2017/08

レスポンスのメールマガジンを毎日送ってもらっているのですが、08月30日号のニュースTOP5が以下のように1位から4位まで電気自動車関係のニュースで占められていました。フランクフルトモーターショーが間近なので、関連する話題が豊富なこともありますが、それでも電気自動車へ傾く自動車メーカーあってのできごとです。
  1. 日産 リーフ に乗ってみてわかった「長距離旅行もマンション住まいでもOK」な理由…オーナー座談会
  2. 【フランクフルトモーターショー2017】ホンダ、アーバンEVコンセプトを世界初公開へ
  3. 【フランクフルトモーターショー2017】BMW i3 改良新型が登場予定、184hpのスポーティEV新設定
  4. 次世代自動車の普及に8億3200万円、過去最大---国交省自動車局予算の概算要求
そのほかにもたくさん記事がありすぎて、ニュースをまとめきれませんから、今日はそれぞれの記事の中から、気になった部分を取り上げながら、重箱の隅をつついたような、あげあし取りのようなことを書いておきます。(私自身もミスは多いですが)

まずは、「次世代自動車の普及に8億3200万円、過去最大---国交省自動車局予算の概算要求」(2017/08/29)です。
記事の中に以下のようにあったので、いつまでも実証実験続きで、なかなか規格が決まらない状態にある「超小型モビリティ」も、国土交通省自動車局はいよいよ規格を決め、普及に乗り出すのかと思いました。
地域交通のグリーン化に向けた次世代自動車の普及促進を目指す8億3200万円は、予算規模として最も大きい施策の1つだ。次世代自動車の市場投入段階に応じて、最大2分の1~5分の1を補助して普及を支援する。市場価格の高い燃料電池タクシー、電気バス、PHVバス、超小型モビリティの補助率が高く見積もっている。 
しかし、以下の2018年度「自動車局関係 予算概算要求概要」にある事業の絵と、その下に載せた2017年度版のものとは、映っている車の写真や位置が違うだけで、内容は同じです。 2017年の予算額に比べて、1億8800万円要求が増えているだけです。この点は、購入希望者が増えることを見込んで、要求額を増やしたということだけかもしれません。
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(以下は2017年度版のもの)
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電気自動車などへの補助額は、毎年のように計算方法を変更してきていますから、来年度どのようになるかはわかりませんが、少なくとも「超小型モビリティ」の規格が決まるというものではないようです。

補助金受付は5月29日(月)頃から(2017/05/12)

確かなことは、これだけ国々や自動車メーカーが電気自動車へ傾いているにもかかわらず、また2030年までに国内で販売する自動車を全て電気自動車にすると表明しているインドのような国もあらわれているにもかかわらず、2017年度版と同じ「2030年に新車販売に占める次世代自動車の割合を5~7割とする」としている点です。変化に対応していない、このような目標で大丈夫でしょうか。 

未来予想図(更新中)(2017/08/25) 


次は、「トヨタは電気自動車技術で本当に出遅れたのか?」(2017/08/29)です。
トヨタはしっかりとした技術を持っているという記事ですが、中で引っかかったのは、「パナソニックと組んだものの、思ったようにならず」と「スマートフォンと同じくゴミになってしまう」です。

そのパナソニックと組んだテスラは「モデルS」を完成させ、「モデル3」も販売を始めています。 確かに電気自動車にとって走行距離が伸びるとおきる電池の劣化は大きな課題です。しかし、「テスラ モデルS のタクシー、3年間で40万km以上を走破…トラブルなし」(2017/08/30)には、劣化の割合が書かれていませんが、電池管理をしっかりとおこなえば、総走行距離が長くなったとしてもタクシー業務には支障がないということでしょう。いずれにせよ、トヨタにとって逃した魚は大きかったかもしれません。
(加筆)
Finnish Tesla Model S taxi driver crosses 400,000 km, 93% of battery life remains(2017/08/29)にあるように劣化割合は93パーセントだそうです。テスラの電池温度管理は適切におこなわれているようです。新型リーフはまもなく発表ですが、これまでの経験が生かされているかどうかの判断は、電池に温度管理機能(冷却機能)がついているかどうかでわかりそうです。

テスラの新型EV「モデル3」は、iPhoneのような革新を自動車産業にもたらす(2017/08/26)

また、「ゴミ」に関しては使用済み電池を大型蓄電池に再利用(2014/12/28)のように電気自動車に使われていた電池がゴミにはならないような仕組みも考えられているようですが、今はまだ需要が少ないために再利用のサイクルが回っていないようです。電気自動車の電池としては使えなくなっても、その電池がほかで生かされれば、電池にも値段がつき、結果として電池交換費用も安くてすむようになるのでしょうが、現状では難しい面があることは事実のようです。

ただし、リチウムイオン電池には高価で貴重なコバルト等が含まれていますから、不燃物ゴミとして埋め立て処分にはなっていないのではと想像します。古い「スマートフォン」=「ゴミ」は原稿を書く勢いで表現されたものでしょうが、調べた限りでは、auのスマートフォンは99.8%が再資源化されていました。(2015年度)
(加筆)
ルノー、低コストな急速充電ステーションを設置…EV電池を再利用(2017/08/31)

