アイ・M

ミニキャブ・M

アウトランダーPHEV

M-トラック

↓2012年度合計

2205

2026

4304

436

03月
358
344
1719
269
02月
377
317
2079
167
01月
79
58
506
48
12月
137
121
11月
189
133
10月
141
128
09月
212
197
08月
86
107
07月
157
200
06月
288
256
05月
142
134
04月
39
31

アイ・M

ミニキャブ・M

↓2011年度合計

2552

1927

三菱発表 2012/03
国内外 累計:26000

03月
117
123
02月
446
590
 
 
01月
341
467
 
 
12月
359
747
 
 
11月
326
MINICAB-MiEV
12月販売 
 
 
10月
244
 
 
 
09月
340
 
 
 
08月
207
 
 
 
07月
61
Mグレード販売
 
06月
40
 
 
05月
34
 
 
04月
37
 
 

アイ・M

 

 

↓2010年度合計

2542

 
 
03月
102
震災
 
 
02月
321
 
 
 
01月
219
 
 
 
12月
164
 
 
 
11月
172
 
 
 
10月
179
 
 
 
09月
277
 
 
 
08月
221
 
 
 
07月
383
 
 
 
06月
390
 
 
 
05月
53
 
 
 
04月
61
個人販売
 
 

アイ・ミーブ

 
 
 

↓2009年度合計

748
 
 
 
03月
101
02月
151
01月
188
12月
145
11月
163
(これより以前のデータはなし。「i-MiEV(アイミーブ)」は2009年7月23日から法人販売)

11月26日に三菱自動車工業 岡崎製作所で開かれた「MMF2017」(Mitsubishi Motors Fan)に電トラことミニキャブミーブ・トラックで参加してきた報告をMitsubishi Motors Fan 2017(2017/11/28)でしましたが、 その時に雑誌「driver」が会場を取材されていました。

もしやと思い、12月20日発売の2月号を買い求めたところ、136-137ページに「MMF2017」の様子が掲載されており、その中の「マニアックなクルマやオーナーを直撃! 偏愛オーナー大集合」のコーナーに私の「こたつにミカン・トラック」を「みかんを食べる?」「お父さん」として載せていただきました。

IMG_2752
(当日の様子)

P1170013
(「driver」2月号の表紙)

全固体電池に関する話題を3題

トヨタと織機、EV電池提携 グループで開発加速(2017/12/24)

トヨタと豊田自動織機は、リチウムイオン電池の性能向上や、「全固体電池」の実用化に向けた共同開発などを検討していると報じています。

戦略2018(4)アップル特需 次はテスラ?(2017/12/23)

村田製作所社長がインタビューの中で、ソニーの電池事業を買収したことに関連して「全固体電池」の開発に触れています。

ホンダ、日産も次世代電池開発へ EV長距離走行「勝ち技の可能性」(2017/12/22)

ホンダと日産が、「全固体電池」をそれぞれ開発していると報じています。ただし、日産はリチウムイオン電池の事業をおこなっていた「オートモーティブエナジーサプライ(AESC)」をすでに譲渡していますから、研究は続けていてもおかしくはないですが、事業化に結びつくような本格的な開発となると、その報道には疑問が残ります。

最初に記事にもありますが、EVシフトがすすむとエンジンに限らず関連産業が縮小するかもしれないので、そのときの保険を様々な会社が模索しているのでしょう。しかし、出るぞ・出すぞと話題は打ち上がりますが、なかなか具体化しない・実用化しないのが「全固体電池」の現実です。

日産、軽自動車タイプのEVを2019年発売か…リーフ技術採用、三菱にも供給(2017/12/25)

日産と三菱の合弁会社NMKVから軽自動車の電気自動車を、2019年にも発売する可能性が高いと報じています。アイミーブの後継車はウワサになりながらもなかなか出てきませんでしたが、ようやく具体的な情報が出てきました。
なお、記事中の画像は予想CGです。
15
(日産の軽・デイズの画像:日産のHPより引用)

10月に出した三菱の中期経営計画(2017/10/18)では、2020年以降に軽自動車EVを含め主力モデルに電動化パワートレインを用意するとのことでしたが、記事によると開発は順調にすすんでいるとのことで、2019年に前倒しになるのかもしれません。

また、記事によると、車速に応じた車間距離を保つように車間制御などを行う「プロパイロット」を採用し、一充電航続距離は200kmを目指しているとのことですが、軽自動車の電気自動車には、リーフとは違った立ち位置・価格の安さも求められますから、様々なシステムはオプションで用意して価格帯を選択できるようにしてほしいものです。「プロパイロット」は確かに便利ですが、自動車道などを頻繁に使わない街乗りだけのユーザーには高価なシステムです。

また、仕様を増やすとコストがかかってしまうかもしれませんが、200kmにこだわらず、軽自動車は近距離使用が多いことを考慮して、現行のアイミーブ16kWhと10.5kWhのように電池容量も複数から選ぶことができるとより商品の幅が広がるでしょう。できればアイミーブMグレード10.5kWhに載っている東芝のリチウムイオン電池「SCiB」のように劣化の少ない電池を選択してほしいです。

東芝 EV用電池開発 6分で充電320キロメートル走行(2017/10/03)「2019年度の製品化を目指す」

いずれにせよ、規格変更により来年度からアイミーブが普通車になってしまう状況を早く脱して、軽自動車の電気自動車普及を進めてほしいものです。 

未来予想図(2017/12/08)

来年度予算案再生可能エネルギー、EV普及を支援(2017/12/22)

経済産業省は、8月にまとめた来年度「資源・エネルギー関係概算要求の概要」にそって、電気自動車などへの購入補助金「クリーンエネルギー自動車導入事業費補助金」を今年度よりも7億円多い130億円を計上しています。
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今年度でいうと、電気自動車の場合には、「JC08モード」において一回の充電で走行する距離(km)×1,000円(上限額40万円)というのが算出方法でした。今年度は、123億円で約63,000台を予定していましたから、燃料電池自動車のように200万円あまりも補助金が出る車種もありますし、三菱ミニキャブ・ミーブ10.5の10万円しか出ない車種まで幅がありましたが、1台では平均20万円という計算です。

