リンク: EV、環境性能高い車ほど優遇へ - 共同通信 47NEWS.(2016/01/09)

経済産業省が電気自動車などへの購入補助金を、1充電走行距離が長い車種ほど優遇する仕組みに変える方針を固めたと伝えています。

これまでは電気自動車等と同等のガソリン車との価格差を基に補助金額が決められていましたが、(1回の充電で)より走行可能距離が長い車種へ多くの補助金を出すということのようです。(コメントをいただいて以下、修正・追加しています)

今後は、電池に蓄えた電気だけを使う純粋の「電気自動車」は、この補助金見越して、より多くの電池を積むようになるかもしれません。また、今までは毎年補助金額が減額されていく仕組みだったために、減額分が値下げ額を上回ることが多く、実質値上げとなっていましたが、今回の改定によって、実質の値上げ幅が縮小するかもしれません。

リンク: 電気自動車ニュース: 三菱「MINICAB-MiEV」シリーズ急速充電器を標準装備に.(2015/07/29)

ただし、この仕組みには、電池容量がもともと少ないプラグインハイブリッド車(プリウスPHVアウトランダーPHEV等)もなぜか組み込まれています。ですから、エンジンを発電機がわりに使うレンジエクステンダー車のような場合も含めて考えているのかもしれません。給油しない限りは、そのような方法でも1回の充電と見なされると、ガソリンで発電する分、走行距離は長くなります。アウトランダーPHEVの場合は、燃料満タン状態で約700km走ることができますから、補助金額では有利になってしまいます。(プリウスPHVに充電する仕様はありません)

記事には、「環境性能が優れた車種の普及を目指す」とありますが、PHEVよりも電気自動車の方がCO2排出量や石油消費量を考えた場合、「環境性能が優れた車種」であることは間違いありません。にもかかわらず記事に「性能面で優れていても補助額が低いケースがある」とあるのは、カリフォルニア州やヨーロッパで予定される環境規制に合わせて出てきた多様なPHEVが念頭にあるのは間違いないでしょう。

8) 「節電」中に「電気」を自動車に使っている(電気代がかかる)(2013/06/29)

トヨタのプリウスPHVをイメージすればよくわかる構図かもしれません。ハイブリッド車のプリウスに比べ、割高であるプリウスPHVは販売が伸びていません。制度の変更により電池容量を増やしたプリウスPHVは、より多くの補助金を受けることができ、「消費者にはより安く買えるメリットがある」と同時に、「メーカーにはより高く売れ、もうかるメリットがある」ということでしょう。電気自動車に流れたくないプラグインハイブリッド車メーカー(トヨタ等)からの圧力があったのかもしれません。

私の乗る軽の電気自動車である三菱アイミーブ(i-MiEV)は、電池を10.5kWhしか積んでいませんから、一充電走行距離も短く、上のような考え方からすると不利な車ですが、毎日100キロ以上を走るような遠出を頻繁にするのでなければ、充電時間は短く、たいへん便利な車です。

先日、100キロあまりを往復しました。帰り道、残りの電池容量からすると自宅にたどり着くのが難しい状況だったので、仕方なく充電をしたのですが、充電器の数が増えた現在はそれを複数から選択することができます。帰りを急いでいたので、手続きに時間がかかる無料の所は除き、充電料金は三菱のに比べ3倍と高いながら倍の速度で入り、帰宅経路から行って入りやすい日産で充電を行いました。実際には、電池残量18パーセントから40.5パーセントまでの充電に5分弱で、帰り着くには十分な量になったので途中で止めました。

このような運用をすれば、「一充電走行距離が短い電気自動車」でも普段使いに何ら問題はありません。

300万円や400万円超もするPHEVを買うことのできる層の人々は、それなりの収入があるのですから、補助金を増やしてまで購入を働きかけるという考え方には疑問を持ちます。それよりも普段の街乗りで扱いやすい軽電気自動車が100万円ほどで買うことができる制度の方が、日本の国としてのガソリン消費量は減りますから、石油が安くなっているとはいえ、輸入に頼る日本としては求められる方策だと思います。300万円の車が1台売れるよりも100万円の車が3台売れた方が、「消費者にはより安く買えるメリットがある」のではないでしょうか。

9) 電気も石油資源で作っている(2013/06/29)

ただし、同じ記事には「充電拠点整備の支援も強化する」とありますから、12月にいったん終了した充電器への補助金(一般社団法人次世代自動車振興センター)が復活することには期待が持てます。