岡崎SAにあるような形式の急速充電器のようです。


次もよく似たタイトルの「トヨタはEV開発に出遅れたのか?」(2017/08/28)です。
トヨタが電気自動車を作ることは今すぐにでも可能という記事ですが、気になったところは「現状のEVはインフラが未整備な地域では使い物にならない」です。

その「地域」が外国の未開の地という意味か日本国内でも人里離れた山奥という意味かは定かではありませんが(後ページに「日本のインフラ整備を待つ必要はなく」とある)、私の乗るアイミーブMグレードのわずか10.5kWhの電池でも、琵琶湖一周200kmさえままならなかった2011年の充電環境の中で使ってきました。戸建てに充電コンセントがあればこそだと言われるかもしれませんが、「日産 リーフ に乗ってみてわかった「長距離旅行もマンション住まいでもOK」な理由…オーナー座談会」の記事には、2011年当初からマンション住まいのオーナーの話が掲載されています。最初から使い物にならないとするか、使い物になるように工夫するかは、その人次第のようです。


最後は「初めての電気自動車は異次元の走行感覚だった 新潟日報モア編集長 ノートe-POWER試乗レポート(PR)』(2017/08/30)です。
「PR」とあるように日産の「ノートe-POWER」を紹介する広告記事なのですが、いうまでもなくノートe-POWERを「電気自動車」と断定しているところはコメントする以前の問題です。

 ノートe-POWERは搭載するエンジンで発電するシリーズ式ハイブリットですから、当サイトでは「なんちゃって電気自動車」に分類していますが、堂々と「電気自動車」と断定されてしまうと困惑してしまいます。モーターによる走り出しの爽快さを記事では強調していますから、日産がいずれリーフへ誘うための伏線にノートe-POWERを企画しているのだとすると、まんまとその思わくにのっているといえるかもしれません。

EVバスの話題を2つ

まず一つ目は、関西電力が、黒部ダムへ向かう関電トンネルで運行しているトロリーバスの老朽化にともない、2019年4月以降はEVバスに変更するというものです。

アルペンルート関電トンネルのトロリーバス廃止…2019年から電気バスに(2017/08/28)

トンネルを通ることからディーゼルエンジンなど排ガスを出す車は論外でしょうし、親会社が関電ですから燃料電池バスではなく電気バスなのでしょう。記事によると「運行にかかる経済性等も踏まえ」としていますから、電気代やオイル交換不要などを考えてのことのようです。

二つ目は、その電気バスに採用されるかもしれない東芝インフラシステムズ製電池SCiBを搭載したEVバスの話題です。このEVバス実証運行は、マレーシアで大型EVバス11台、大型ダブルデッカーEVバス2台でおこなわれ、急速充電は現在日本で採用されているチャデモ仕様だけでなく、320kWと480kWの超急速充電システムも使われます。150キロワットの急速充電器(2017/03/29)

マレーシアでEVバスの実証運行開始-10分間の超急速充電で高い運行頻度を実現-(2017/08/28)

SCiB電池に限ったことではありませんが、リチウムイオン電池は温度管理をしないとその性能が発揮されません。SCiB電池は、アイミーブMグレードなどにも採用され、私の利用経験からも急速充電時間が短く、充電を繰り返しても劣化しにくい特性を持っていますが、熱に弱く急速充電を繰り返すと電気の受け入れが悪くなる、充電時間が長くかかるようになるという欠点があります。

計画では、一日運行する中で連続した充電をおこなうようですし、マレーシアは熱帯地域ですから電池を冷やして温度を管理しないと充電時間が次第に長くなり、バスの運行に支障をきたすかもしれません。このニュースに「電池の寿命特性や超急速充電の連続オペレーション時の性能などを検証」とありますから、この実証結果をぜひとも次のSCiB電池搭載車に生かしてほしいものです。
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 (パンタグラフ式充電装置:東芝インフラシステムズHPより引用)
 

日産リーフに関心がある人や購入を検討中の人に、「リーフ」についてより理解を深めてもらうためのサイト「NISSAN LEAF Q&A Real Owners. Real Answers.」で公式アンバサダーをやっている方からの情報です。

新型日産リーフの発表・発売に伴い、Real Owners. Real Answers.のサイト更新を一時休止するため、「日産リーフ 公式アンバサダー」の委任も8月31日をもって終了するそうです。

新型「リーフ」は9月6日に公開されますが、電池容量をはじめとしてプロパイロット導入など今までのリーフと大きく違ってくるようですから、新型に合わせたQ&Aに作り替えるということかもしれません。

しかし、たくさんの人たちの体験・経験に基づいた貴重なデータの積み上げであり、新型になっても生かすことができる部分もあるでしょうから、ぜひとも新規のサイトで役に立ててほしいものです。 47

ジャパンEVラリー2017」が、来週の9月2日(土)10時〜13時に長野県白馬村(Hakuba47)集合で行われます。参加台数はわかりませんが、当日は朝から参加する電気自動車で周辺の急速充電器や、特にNEXCO中日本の中央自動車道、長野自動車道にある急速充電器が混雑するかもしれません。

また、翌3日(日)は、13時30分にHakuba47で解散、または4日(月)15時30分にフォーラム終了で白馬村から帰宅する車でも、急速充電が混雑するかもしれません。 