7億円増額というと大きいように思われるかもしれませんが、今年度と同じような算出方法をとったとして、また1台平均20万円補助が出るとすると、130億円というのは、65,000台分でしかありません。つまり、今年度に2,000台上乗せしただけの予算額でしかありません。

補助金は、その制度上、年々下がっていきますから、今年度と同じ算出がなされるとはかぎりませんし、1台平均20万円以下になるかもしれませんが、世界的に「EVシフト」といわれるようになってきた現状や「概算要求の概要」にある「世界に先駆けて国内市場の確立を図る」という目的とは、ずれた額となっていると言わざるを得ないでしょう。

このことは、他の項目にもあらわれています。たとえば、充電器の整備を進める「電気自動車・プラグインハイブリッド自動車の充電インフラ整備事業費補助金」は、今年度18億円だったものが来年度には15億円に下がっていますし、逆に燃料電池自動車を普及させるために出す「燃料電池自動車の普及促進に向けた水素ステーション整備事業費補助金」は今年度45億円だったものが、12億円も増えて57億円になっています。このように車への補助金増額よりも水素関連へは多くなっています。これは、燃料電池自動車の普及を進めたいという政府の意向を示したものなのでしょう。

補助金を受けなくてもよくなるのが本来の姿ですから、普及のためには自動車メーカーに車両価格の一層の引き下げ努力をしてほしいですが、販売数が伸びていない現状では、電気自動車などの需要を掘り起こすために、まだしばらくは支援は必要かもしれません。

補助金受付は5月29日(月)頃から(2017/05/12)

台湾、2040年からガソリン車の販売禁止 EV完全移行目指す(2017/12/21)

台湾は、2040年からガソリン車とディーゼル車の販売を禁止する方針と伝えています。

11月には、「2030年にも、まずバイクから電動化へ移行」と伝えられていましたが、今回の記事では、まず2030年には公用車とバスの「全面電動化」、2035年からはバイクと若干変更されています。

電気自動車への移行は、台湾でも大気汚染対策の一環とされていますが、2030年電気自動車のみ販売へ移行しようとしているインド・2040年のイギリス・フランスでも大気汚染は深刻なようで、それがEVシフトへの一因となっています。イランの首都「テヘランで大気汚染深刻 WHO基準8倍超の場所も」との記事もあります。

電気自動車が走行中にCO2ゼロでも、電気を供給する発電所の増加でCO2は減らないとの意見もありますが、発電所で一括して排ガスを管理できるために、大気汚染も含めた総合的な環境対策として、電気自動車の増加は有効だと思います。

未来予想図(2017/12/21) 

ホンダ、中国専用SUV型EV 現地生産で来年投入(2017/12/20)

ホンダは、6月におこなった八郷社長のスピーチの中で2018年に中国専用の電気自動車を発売するとしていましたが、その車は小型SUV「ヴェゼル」のプラットホームを採用したものになると伝えています。
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ヴェゼル画像:HondaのHPより引用)

そのニュースよりも気になったのは、同記事にすでにアメリカで発売されている「クラリティPHV」が2018年夏には日本にも投入される計画があると書いてあった点です。

電動車が増え、モーター駆動の素晴らしさに対しての理解がすすむという点では歓迎しますが、現在でも急速充電器で電気自動車とプラグインハイブリッド車とが重なるという充電渋滞を起こしていますから、その状況がさらに悪化しないかと心配します。

充電渋滞の一因は、急速充電に対応した「プリウスPHV」を発売していながら、トヨタの営業所には急速充電器がほとんどないからで、トヨタは自宅以外での充電はガソリン走行よりも高くつくと説明はしているようですが、モーター走行は気持ちよいものですし、充電できる機能があるなら充電してみたくなるのが心理ですから急速充電器に並んでしまうのも仕方ないことでしょう。

プラグインハイブリッド車は、ガソリンでも走ることができることから、BMWの一部車種のように普通充電のみと割り切っても良いと思いますが、どうしても急速充電に対応した機能をつけるのであれば、解決方法は、トヨタやホンダの営業所すべてに急速充電器を設置することしかありません。

電気自動車への投資は当分の間おこなわないとしていた以前であれば、急速充電器の設置など考えなくても良かったのですが、ホンダは2020年にトヨタは2022年に日本で電気自動車を発売するとアナウンスしているのですから、プラグインハイブリッド車の発売を機に先行投資として急速充電器をつけるべきでしょう。
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(燃料電池車クラリティ フューエル セル画像:HondaのHPより引用

未来予想図

新型コンパクトEV、ユニティ・ワン 発表…航続300km、1万4900ユーロから(2017/12/19)

スウェーデンのユニティ社は、『ユニティ・ワン』を発表したと報じています。

ユニティ・ワンはリンク先の画像を見ていただくとわかるように、隣に立つ人との対比からして三菱アイミーブより小さい小型の電気自動車です。このボディに前後の2シーターならわかりますが、4シーターや5シーターも選択できるとはにわかに信じがたいです。タイヤとモーターが一体となったインフォイール・モーターで室内を広く確保しているのかもしれません。(加筆:カーボンファイバー製だそうです) 

また、バッテリーの容量は22kWhあり、1充電航続距離は最大で300kmあるとしています。30kWhの旧リーフはヨーロッパ基準で250km走るとなっていましたから、それよりも少ない容量で遠くまで走るとすれば、車重を軽くし、より電池の性能が上がって可能であるのかもしれません。

注目した点は、ユニティ・ワンが2019年の市販とはいえ、現地ベース価格を1万4900ユーロ(約198万円)としていることです。記事にはスウェーデンの補助金を含んでと書いていませんから、あいまいな点もありますが、この性能でこの価格なら売れるかもしれません。
 

過渡期のEVは「待ち」が正解。航続距離ほか大マスコミや世間が誤解しているEVの真実(2017/12/17)

電気自動車への「誤解」を解説し、電気自動車を買うにはまだ早いとする記事です。

三菱から市販の量産車である「アイミーブ」が発売されたのが2009年ですから、現在までに8年たったとはいえ、4輪車に占める電気自動車とPHVの割合は約0.2パーセントしかないという現実からすると確かに「過渡期」ではありますが、私の考え方は「欲しいときが買い時」ですから、成熟期まで待たずに2011年にアイミーブのMグレードを買ったのは、以下のような理由から間違いではありませんでした。

まず第一に購入額は今よりも安くてすみました。
電気自動車はまだ高価なために補助金が出ていますが、制度設計上、見直しとともに補助額はじょじょに減額されていきます。同じように車の価格も値下げされていきますが、値下げ額以上に補助額が引き下げられるので、結果的に支払う額は多くなっています。Mグレードでいうと、2011年に78万円出ていた補助金は、今年度12万円にまで下がっています。

第二に車の維持費が安くなりました。
電気代はガソリン代よりも安いので、電気自動車に乗り始めてからの6年間約7万6千キロでずいぶんと経費を浮かすことができましたし、うちでは電気の契約により深夜電力が利用できたためにさらに安くなりました。最近は計算していませんし過去のものは2012年と古いデータですが、その時のデータ1万キロで約7万円浮いたを元に計算すると、ガソリン代だけで約53万円が浮いたことになります。
また、電気自動車にはオイルやエレメントの交換がありませんから、1万5千キロごとにオイルを交換したとして5回分は必要がありませんでしたから、1回5千円として2万5千円が浮きました。
さらに、電気自動車はブレーキをかけずに「回生」で速度を落とすことができますから、ブレーキパッドの減りも小さくなりました。

第三に通勤費が浮きました。
私の勤務先は、通勤に使用する車の種別、ガソリン車や電気自動車などといった区別がなく、距離に応じて一律に支払われましたから、 期間中ガソリン車相当の通勤費は給料がアップしたことと同等になりました。

第四に仕事に生かすことができました。
仕事の関係で車の最新情報を得る必要がありましたが、電気自動車に乗っていることで他人や発表のものではなく実際に乗ってみてのデータを取ることができましたし、乗ってみてわかる体験を具体的に話すことができました。

第五に人の輪が広がりました。
電気自動車に乗らなかったら出会うことはなかったであろう人たちとつながることができ、各地でのイベントで貴重な体験をすることができました。

こうしたメリットをどのように評価するかは個人の考え方次第ですが、少なくとも第一から第三までは、早い時期から長く乗らないとメリットが大きくならないことだけは確かです。

ついでに引用した記事の私なりの解説も付け加えておきます。

誤解その1 新型リーフの航続距離は400km
「これはJC08モードという基準に則った神業以上の数値で、絶対に死んでもムリ」とありますが、JC08モードが机上の空論であることはガソリン車でも同じ事で、これを1番に取り上げるようなことでもないでしょう。
それでも取り上げるとしたら日産自身が以下のようなCMで盛んに「400km」と流していたことこそ取り上げるべきで、このような宣伝は誤解をうむ元だと書くべきでしょう。

ただし、JC08モードを越えた! EVトラック(2016/07/09)に書いたように、「死ぬような思いを」しなくても素人が一般道を走り、JC08モードを越えることもできるのが電気自動車の面白いところです。


「テスラで青森まで往復した勇者は、結局21回充電する破目になり、ホトホト懲りたとのことです」
筆者はこの後に「伝聞情報」と書いているので、これもそうなのでしょうが、テスラ車のことを少し調べれば、情報が誤りであることは分かりそうなものです。

車種は書いていませんが、文の流れからすれば「モデルS」なのでしょう。 モデルSには電池容量によっていくつか種類がありますが、現在の最低容量である「75D」でも航続距離は526kmあります。(HP表記はアメリカの基準だと思われます。外気温20度で時速90kmでの距離)以前は「60」というのがありましたが、これでも400km近く走ったと記憶しています。

東京から青森まではルートによっても違いますが700kmを越えるぐらいでしょうから、モデルSの航続距離から単純に考えて途中に1回の充電でたどり着くことできる距離です。(首都高速の京橋→青森東で最短718.9km

片道10回ほども充電した友人?が体験した時期にはなかったかもしれませんが、現在は仙台や盛岡にもテスラ車への専用充電器であるスーパーチャージャーがあります。 このスーパーチャージャーで30分ほど充電すれば、さらに200-300km距離を延ばすことができます。

実際には、700kmを越える距離を一度の休憩では運転手も疲れるでしょうから、充電以外にもトイレ休憩などをするでしょう。それを含めても止まるのは、多くて片道4回ほど、往復で8回ほどではないでしょうか。

最初のスタートの時点で電池容量が少なく、走り始めてすぐに充電をしたということならもっと多くの充電が必要かもしれませんが、700キロ先の青森まで行こうというドライブにそのような無計画なことはしないでしょうし、それは極端な例です。

ジャパンチャージネットワークのアプリ高速充電なびで調べたところ、東京から青森まで常磐自動車道から東北自動車道を経由するルートで守谷SAから津軽SAまで14カ所の充電器がありました。 しかもその間隔は短いところで湯ノ岳PAと四倉PAで16kmですから、いくらチャデモの充電器ではテスラの充電に時間がかかるといってもSAやPAを各駅停車しないでしょう。

高級車テスラに乗る友人は、片道10回以上という充電回数からいって、高速を使わずに一般道をひたすら青森まで走ったのかもしれません。10.5kWhしか電池容量のないアイミーブMグレードならあり得ますが。