該当する日時に周辺で旅行や仕事を予定されている方は、あらかじめ十分な余裕をもって移動されることをおすすめします。

将来をにらんだ電気自動車のニュースは日ごと増えていますが、あまりにも乱立してきたために前後関係が混乱してきました。そこで、今ある予想記事を時系列に整理してみました。ただし、これらはすべてあくまでも「予定」であって実現するかどうかは「未定」です。(初出2017/08/18、更新2017/08/30)

朝日新聞(社説)自動車の未来 試される変革への対応(2017/08/20)の中で、この変革の時代に「どんな製品が主流になるかを最後に決めるのは消費者だ。その利益を守りつつ、社会が望ましい方向に向かうよう環境を整えることが行政の役割である」と結んでいました。


(2017年)

◯日産  新型「リーフ」は9月6日初公開(2017/06/30)

(2018年)

FOMM <クルマ革命>「飛ぶ」「泳ぐ」未来そこに(2017/08/21)
  • 2018年末夏ごろに超小型EVをタイで量産開始
◯現代自動車 2018年前半に1充電で390キロメートル走るSUVを発売(2017/8/17)
  • 航続距離が500キロメートルのEV開発に着手
◯ジャガー・ランドローバー ミドルサイズSUVの電気自動車を2018年後半市販化(2017/08/19)

◯日産 の中国合弁会社「様々なタイプの電気自動車を積極投入する」(2017/08/14)

◯ホンダ  Meeting 2017 代表取締役社長 社長執行役員 八郷 隆弘 スピーチ骨子(2017/06/08)
  • 2018年に中国専用電気自動車モデル発売
◯ドイツ 電気自動車への移行で大規模投資必要=首相(2017/05/22)
  • ダイムラーは、2018年半ばでにリチウムイオン電池の操業を開始
◯ロシア 2018年に電気自動車工場の建設がスタート(2017/04/12)


(2019年)

◯ルノー、東風、日産(中国)投資有限公司 が設立する「eGT」(eGT New Energy Automotive Co., Ltd.)は、電気自動車を2019年に生産開始(2017/08/29)

◯フィスカー 一気に640㎞走行可能な電気自動車を2019年から生産(2017/08/14)
  • 9分で160㎞分のバッテリー充電、価格12万9,900ドル(約1440万円)
◯トヨタ 中国で電気自動車の量産に乗り出す(2017/08/14)

◯ボルボ 2019年以降にエンジンのみを搭載した車の生産を終了(2017/07/05)
  • ボルボ・カーズは全ての車にモーターを搭載
◯インド マヒンドラ、EV生産能力2倍に 最大月1000台(2017/5/24)
  • 2019年には1充電で最大350キロメートルを走る新型車を投入
◯テスラ 2019年後半か2020年までにModel Yを発売(2017/05/09)


(2020年)

◯フォルクスワーゲン 2020年にVolkswagen I.D.の発売(2017/08/08)
  • 価格は3万〜3万5000ドル、航続距離は約250〜300マイル(約400キロ~480キロ)
◯アウディ 市販EVを3車種ラインナップする(2017/08/24)

◯トヨタ 全固体電池搭載のEV発売へ 数分で充電、22年国内(2017/07/25)
  • 2020年にオリンピックモデルの電気自動車を大会で使用
  • 「全固体電池」を搭載した電気自動車を、2022年にも日本国内で発売する方針
◯ドイツポスト 配送用「自家製EV」を試し乗り(2017/06/14)
  • 2021年をめどに約47,000台の配送車のほぼすべてを電気自動車に切り替える
◯三菱 新EV発売へ 20年めど、アイミーブ後継の軽(2017/06/09)
  • 販売中の軽のEVより価格を抑える
◯GSユアサ EV電池 走行距離2倍 ガソリン車並みに(2017/08/08)
  • 1回の充電で走れる距離を2倍に伸ばす新型電池の量産を2020年にも開始
◯フォード 新しいSUVを2020年に発売(2017/05/18) ◯日立造船 全固体リチウムイオン電池を開発、車載用に2020年に製品化(2016/03/04)



(2022年)

◯フォルクスワーゲン ワーゲンバスが電気自動車となって帰ってくる! フォルクスワーゲン、「I.D. Buzz」を2022年に発売すると正式発表(2017/08/23)
  • ベースは「I.D.」で、レベル3の自動運転技術を採用
  • 主なターゲット市場は、北米・欧州・中国で、商用のカーゴバン・モデルと乗用モデルの両方投入 
  • コンセプト・モデルは、新欧州ドライビングサイクルに基づく航続距離600km


(2025年)

イーロン・マスク氏が予想する「自動車業界に起こる3つの大きな変化」(2017/07/19)
  • おそらく10年後(2027年)のアメリカでは、新たに生産される自動車の半分以上がEVに」
    「ブルームバーグ・ニュー・エナジー・ファイナンス」は、 2025年には「EVの価格は、従来のガソリンエンジン車と同程度に」
◯ホンダ 欧州での電動化ビジョンを発表(2017/03/07)
  • 2025年をめどに欧州四輪販売数の3分の2を電動車両(ハイブリッド、プラグインハイブリッド、バッテリーEV、燃料電池)に置き換える
◯アウディ 新車販売の3分の1をEVにする(2017/08/24)

◯オランダ 電気バス完全走行プロジェクト、2025年は全土に (2016/06/06) ◯ノルウェー ではなぜ電気自動車普及が成功したのか?(2017/06/01)
  • 2025年以降は、従来のガソリンおよびディーゼル車の新規登録廃止を目指す


(2030年)

◯マレーシア 電気自動車の成長加速、30年までに本格導入(2017/08/16)
  • 2030年までに電気自動車登録台数10万台、充電器12万5,000カ所
◯インド 電気自動車のみ販売へ 2030年までに(2017/06/04)
  • 2030年までに同国内で販売する自動車を全て電気自動車に


(2040年)

◯イギリス ガソリン・ディーゼル車の販売禁止 40年までに(2017/07/26)
  • 2040年までに国内でのガソリン車とディーゼル車の販売を禁止
◯フランス 40年めどガソリン車販売禁止 政府、ディーゼルも(2017/07/07)
  • 2040年頃(まで)に国としてガソリン車とディーゼル車の国内販売を禁止

『アウトランダーPHEV』『i-MiEV(アイ・ミーブ)』 96台をジョージア政府向けに供給へ(2017/08/22)

三菱は、2018年1月頃、ジョージア政府(旧グルジア)に『アウトランダーPHEV』と『アイ・ミーブ』を 51台供給すると発表しています。車両は公用車として使用されるそうですから、ジョージアでもCHAdeMO方式の急速充電器ができるのでしょう。

2014年12月には、同じようにペルー政府へ『i-MiEV』『アウトランダーPHEV』を納入と書いていますから、このような事業は継続されているようです。

それにしても、月に10台前後しか国内で販売されていないアイミーブが、その5ヶ月分も一度に売却され、それが海外で活躍するのですから、日本でも注目してほしいものです。5034-1
(画像:三菱HPより)

全固体電池を大幅に安く、東工大が新型電解質材料(2017/08/21)

東京工業大学の研究グループは、全固体電池の製造コストを大幅に引き下げる新しい電解質材料を発見したと報じています。

先日、EV電池 走行距離3倍?(2017/08/21)と電池の話題を書いたところですが、全固体電池の開発も進んでいるようです。
 
全固体電池の電解質材料は、液体電解質を用いるリチウムイオン電池を上回る「充放電速度」を得られるために、「数百km走行可能な電気エネルギーを数分間で充電できる」そうですが、「数分間」というところが理解できません。同じ液体電解質を用いるリチウムイオン電池でも、東芝の電池「SCiB」は「充電速度」が速いように、ものによって性能に差が出ることは知っていますが、「80パーセント30分」といわれていた充電時間が「数分間」とは驚きです。しかし、実現できれば電気自動車のデメリットがまた一つなくなります。

日産 リーフ、伊フィレンツェ市のEVタクシー入札を受注(2017/08/19)

フィレンツェ市にリーフのEVタクシーを納車したとの記事です。(「受注」とのタイトルになっていますが「納車」のほうが適当かもしれません。また、記事では8月16日に日産が発表となっていますが、日本の日産のニュースリリースには、21日現在、記載はありません)

受注は2016年にしていたそうですから、9月にある新型リーフの発表直前の時期になってしまったのも致し方ないのかもしれません。

電気自動車のタクシー利用は、その活用方法から一回の充電で走ることができる走行距離が一番問題になります。また、急速充電を繰り返したり、走行距離が伸びたりしてくると電池の劣化も早まります。 さらに、フィレンツェは最高気温38~40度になることもあるそうですから、電池の充電には過酷な環境にも遭遇しそうです。

それらへの対策をキチンと行っていないと、日産ばかりでなく電気自動車への評価が落ちてしまうことにならないか心配してしまいます。 

電気自動車の心臓部である「蓄電池」の話題を2つ

EV電池 走行距離2倍 GSユアサ、ガソリン車並みに (2017/08/08)

GSユアサは、一充電走行距離を2倍に伸ばす新型電池の量産を2020年にも始めると報じています。

私が電気自動車に乗っていて一番多く聞く質問は、「どれくらい走ることができるの?」という距離に関するものです。私の軽アイミーブや電トラでは100キロ程度ですから、そのままを答えると「あ、そう」という感じで話が続きません。走行距離が100キロでは話にならないという認識です。私がいくら1日の走行距離は100キロまでですよと言おうが、6年間・7万3千キロを走ってきた経験や実績を話そうが、前提として100キロはいくら何でも短すぎると聞く耳を持ってもらえません。

その点、電池の容量が増え、一回の充電で走行できる距離が伸びることは、電気自動車普及の一番の売りとなるでしょう。

三菱は日産の傘下に入ったため、今後採用される電池が今までのメーカーと同じになるかは定かではありませんが、記事では「(アイ・ミーブのように)電池の搭載スペースが限られる小型EVでも現行の大型EV並みの走行距離を実現」と、この電池がアイミーブXグレードの後継車種に引き続き採用される様な書き方をしています。実際、2020年に予想されている「新EV発売へ 20年めど、アイミーブ後継の軽」という情報とも重なりますから、現実のものとなるかもしれません。

(この情報は、よこよこさんのシャリオとi-MiEVの2台でハイブリッド!からいただきました)

(記事中の「EVは充電設備の少なさが普及の課題」と相変わらずの認識は気になりましたが)



もう一つは、北陸先端科学技術大学院大で放充電容量を飛躍的に高める電極の被膜が開発され、今の電池でも走行距離を約1.5倍に伸ばすことができるという記事です。

EV走行距離 1.5倍にアップ リチウムイオン電池で新手法(2017/08/18)