「伝聞情報で申し訳ございません」などと書いていますが、電気自動車の「真実」を伝えようという記事なのですから、伝聞情報でもその中身を吟味して「真実」を書いてほしいものです。ご自身がお書きのように「実態は買って」乗ってみないとわからないのですから。

(加筆)
「NISSAN EV blog」に「東北道利用。新型「日産リーフ(40kWh)」で盛岡→弘前 走ってみた。」(2017/12/15)との記録がありました。40kWhの電池を積むリーフでも岩手県盛岡と青森県弘前間、約140kmを充電なしで走行しています。(翌日のため弘前市の宿に到着する前に充電しています)

リーフは実航続距離240キロ、基本的に買いでOK!(2017/09/09)  

トヨタ、自前主義捨てEV出遅れ挽回 車載用電池でパナと協業(2018/12/14)

トヨタ自動車は、車載用電池事業でパナソニックとの協業を打ち出したことを報じています。その中で 電気自動車ニュースが注目したところは、「直近ではHV(ハイブリッド車)とPHV(プラグインハイブリッド車)を合わせて147万台。十数年で約4倍に増やす野心的な目標だ。内訳はEVとFCV(燃料電池車)を合わせて100万台、HVとPHVを合わせて450万台」というところです。
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(プリウスPHV画像:トヨタのHPより引用)

現状では、「HVとPHVを合わせて」といってもHVが大部分を占めていますが、諸外国がEVシフトを引く中で今後はPHVのラインナップも増やして行かざるを得ないでしょうし、実際にこれからはPHVの台数が徐々に増えていくことでしょう。また、「EVとFCVを合わせて」といっても水素スタンドのインフラが国内外で遅々として進まない中では、その大部分がEVに限定されることは想像に難くないでしょう。

そうなると必要になるのは充電器です。

プリウスPHVにかぎらずアウトランダーPHEVといったプラグインハイブリッド車は、自宅以外で充電すると高くついてしまいますが、車に充電できる機能があり、モーターで走る体験をしてしまうと、できるだけ電気だけで走りたくなります。その気持ちは、電気自動車オーナーとしてはよくわかります。

ただし、現実に急速充電に対応したプリウスPHVを販売しているにもかかわらず、トヨタ系の営業所に急速充電器を設置しているところはほんのわずかですから、商業施設などで充電しているプリウスPHVを見かけます。

ですから、2030年にEVやFCV、HV、PHVといった電動車で550万台を販売する責任として、トヨタは今後、急速充電器の整備をすすめていってくれるものと大いに期待しています。

電気自動車を活用したバーチャルパワープラント実証試験の開始について(2017/12/13)

日産と東電HDは、12月13日から2018年1月末まで、電気自動車を活用したバーチャルパワープラント(仮想発電所)実証試験を開始すると告知しています。
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(画像:日産のHPより引用)

バーチャルパワープラントとは、日産のただし書きによると、「アグリゲーター(お客さまの需要量を制御し、電力の需要と供給のバランスを保つために、電力会社とお客さまの間に立ってうまくバランスをコントロールする事業者)がお客さま側のエネルギーリソース(太陽光発電、蓄電池、EVなど)を統合・最適遠隔制御することで、あたかも一つの発電所(仮想発電所: Virtual Power Plant)のように機能させるもの」だそうです。日本語にしてもわかりにくいですが、カタカナをまじえると余計にわかりません。

具体的に書くと、太陽光発電など再生可能エネルギーは、天候に左右されることが多いので、晴れて発電が増え電気が余ったときにはそれを電気自動車に蓄え、雨で発電されないときには電気自動車から電気を取り出そうというイメージです。それを広域でおこない、電気自動車の電池まどを利用して需給のバランスを取ろうというのが仮想発電所です。
(天候に左右されるといわれますが、今の季節、私の住む滋賀県北部は雪がちらつくことがよくあります。しかし、同じ滋賀県内でも大津市などは同時刻に晴れていることが多く、北と南で典型的な北陸側と太平洋側気候に分かれます。ある程度の広域で考えた場合、天候の変化による変動は吸収できそうです)
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(画像:東電HDの資料より引用)

電気自動車が動いていることの多い昼間に太陽光発電の電気を蓄えることはできず、役に立たないという人がいますが、勤務内容によっては十分に蓄電池としての役割を担うことができます。たとえば、自宅から通勤で30分運転し8時に勤務先の駐車場に駐めれば、退勤の17時までそのままという場合です。その間、送電線網につながったコードを差してアグリゲーターに電気自動車の利用権を渡せば、告知にあるように余った電気がある場合、自分の電気自動車の電池に勝手に蓄えられることが想定できます。そのように利用されたとき「インセンティブ」が支払われるのです。逆に電気が取り出されることはあるでしょうが、帰路の分は保証されるのでしょうし、その場合でも電気自動車を利用されたわけですから、「インセンティブ」が支払われるでしょう。
(加筆:電気の取りだしについては触れられていません)

このようなシステムが普通になれば、従業員の車だけではなく、稼働する時間の限られた電動フォークリフトも「インセンティブ」をうむかもしれません。また、会社・工場だけでなく、個人宅に駐めてある電気自動車も仮想発電所に参加できるようになるかもしれません。普段は行き帰りの1時間のためだけであったり停車していることが多かったりする電気自動車が、利益を生む資産ともなるのです。

これに関係するものとして、昨年の10月21日に次世代自動車を活用したスマートコミュニティというところで触れています。仮想発電所は、大規模なものでコストもかかりますが、これからは地産地消が効率の面からもより有利でしょう。さらに規模を突き詰めれば、自宅で発電した電気で電気自動車を充電し、そこから夜間の電気を取り出すというふうに自宅の電気もまかない、省エネを徹底し、外からの電気を買わない電気代ゼロのオフグリッドが理想でしょう。