GSユアサの技術とは別領域ですから、それを組み合わせることができれば、走行距離を単純計算で3倍に伸ばすことができます。三菱の「アイ・ミーブ」Xグレードの走行距離172キロメートルが、516キロメートルにも伸びることになるということです。

リチウムイオン電池の性能は上限に近づいてきている。次の有望な技術は、全固体電池だと言われていますが、既存の技術の延長で、しかも「量産化が実現すれば、生産コストも従来品と変わらない」とすれば、リチウムイオン電池もまだまだ生き残ることができそうです。

くしくも2020年というと、トヨタが「全固体電池搭載のEV発売へ」としている2年前です。  

[牧野茂雄の自動車業界鳥瞰図] 欧州の「EV待望論」をどう読むか(2017/08/12)

記事の中でいくつか気になる文があったので取り上げておきます。 (記事は1ページ目だけが公開されており、続きを読むには会員登録(無料)が必要)
日本の電力事情は原発ゼロである
記事の日付である8月12日現在5基、九州電力川内原発1・2号機と四国電力伊方原発3号機、 高浜原発3・4号機が稼働しています。
家庭に供給される直前で最終的に100Vに落とす……という一連の手順を減ると、ここだけで少なくとも20%のロスが発生する。そうして得た家庭用100Vを200V以上に昇圧してEVに充電し、EV内に蓄電し放電する
わが家は約20年前に建てていますが、一般的な住宅と同じように100Vと200V両方入っており、200Vの電気自動車用コンセントをつける前、200Vはエアコンや食洗機用に使われていました。通常のブレーカーには、赤、白、黒の三色の電線が繋がれており、昇圧することなく赤と黒の線を繋ぐと200Vの電圧が掛かるようになっています。

最初の方にある「すべての郵便車をEVに切り替えた欧州の小都市でも、EV郵便車の充電にはシフト制が敷かれている。同時に充電する台数を制限しているのだ」もよくわからない文です。想像ですが、一つの郵便局内に20台の電気自動車があったとして20台すべての車を同時に充電しようとすると、契約容量をオーバーしてしまうので、たとえば10台ずつといったシフト制を敷いているだけで、他の場所にある郵便局でもそこの契約容量をオーバーしなければ同時刻に充電できます。 

「自動車技術情報サイト」という「技術」をうたう記事であっても「技術」的に首をかしげざるを得ないところ満載です。電気自動車が増える=電気が足らなくなる=原子力発電が必要になる=電気自動車には原子力発電の再稼働が必要というふうに結びつけたいかのようです。

ちょっとデータは古くなりましたが、電気自動車と電気の関係についてはEVのデメリット(2013/06/29)に以下のような項目でまとめてあります。その頃よりも確実に省エネ機器が広まっていますから、全体として消費電力は少なくなってきており、現在動いている5基の原子力発電所が稼働していないときでも停電は起こらなかったことは周知の事実です。

8) 「節電」中に「電気」を自動車に使っている(電気代がかかる)
9) 電気も石油資源で作っている
10)EVの普及がすすめば原発が必要になる
(EV1台が1時間で必要とする電気量は 200V×15A×1h=3kWh)もし,東京電力管内だけにEVが100万台があったとしても,東電の火力発電所だけで約3277万kW(1 時間発電して3277万kWh,8時間で26216万kWh)の発電能力があるそうですから,その10%ほど電力消費量が増えることになります。しかし,この電力消費量なら、比較的発電能力に余裕のある時間帯(23時〜翌朝)での充電ですから負荷はかからないでしょうし,発電能力内ですから発電所を増やす必要もありません。ですから「原発」は全く必要としないといえます。
ただ,電力会社は新たにEVへの充電のために発電しなければならず,その分コストが上がってしまうでしょうが,日本の国として考えた場合には(9)に書いたように7分の1ですむことになります。
(加筆)
また、以下の私のブログでも「電気自動車の普及と「原発再稼働」とを結びつけたがる人はいるのですが、冷静に計算すれば、原子力発電を必要としないことは明らかです」と書いています。 EVのデメリットの一つとして自虐的に「EVの普及がすすめば原発が必要になる」と最初に書いたのが2012年ですから、その頃から5年たってもデータの更新はなされていないということのようです。いずれにせよ、あいまいな「情報」に左右されることなく,冷静にどのようになるかこれからも判断していきたいです。

EVの増加は電力不足をまねく?(2016/12/31)

花盛りのEV デンソーが慌てない理由(2017/08/15)

部品メーカー国内最大手デンソーの電動化への対応を取り上げながら、電気自動車をとりまく状況を記事にしています。(有料会員限定記事ですが、登録すると月に10本まで無料閲覧できます)

記事の中でいくつか気になる文があったのですが、一つだけ取り上げておきます。
EVが普及する条件として「1回の充電で500キロメートルの走行が可能なこと」が指摘されている。
距離を検討する以前に『誰』が上のように「指摘」しているのかも問題ですが、電気自動車普及の大きなポイントとなるのは、確かに「電池の性能向上」つまり一充電走行距離が伸びることです。しかし、現在のガソリン車と同じような距離が必要でもないでしょう。