フクシマのような事故を経験しながらも、いまだに原子力発電所の再稼働を推進する人がいますが、エネルギーの安全保障の観点からも将来に負債を回さないためにも、今回の実証実験のように今あるシステムインフラを活用して、今ある資源を有効活用することが重要だと考えます。

ホンダ、欧州研究開発センターに双方向充電技術を導入(2017/12/08)

東京電力と日産による「電気自動車を活用したVPP実証実験」に、EVsmartが採用されました(2017/12/15) 

「軽の」アイ・ミーブ(i-MiEV)を新車で購入できるラストチャンス!(2017/12/11)

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(画像:三菱のHPより引用)

軽自動車「アイミーブ」が来春から普通車の小型乗用車へと変更になります。また、この機会に劣化しにくい東芝の電池Mグレード「SCiB」を積むMグレードが廃版になります。

上のブログにあるように、「(2018年4月から)歩行者保護の観点で法規が変わるために、(アイミーブの)バンパーが変更になり、(その結果、軽規格をオーバーするために)軽自動車ではなくなる」ということのようです。

衝突安全性能の観点からいえば、バンパーを替えるだけで安全基準をクリアできるのですから、今でも高い安全性を有していると言えるのかもしれません。

ただし、人が乗る部分のサイズは変わらないため、4人乗りのままでしょうし、軽から小型乗用車への変更で大きな問題は自動車税が上がることでしょう。(光岡自動車が2010年に販売したアイミーブをベースにした「雷駆」は、サイズを大きくして5ナンバーの小型乗用登録とし、後席のシート幅も大きくして乗車定員を4名から5名に変更した例はある)

軽自動車の自動車税は2016年度から7200円だったものが10800円に値上げされていますが、「軽」の電気自動車は、グリーン化特例で税率を「概ね75%軽減」されており、最初の年は2700円に減額されています。これと同じように、小型乗用車でも電気自動車は、「概ね75%軽減」されていますが、元となる標準税額が29500円であるために軽減されても7500円となります。

しかし、これは初年度だけですので、小型乗用車へと変更になるアイミーブの自動車税は2年目の2018年度から10800円が29500円となります。軽の自動車税が値上げされたため差は縮まったとはいえ、3倍近くの値上がりとなります。

ちなみに、電気自動車は大きさに関係なく自動車税は同額ですから、40kWhになった新型リーフでも29500円です。4人乗りで16kWhや10.5kWhしかないアイミーブのメリットは、車体の小ささで小回りがきくことぐらいしかなくなります。

(加筆:コメントに書いていただいたように、高速道路料金も値上げになります。たとえば、東京から静岡まで東名高速道路を走った場合、軽自動車だと3410円ですが、普通車へと変更になると4220円と約800円高くなります)

これにより今年度中の駆け込み需要は少なからずあるでしょうが、これでは、来春からますます売れなくなることは目に見えています。

なんとしても「アイミーブ」という「電気自動車」のブランドを残しておきたいのかのようですが、今でさえ月に十数台の販売しか見込めないものが、10台以下に落ち込むことも十分に考えられます。

「アイミーブ」への維持コストがかかってでも販売を続けるというところに、電気自動車にかける三菱の意気込み?を感じますが、2020年以降に販売されるという、「新」軽自動車EVまで何としても間をつなぎたいのかもしれません。

ただ、インドネシア政府と電動車の普及拡大に関する覚書を締結 (2017/12/11)は、インドネシアにおける電動車の普及拡大を目指すため、『アウトランダーPHEV』8台と『アイ・ミーブ』2台を提供するという発表ですが、そこに『アウトランダーPHEV』の写真はあっても『アイ・ミーブ』の写真はありません。社内での立場がわかる事例です。


(アイミーブが「軽」でなくなるかもという噂は聞いていましたが、あくまでも噂でしたからこのブログには書きませんでした。上のブログにも書いており、三菱の関係者からも確認が取れましたので書いておきます) 

日産自動車、カーシェアリングサービス 「NISSAN e-シェアモビ」を開始(2017/12/08)

日産は、カーシェアリングサービス、「NISSAN e-シェアモビ」を2018年1月15日から開始する、と発表し、「NISSAN e-シェアモビ」の会員募集をスタートしています。

カーシェアリングサービスの対象車種は、新型「日産リーフ」と「ノート e-Power」です。
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(画像:日産のHPより引用)

また、月額基本料金は1000円ですが2018年7月末まで無料で、以下のような時間のみの課金料金システムです。利用距離による料金加算もありません。(税込)
・ ショートタイム:200円/15分
・ パック:6時間3,500円、12時間5,500円、24時間6,500円
・ アーリーナイト(18-24時):2,000円
・ レイトナイト(24-6時):2,000円
・ ダブルナイト(18-6時):2,200円
・ ビジネスナイト(17-9時):2,500円

レンタカーでは満タンにして返しますが、リーフの場合はどうするのかと「利用案内」を見たところ、やはり充電して返却とあります。ただし、「車内の装備・備品」欄に「充電カード」とありますから、それを使って返却時に車の設置場所である日産ディーラーで充電するのでしょう。しかし、その時間は課金システムの時間内に含まれるのでしょうか。そうなると走行距離や暖房使用によっては30分ほど早めに帰着する必要がでてきます。

また、新型「日産リーフ」は40kWhですから、電気の減り方次第では30分では80パーセントまで回復しないことも考えられます。ガソリンでいう満タンの100パーセントでなくてもこうした場合は、返却時に許容の範囲内になるのでしょうか。

日産の充電プランには、「使いホーダイプラン」と「つど課金プラン」という2つの料金プランがありますが、給油の代わりの充電ですから、車内にある「充電カード」は、日産ディーラーでの充電でも課金される「つど課金プラン」のカードでしょう。入会するときの登録するクレジットカードでの清算になると思われます。

「つど課金プラン」は、日産ディーラーでも1分15円ですから、少しでも速い急速充電器で充電した方がお得ですし、「ノート e-Power」は給油になりますから、ガソリンよりも安い電気を給電する「日産リーフ」の方を選んだ方がよりお得でしょう。

シェアを利用できるステーションは未発表ですが、そこを利用できそうな人は、とりあえず月額基本料金が無料の2018年7月までは入会してもよさそうです。

なお、1月に約30のステーション(東京、神奈川、静岡、大阪、兵庫、京都、滋賀、奈良、和歌山など)からスタートし、順次、他の都道府県にも拡大していくそうです。
(加筆)
ステーションの場所が発表されていました。(12月14日)

(加筆)
以下の動画は個人所有の電気自動車のようですが、いずれはシェアした形になるのかもしれません。 「【FORZA STYLE】 メルセデス・ベンツが描く未来のクルマとは?」
 

セブン&アイの電子マネー「nanaco」を使った充電決済については、EVトラックとnanaco(2017/07/17)で書いていますが、改めて書きとめておきます。

セブン&アイ・ホールディングスは、「イトーヨーカドー」や「Ario」、「そごう」、「西武」、「ヨークベニマル」に設置されている約3,380台の充電器を電子マネー「nanaco」で使えるようにしています。

うれしいポイントは、「nanaco」カードを持っていることが前提ですが、固定された月額基本料金(会費)が「不要」だということです。たとえば、三菱の充電サービスである「電動車両サポート」は、基本料金はプランにより月額540円から1620円(税込)となっていますし、BMW(ChargeNow)では1年目は月会費無料ですが、2年目より月に5400円(税込)もかかります。

ちなみに充電料金は以下のようになっています。
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(画像:NECのHPより引用)

普通充電の1時間120円は高いようにみえますが、1分あたりにすると2円です。三菱のベーシック・プラン会員で1.4円/分(1時間84円)ですし、このほかにベーシックでは月額540円の会費を別途支払うこともふまえると高額ではありません。普通充電ばかりだとnanacoで15時間使ってベーシックと同額になります。
また、急速充電の15分225円も1分あたりでは15円です。三菱のベーシック・プラン会員は、三菱販売店で5円/分ですが、高速のSAで12円/分ですし日産では15円/分です。また、BMWのは普通充電の利用料金は無料ですが、急速充電は2年目より同じ15円/分となっています。使用頻度にもよりますが、一ヶ月に何度も使わなければ月額会費がない分、nanacoは安くなります。

日産や三菱のようにメーカーが提供する充電カードがなく、自宅近くや通勤途中に急速充電器があるアリオなどの関連店があれば、利用する価値は十分にあります。月額会費がない分、気軽に持つこともできるでしょう。

また、「今後、セブン&アイ・ホールディングスの施設以外でNECが提供する充電サービスでも、nanacoによる決済が順次実現していく予定」とのことですから、利便性の向上に期待します。ただ、2017年9月5日以降、利用可能施設の追加がおこなわれていないのは気にかかります。

なお、充電器検索サイト・アプリのEVsmartにはnanacoに対応している旨の記載がありましたが、 GoGoEVには2017年12月10日現在、滋賀県守山市ピエリ守山や大阪府岸和田カンカンベイサイドモールなど一部で表示がありませんので関連店一覧表をご覧ください。

セブン&アイ・ホールディングスとNEC、EV・PHV充電サービスについてnanacoを用いた決済に対応(2017/07/05)

セブン&アイ・ホールディングスとNEC、国内最大規模3,380台のEV・PHV用充電インフラを導入」(2015/08/06)
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(画像:NECのHPより引用)

"EVシフト"それでもトヨタが勝てる理由 PHVこそ安心できる最良のEV(2017/12/04)

電気自動車に「出遅れた」と言われることの多い大企業トヨタを応援したい気持ちは、わからなくはないですが、正確なデータや記述をもっておこなってほしいものです。 たとえば、以下のような記述があります。
サービスエリアやカーディーラーなどには直流の高速充電器が設置されているが、ガソリンスタンドを探すほど簡単ではない。仮に運よく見つかっても、充電に1時間近くかかる。
筆者が「EVドライバーの心理として一番の心配は長い距離を走ること」とお書きのように、電気自動車の欠点?の一つはガソリン車と比べると短い走行距離ですから、一日に長い距離を走る電気自動車オーナーは特に、充電器の設置場所の情報は前もって手に入れていることが多いと思います。滋賀県内だけでも118カ所の「急速充電器」がすでに設置されているように、いくら充電器インフラが整ってきたとはいえ、充電器探しを「運」にまかせるような電気自動車オーナーはまずいないでしょう。

「運」にまかせ走りまわらないまでも、気にかけていれば充電器は結構あるものです。「充電器はどこにあるの?」と私に問われときに、今住む市内の充電器をすぐに10カ所以上あげると驚かれます。

筆者は電気自動車に普段から乗っていない方でしょうからご存知ないのでしょうが、メーカー側も「運」にまかせることがないようにすでに手を打っています。たとえば、トヨタは全国EV・PHV充電まっぷ、三菱はEVsmartの専用版を、日産はナビゲーションで対応していますし、他にもGoGoEVエコQ電高速充電なびといった充電器検索アプリもありますから、ピンポイントで充電器まで『簡単に』たどり着くことができますし、充電器の情報も事前に手に入れることができます。(加筆:コメントにいただいたように、充電器の運休や休止情報がすぐにアプリに反映されない場合はあります。)

また、『充電に30分』というのは定例のフレーズですから、にわかに電気自動車の記事を書かなければならなくなった記者はよく使いますが、「充電に1時間近くかかる」ということはまずありません。急速充電器の制限として上限を「30分」としていることが多いためです。新しくなったリーフのように40kWhもの電池を積んでいると30分では十分ではありませんが、次ぎに並んでいる電気自動車がいなければ、再度30分追加で充電することは可能ですが、次の電気自動車があらわれれば「マナー」としてすぐに充電を中止してゆずることとなります。