4年前に書いた「EVのデメリット」の中で「2) 走る距離が短い」を取り上げましたが、その中でJC08モード約228キロメートルの日産リーフ(24kWh)で「あと100キロ走れば買うのにと言う人がいます」と書いています。(これにも主語がありませんが)300キロメートル走るというと「あと100キロ」といい、400キロメートル走るというと「あと100キロ」というふうに、今も昔も電気自動車に対するハードルを徐々に上げるやり方は変わっていません。

500キロメートル必要という人には、強がりにしか聞こえないでしょうが、私の乗るJC08モード120キロメートルのアイミーブMグレードでも、普段使いに不便さは感じていません。一充電距離100キロでも短いと考えるかどうかは使い方・考え方によるでしょう。携帯電話のように帰宅後にコンセントを差し、出かける朝に満充電になっていれば、短い走行距離でも日常使いには十分です。

EV時代へ賭けた「敗者」 ゴーン氏「HV投資はムダ」(2017/08/13)

ハイブリッド車を支える「系列」部品メーカーとのつながりを重視するトヨタに対して、「トヨタに勝てない」日産の選択肢は部品数の少ない電気自動車だったという記事です。(全文を読むには登録する必要がありますが、一日一記事であれば無料です)

表中にアイミーブを「世界初の量産EV」として取り扱っていることは評価しますが、記事の中でいくつか気になる文がありました。

「益子氏は「新しい挑戦が再生の力になると思った」と振り返る。三菱は16年、日産の傘下へ。きっかけは燃費不正問題だが、EVへの思いもゴーン氏と益子氏を結びつけた」

発売後や特に現在のアイミーブの取り扱われ方を見ていると、「EVへの思い」が本当にあるのか疑問に思います。アウトランダーPHEVが少しばかり売れたものだから、楽な方へ傾いてしまった気持ちもわからなくはありませんし、月に10台前後しか売れない車をいまだにラインナップに残していることが「思い」をあらわしているのかもしれませんが。

日産の西川広人社長は「利用者の声を聞いてきたことも強みになる」
電池の劣化問題に関しては、胸を張って「利用者の声を聞いた」と言えないかもしれません。

EV大転換(上)海図なき戦いだ 欧州発ドミノ トヨタ走らす(2017/08/09)

100年を超えて続いてきたエンジン車から電気自動車へのシフトの波が、海外から押し寄せてきているという記事です。

ここで気になる言葉は「3カ月で試作車」です。このような短期間で「車」ができてしまうことは、長い年月かけて技術を積み上げてきた自動車メーカーにとって、電気自動車は脅威でしかないでしょう。これからは、モーター制御、その味付けこそが腕の見せ所となるのでしょうが。

3種類の車を比較し、味付けの違いをレポートしているのが、以下の記事です。
【試乗記】3つのパワートレインを持つクラリティ。走る喜びを感じたいならEVを選ぶべき理由(2017/08/10)

ホンダが作った「クラリティ」は、同じ車体を元に、燃料電池モデルと電気自動車、プラグインハイブリッドの3モデルがあることから、実現した試乗記です。
その中で筆者は、『クラリティ・エレクトリック』を押していますが、その理由はくしくもテスラが選ばれている理由でもあります。ですから、同じ電気自動車分野の車としてテスラ車の価格が高いといっても、より加速感があって一充電走行距離が長ければ、選ばれるのはおのずとどちかハッキリしています。

充電設備補助金 公募申請 7月末日採択結果のお知らせ(2017/08/09)pdf

次世代自動車振興センターが2017年7月末の補助金申請の採択結果を上のように公表しています。お住まいの県内に新しく充電器が設置されるかもしれません。ぜひ、お確かめください。

経路充電は、今回もそのほとんどが「道の駅」ですが、目をひくのが、今年度末頃までに完成予定の「新名神高速道路」高槻JCT~神戸JCT間に位置する「宝塚SA上・下線」です。
ただしそこには、東名や新東名・名神高速など既存のSAやPAの名前はありませんから、2台目3台目でしかも150kwの新世代・超急速充電器の設置はまだ先のようです。

目的地充電は、「イオンモール」関係の多さが目をひきます。
滋賀県の「イオンモール草津」は、すでに急速充電器が2基、普通充電器が1基ありますが、さらに増設するようです。私も経験がありますが、ここは充電渋滞していることが多いからなのでしょう。そういった点から他も確認してみると、愛知県の「イオンモール長久手」も増設でした。そのほかは確認していませんが、渋滞頻度によって増設を申請いるところも多いことでしょう。

マンション及び事務所・工場等では、日産関連が目立ちます。9月に発表される新型リーフに備えてでしょうか。
この項目の対象は、「基礎充電」ということで200Vコンセントだと思うのですが、中に「トヨタ自動車 本社 従業員駐車場」という文字もあります。そこに他社の車はとめられないでしょうから、プリウスPHVを買った従業員のために設けるのでしょう。

日産販売、日産自動車および日産レンタカーの各事業所に設置されている充電スタンドの夏季休暇期間中の稼働状況を見ることができます。(8月3日時点)

「関西」だけを見ても、ほぼ全部といってよいほど全日稼働していますが、ごく一部は動いていないところがありますので、ご注意ください。以前は、このような情報に注意したものですが、現在は稼働していない所のまわりに24時間運用の多数の充電器がありますので、この時期の移動にもほとんど心配はありません。

充電ポイントを探す | MITSUBISHI MOTORS JAPAN.