他にも「自宅の交流100Vのコンセントにプラグを差しておけば」などは、もう少し正確に書かないと誤解をうみます。専用線で200Vのコンセントを作っておけば、プリウスPHVで約2時間20分で満充電になりますが、普通の100Vであれば14時間ほどかかります。専用線の工事は、ディーラーが負担している場合もありますが、近所の電気屋さんに頼むと安くできます。

筆者は「トヨタにとって、テスラなどは敵ではない」と書いていますが、「脅威」でないまでも正確に伝えないとEVシフトへの対応を誤ってしまうかもしれません。

ちなみに大前研一は、以前にも2012年の週刊ポストで「EVへの“勘違いエコ”」なる解説記事を載せていますが、「電気自動車への勘違いエコ」のカン違い(2012/09/24)で、電気自動車ニュースはその記述の誤りを指摘しています。

自動車のデザインは、外寸の規格が決まっていたり、タイヤ構成など構造が同じであったりするために制約を受け、よく似たものになりがちです。今回は3つのマイクロ電気自動車をとりあげます。

可愛いマイクロEV、いよいよ来春発売!…エフテーシー【モノづくりマッチング2017】
(2017/11/30)

エフテーシー(FTC・浜松)のマイクロEV(FTC88C)は、中国製のミニカー・櫻星88C(OHSEI88C)をベースに「日本で足回りを作り直し、トランクを増設したもの」だそうで、2018年春発売となるそうです。記事によると仕様は以下の通りです。
  • 航続距離:100km(鉛酸バッテリー)
  • 価格:100万円前後
  • オプション:エアコン、リチウムイオンバッテリー
FTCのホームページを捜したのですが見つからなかったので、元になった「櫻星88C」の試乗動画を貼っておきます。

(2016/03/13)


この「櫻星88C」に似たマイクロEVがイタリア製の「BiRO(ビロ)」で発売中です。電気自動車ニュースでも2017年5月3日に『超小型モビリティ「BiRO」』として紹介しています。
  • 航続距離:55km以上(リチウムイオンバッテリー脱着式バッテリー時)
  • 航続距離:100km以上(リチウムイオンバッテリー固定式バッテリー時)
  • 価格:約119万円(サイドドア有り)
  • オプション:エアコンなし(動画ではUSB接続の扇風機がついています)

「櫻星88C」の試乗動画をアップされている佐藤さんは上のように「BiRO」の試乗もされていて、YouTubeの中で「(BiROが)オリジナルでしょう」と書かれています。「BiRO」のHPには、2009年6月から生産を開始した旨が書かれていましたから、上記のレスポンス記事を見たときに、イタリアで販売されている「BiRO」も製造先は中国だと私は思ってしまいましたが、正真正銘「BiRO」はイタリア製で、「BiRO」に似たマイクロEVが「櫻星88C」のようです。
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(画像:BiROジャパンのHPより引用)
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(画像:YouTube「櫻星88C」の試乗動画から引用)

デザインは似ていませんが、タケオカ自動車工芸のマイクロEVは、「Lala ( ララ )」で、2016年11月より発売されています。ドアの窓の部分に小窓があるのは「櫻星88C」に似ています。
仕様(pdf)は以下の通りです。
  • 航続距離:80km(鉛バッテリー)
  • 価格:約106万円
  • オプション:エアコン、オーディオユニット
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(画像:タケオカ自動車工芸のHPより引用)

以前にタケオカ自動車工芸より発売されていた「REVA」はインドのレヴァ・エレクトリック・カー・カンパニー製でしたが、「Lala」は?
初期は左ハンドル仕様しかなかったようですから、海外製なのでしょう。高価になってしまうために外したのでしょうが、リチウムイオン電池の設定がないのが残念なところです。
オプション設定ですがエアコンがつくなど、「REVA」からするとずいぶんと進化しています。 
 
(2017/06/22)

動画を見て、クイズに答えて、新型日産リーフを当てよう!

先日は、「コーナン」と日産とがコラボした「サンキュ★キャンペーン」を紹介しましたが、今度は「タカラトミー」と日産とがコラボしたキャンペーンです。
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応募の締め切りは、2017年12月15日(火) 24:00までです。

動画を見て応募する
 

動画の中に応募に必要な情報が含まれています。 

電気自動車「先進国」イギリス 街灯から充電(2017/11/21)

このレポートでは、冒頭に走行しながら無線で充電する導入実験道路の様子が映し出されています。このような走行しながらの充電が可能になり普通になれば、価格が高く重い電地をたくさん積む必要は無くなりますが、無線の規格統一も決まっていない現状では、実現はまだまだ先のことです。
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(画像:HPより引用、タイトルは「先進国」イギリスですが撮影場所はフランスです)

(蛇足:上記記事中の「あるカーセンターでは、車の紹介、販売だけではなく、家に設置する充電器の設置まで面倒を見てくれる」は、日本でもすでにディーラーが対応している。
「増え続ける充電スポットを効率的に見つけるための手段について、イギリスでは、この点についても対応が進んでいる《ZAPMAP》」は、日本にも「EVsmart」や「GoGoEV」などすでに複数ある。両方とも事前調査不足)

充電道路の計画は、世界的なEVシフトや技術革新により、電池の量産が始まり電池価格が低下すれば、先のような路面に無線設備を敷くコストの方が高くなり、計画自体が白紙になるかもしれません。また、自動運転と自動車のシェアリングがすすめば、車を個人で所有するという考え方がなくなり共有することになれば、社会の中の車の数自体が激減するかもしれないと言われていますから、インフラ整備にかけるコストも少なくなり、無線充電道路の維持管理は難しくなるかもしれません。

そんな未来を左右するのが電気自動車の要である『電池』であることは、少なくとも間違いありません。また、その電池の未来像は2つあって、進歩した『リチウムイオン電池』と新たに出てくるであろう『全固体電池』であることも間違いなさそうです。

その『リチウムイオン電池』と『全固体電池』のメリットとデメリットをEVの課題克服?リチウムイオン電池の後釜(2017/5/18)や他の記事を元に以下に整理してみました。

 

リチウムイオン電池

全固体電池

安全性

△→◯
可燃性溶媒
電解液漏出リスク
難燃性の電解液 

◯△
発火しにくい
固体電解質
硫化水素ガス発生

設計自由度
電極に析出するデンドライトが
正極と負極をショートする
可能性 


意図しない電極に流れる 

◯→?
低いと言われていたが
多層化
直並列設計が容易

体積

減・軽量化
動作温度域
高温や低温で出力低下

性能が安定
容量密度
航続距離 
△→◯
短い→長い
△→◎
容量密度が小さい
出力密度が低い
→Liの2倍・3倍
充電時間
量産技術・製造コスト
大量生産中
×
試作段階 

こうしてみると全固体電池はメリットが多いですが、リチウムイオン電池の性能向上の話題も出てきます。たとえば、東大が燃えない電解液 リチウムイオン電池の安全向上(2017/11/28)では、リチウムイオン電池の電解液に難燃性の物を開発し、安全性を高めたと紹介されています。

また、EV用電池の容量大きく 信大など技術開発(2017/11/28)では、リチウムイオン電池の体積エネルギー密度を25%引き上げる技術・高容量化につながる技術の一つとして、カーボンナノチューブの利用をあげています。

新材料の報告が契機に(2017/11/20)には、全固体電池が次世代電池として有望だとしていますが、メリットだったはずの安全性の点で「急速充電時に内部に結晶ができてショートの原因となる問題もみつかった」とあることは気にかかります。また、この記事には「電解質の改良で容量や寿命は25年にも解決できる」ともありますが、この先8年間という時間があれば、リチウムイオン電池の改善やコスト低下が全固体電池が追いつくことができないほど進むことも考えられます。

LG CHEMがポーランドのバッテリー工場を2018年より稼働(2017/11/27)には、ヨーロッパで初めて「大量生産EV用バッテリー、リチウムイオン電池セルを製造する工場が動き出す」とあります。また、サムスンSDI、ハンガリーの新工場完成(2017/5/30)には、2018年春以降に本格的な量産を始める計画とあり、 韓国SK、ハンガリーにEV電池の新工場 840億円投資(2017/11/30)にも、韓国内の瑞山工場に対する増産投資と、ハンガリー工場の2020年の稼働を目指すとあります。

中国では、テスラパナソニックも新たな生産工場を作ったり、増産する計画を検討中のようです。また、インドでは、スズキがデンソー、東芝との合弁によるリチウムイオン電池工場を作っています。このように世界各地で次々と増産の計画があることから、製造コストの更なる引き下げがおこることは間違いありません。

トヨタでは全固体電池を載せた電気自動車を2020年に発売するとの記事が以前にありましたが、2020年代前半へと後退しています。次世代の電池が『全固体電池』となるか、改良された『リチウムイオン電池』となるかは2020年頃にハッキリとするのでしょう。

NISSAN EV blog「ぼうさいこくたい2017に出展しました。」(2017/12/01)

11月26日・27日に仙台国際センター・せんだい青葉山交流広場でおこなわれた防災を「学ぶ、体験する、考える」みんなのイベント「防災推進国民大会(ぼうさいこくたい)2017」での電力供給デモの様子をレポートされています。

そこでリーフとつないで電気を取り出す給電器に使われていたホンダの「Power Exporter 9000」は、出力端子100Vが6口、200Vが1口もあるだけでなく、高品質・良質な電力のため、非常時には医療機器にも電力供給可能だそうです。
また、「Power Exporter 9000」は、CHAdeMOに対応しているので、ホンダの燃料電池車クラリティ FUEL CELLはもちろんリーフでも動作できます。ただし、メーカー希望小売価格は、1,180,000円(税込)と製品の質が高いだけに、それなりの値段になっています。

それに比べ、先日のMitsubishi Motors Fan 2017で使った三菱の給電器MiEV power BOXは、家庭のコンセントと同じ1500W(15A)の出力ですが、100Vが1口だけですし、医療機器への使用は推奨されていません。
ただし、希望小売価格も154,080円(税込)とそれなりの価格に収まっています。
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(ドア横のイスに載っているのがMiEV power BOX・中身はnichicon製)

私は電動の草刈り機で使用したり、野外展示でPCモニタの電源として使ったりしていますが、普段使うものではないですから、いざという時のための防災用品として考えたとしても15万円は高いオプションです。(私は補助金が出ていた時期に半額で購入)

しかし、2019年を前に電気自動車の中古車が売れる?に書きましたが、太陽光発電の電気を電気自動車へと貯めることができるようにすれば、変換効率を考えるとロスが大きいものの、電気自動車から電気を取り出す道具として、日常的に使うことができるようになるかもしれません。

電気自動車から家庭へ電気を供給し、停電でも普段通りの生活ができること「Vehicle to Home」(V2H)は、理想的ですが対応する機器の設置にはそれなりのコストがかかります。しかし、電気自動車から最低限一つの部屋へ「Vehicle to Room」であれば、外と部屋の中とを結ぶコンセントをつけるだけで可能ですから、MiEV power BOXのような機器でも存在意義があるかもしれません。

高いけれど欲しいという方は、たまにオークションで半額程度で出品されていますから、中古品であればねらい目かもしれません。
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 (参加しているボランティアグループの展示で、アイミーブからの給電によりビデオを流す)

創業39周年を迎えるホームセンターの「コーナン」が記念として日産とコラボして、「サンキュ★キャンペーン」で「新型リーフ1台」のプレゼントをおこなっています。
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応募の締め切りは、2018年1月9日(火) 17:00までです。
応募フォーム 



電気自動車に興味はあるけれど資金はない。日産のリーフが40kWhの電池を載せて新しくなったそうだから是非とも乗ってみたい。という方はぜひ。

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