三菱は、上記の全国地図から都道府県を選択して、各充電器の「24時間稼働」でご確認ください。

コメントいただいたように、上記のような一覧表からは期間中のトラブルはわからないため、以下のような充電器検索サイト・アプリでご確認ください。

JAFに聞いた 自動車は「水深何センチ」で動かなくなるのか(2017/08/07)

台風5号が通過していますが、状況を伝えるテレビでは冠水路を走る車がよく映ります。記事によると、そういう時にJAFに寄せられる救援要請の中で最も多いのが「冠水車両の牽引」だそうです。

電気自動車はもちろん電気を使って動いていますから、「感電」や「漏電」の心配をされるかもしれませんが、下の動画にあるように対策を施し、安全なことが確かめられています。

それでも水が深いところは、走らないほうが無難です。

(日産リーフ 冠水路走行テスト)

コメントにいただきましたが、FOMMのように「水に浮く超小型EV」もあります。

水に浮く超小型EV>(2016/12/26)
 

トヨタとマツダ、業務資本提携に関する合意書を締結(2017/08/04)

トヨタもマツダも
(2017/08/05)でわからないと書いていた合意の詳細がPDFでありました。これによると、合意内容は以下の4点で、NHKが当初予想した「燃料電池車」の技術提供はなかったため、最終的にニュース原稿から「燃料電池車」は外されたようです。
  1. 米国での完成車の生産合弁会社の設立
  2. 電気自動車の共同技術開発
  3. コネクティッド・先進安全技術を含む次世代の領域での協業
  4. 商品補完の拡充
この合意書の中には、電気自動車の「共同開発の詳細は今後、検討」とありますが、記者会見の中で、豊田社長は「軽自動車から乗用車、SUV、小型トラックまで幅広い車を視野に技術開発を進めていきたい」と述べたそうです。

テスラを始めほとんどのメーカーでは、電気自動車を立ち上げるにあたって乗用車やSUVのものを先行していますが、最初から軽から小型トラックまでと幅を広げるところは、トヨタらしいと言えるかもしれません。(三菱は軽から)そうとはいえ、2020年の東京オリンピック・パラリンピックにあわせ提供されるという、特別モデルの電気自動車は「会場や選手村周辺で大会関係者や要人の送迎などに活用する」とみられていますから、トヨタといえども初の電気自動車は、乗用車タイプになるのでしょう。 ただし、今まで取り組んできた超小型EVのi-ROADやトヨタ車体のコムスの位置づけはどうするのかが気になりました。

この他にもトヨタとマツダの業務資本提携にかかわっては、たくさんの記事が流れてきました。その中のトヨタとマツダ、尖ったEVつくれるか(2017/08/05)では、トヨタには電気自動車の実績はほとんどないと書きながらも、マスコミの側にも電気自動車に関する情報の蓄積がさほどないことをくしくも示していました。

記事の中でマツダは「エンジンを得意とするものの、EVに積極的ではなく、その分野の技術の蓄積がない」と断定しています。しかし、前回書いたように電気自動車に対して消極的な割には2012年には、20kWhのリチウムイオン電池を積み、一充電走行距離200kmの「デミオEV」をリースながらも販売してきた実績がありますし、2013年にはロータリーエンジンを搭載したレンジエクステンダーEV試作車を公開していますから、どこかの役所のように廃棄していなければ、走行・電池データの蓄積はたくさんあるものと想像できます。

EV市場、オセロゲームの世界に 自動車“大航海時代”近づく(2017/08/05)に書いているように海外では急に強い風が吹いてきたにもかかわらず、凪の状態である日本では、日本政府のみならずマスコミも対応が追いついていないのでしょう。

重箱の隅をつつくようなことを書いていますが、なにはともあれ、いずれトヨタやマツダが電気自動車を国内で発売するときには、それぞれの営業所だけでなく、関連する自動車販売店や工場などに急速充電器は設置せざるを得なくなるでしょうから、密度の濃い充電器網ができあがることを今から期待しています。 

【速報】トヨタとマツダ、業務資本提携に関する合意書を締結(2017/08/04)

トヨタとマツダは、業務・資本提携で合意したと報じています。中には、「電気自動車の共同開発」というものも含まれています。

マツダは「デミオEV」を2012年からリースながらも販売してきた実績がありますし、最近ではロータリーエンジンを搭載したレンジエクステンダーEVの開発をすすめているようですから、トヨタの狙いはその技術をトヨタの電気自動車開発に生かすことなのかもしれません。

トヨタとマツダが資本提携で最終調整 電気自動車開発など強化(2017/08/04)4:44

トヨタとマツダが資本提携 電気自動車を共同開発へ(2017/08/04)18:00

NHKニュースで気になるところがありました。4時台のニュースには、「トヨタは開発を進めている電気自動車や燃料電池車といったエコカーの技術などをマツダに提供」と燃料電池車について触れていますし、18時台の長めの原稿では、トヨタは「水素を燃料とする燃料電池車や自動運転技術など多くの最先端技術の開発を進め」と触れていますが、18時台のものを短くまとめた19時のニュースではその中に「燃」もありませんでした。しかも、トヨタの「最先端技術」は燃料電池車であるにもかかわらず、「世界の自動車メーカーの販売競争は、今後、電気自動車や自動運転など、最先端技術の開発が勝敗のカギを握る」と締めくくられる始末です。

合意の詳細はトヨタやマツダのHPにはなくわかりませんでしたが、合意内容に「燃料電池車」の単語がないのか、NHKの原稿ではなくなってしまっていました。19時のニュースの出だしから、「次世代のエコカーとして今、需要の拡大が見込まれているのが、こちら電気自動車です」と断定的でしたから。

もうひとつ18時のニュースで注目したのは、世耕経産大臣が述べた次のような言葉です。「電気自動車、プラグインハイブリッド車、燃料電池車という次世代の車がバランスよく普及するよう、政府として技術開発への支援や購入の際の補助金などを通じて後押ししたい」

プラグインハイブリッド車や燃料電池車も応援したいのですが、言葉のように「バランス」が大切なので、「購入の際の補助金」も今年度のようなプラグインハイブリッド車偏重ではなく、公平にお願いしたいものです。

補助金受付は5月29日(月)頃から(2017/05/12)

ホンダ クラリティ EV、米国で販売開始(2017/07/03)

アメリカンホンダが『クラリティ・エレクトリック』の販売を開始したと報じています。

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(引用:ホンダHP)

テスラモデル3が納車され始めたばかりですから、どうしても比べてしまうのですが、その仕様を見るとホンダ副社長がいう言葉「電動化の加速は感じるが、我々の戦略に変わりがない」に間違いはないのかと心配してしまいます。

以前にも書きましたが、後出しなのにその電池容量はたった25.5kWhです。モデル3は詳細を発表していませんが、その航続距離からするとスタンダードタイプでさえ60kWhであろうと予想されています。しかもクラリティ エレクトリックは、現行リーフの30kWhより少なく、24kWhのタイプよりも少し多いだけです。そのリーフも9月に40kWhとも60kWhとも噂されている新型を発表しますから、ホンダは電気自動車を売る気がある設定なのかはなはだ疑問です。

クラリティ エレクトリックは「お求めやすい価格」として、リース料金を269ドル/月(約3万円)としています。リース契約は3年ですから、3年間での支払いは108万円となります。クラリティ PHEVは3万ドル台半ば(300万円台後半)だそうですから「お求めになりやすい」価格といえそうで、モデル3の納車待ちの間、リースで乗るという手段もあるかもしれません。最新モデルにもかかわらず、一回の充電で約130kmしか走らない電気自動車で我慢できればの話ですが。

テスラ モデル3の情報を載せたページをいくつか上げておきます。
電池容量など納車されてもなお非公表の部分もありますが、その内装や仕様に関する情報が少しずつわかってきました。

テスラ「モデル3」に乗ってみた
(2017/07/31)

テスラ「モデル3」を運転してみたら、やっぱり「テスラらしい」EVだった:『WIRED』US版レヴュー(2017/07/31)

これらの記事によると、先日予想した通り、「初期生産分を従業員に納入する」理由はソフトウェアのバグつぶしにあるようです。

テスラモデル3がついに発売・スペックなど速報(2017/08/01)

「テスラモデル3のスペック」がわかりやすくまとめられています。
筆者は、いち早く予約受付開始日に予約を入れたそうですが、それでも約1年半後の「2019年初頭の納車」になるようです。その頃には、他のメーカーもモデル3よりさらに高性能な電気自動車を出していそうですが、モデル3のレビューを読んでいると、その仕様のレベルに追いつくには時間がかかりそうです。

テスラ、量産型の新型EV「モデル3」を納車(2017/07/29)

いよいよモデル3の納車が始まりました。この記事によると、初めての30台分は「ほとんどは同社の従業員」に納車したとのことです。予約の受注数が37万台を超えている中で社員を優先するのかと日本でなら問題になりそうですが、乗っているうちに初期不良は出てくるでしょうから、クレームが表沙汰になる前にすぐに対応できるためそうしたのでしょうか。

米テスラ 新型電気自動車の納車始める(2017/07/29)
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(引用:テスラ車のHPより)

モデル3の価格は、「3万5000ドル」(約390万円)がよく取り上げられますが、これはあくまでも標準装備のみのベースでの価格です。オプションをつけていけば、そこそこ価格もつり上がるのでしょうが、テスラ モデル3のHPにはまだ詳細が記載されていません。モデルSのページには、オプションに「エンハンストオートパイロット」61万6000円などが書かれているので、それらが参考になりそうです。以下のページには、同じものか定かではありませんが「セミオートパイロット5,000ドル」(約55万円)とありましたから、モデル3の方が安く、モデルSの簡易版なのかもしれません。

テスラモーターズ 新型 モデル3 デュアルモーター駆動グレードを2018年春追加発売(2017/07/30)

記事によると、「セミオートパイロット5,000ドル」「完全自動運転オプション3,000ドル」とのことですから、両方をつけると約88万円を追加しなければなりません。すると軽く500万円近くになります。イーロン・マスク曰く「手の届く」価格だそうですが、それにしては、庶民にしてはちょっと手が届きにくくなります。
ただし、テスラのすごいところは、モデルSのページに書いてありますが、納車後にも同じアップグレードができるところです。センサー類等は工場出荷時に全車に取り付けられているようで、追加負担をすることでオプションを遠隔操作で有効にするようです。(工場出荷時に装備していることが条件)ですから、最初はベースモデルにしておいて、ボーナスが出たらオプションを追加するようなことも可能のようです。

宝くじが当たったらほしい車ですが、今注文しても納車予定は「2018年中旬以降」だそうです。

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