リンク: 電気自動車のリアルな電気代に初めて言及したエコカー書籍が出た。(clicccar) - エキサイトニュース.(関西電力と東京電力では契約に違いがあるために原稿を一部修正しています)

書いている電力会社の契約プランの中には、2019年7月現在ないものがあります。また、リンク切れになっているものも多数あります。東京電力の電気料金プランは、2019年7月現在次のようなものになっています→リンク先) 

1km走るのに1円とか2円ですよ、などという事実に反した記述が横行していたのですが、この本では1kwあたり24円計算になっています

 当ブログの「節電と電気自動車」でも書きましたが,i-MiEV Mグレードの133日間の実測値で1.42円/km走っていますから,すべてが事実に反しているわけではないでしょう。まだこの本を読んでいませんから何ともいえませんが,うちのように1kWh8.19円の関西電力のナイトタイム関西電力「はぴeタイム」)で充電しようと思うと,家がオール電化仕様でないと契約できないために,そのことに事前に触れずに誰もが「1km走るのに1円」にできるかのように書くのは「事実に反した記述」ということなのでしょう。
 関西電力では一般的な「従量電灯A」(300kWh超過分で1kWh25.65円)ですでに契約している場合,1kWh8.19円の「はぴeタイム」に変更したくてもエコキュートや電気温水器を使っていないと変えることができません。(東京電力ではオール電化でなくても契約でき,夜間の電気料金が安くなる「お得なナイト8・10」というプランもあるが,昼間の電気料金が割高になる。東京電力には「深夜電力」というプランもあるが,オール電化仕様でないと契約できない。関西電力には,東京電力のオール電化でなくても契約できるプランはない)

お得ナイト8など夜間割引を契約しても指定時間以外の電気料金が跳ね上がる上 に、余計な基本料金も増えるので、トータルで考えるとこの24円という数字に近くなります。

 ということなので,うちの場合であらためて計算してみました。走行距離も公称値ではなく実際の値ですから超リアルです(^O^)

 まずはじめに「電気ご使用量のお知らせ照会サービス」を利用して,昨年度との電気使用量の変化を比べてみました。2011年8月18日に納車になりましたし,検針日が毎月8日から11日の間ですから9月以降の使い方を見るとディタイム・リビングタイムとも同じような割合です。ですから電気契約が納車前と同じ(はぴeタイム)で生活パターンが同じなら「指定以外の電気料金が跳ね上がる」ということにはなっていません。

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 次にナイトタイム(23時〜よく朝7時)の使用量を比べてみました。深夜に充電しているのですから当然ながら昨年よりも増えています。この増えた分だけを計算したものが最初にあげた1.42円/kmですから,本書で言われるような基本料金の差額は考慮していませんでした。そこで毎月の差額を出してみると以下のようになります。(オール電化契約容量:10kVA マイコン 5kVA)

はぴeタイムの基本料金従量電灯Aの基本料金=2,100円ー320.25円=1779.75円

 ただし,従量電灯Aにはないオール電化のための割引プラン「はぴeプラン割引」(関西電力)というのがあり,基本料金と電力量料金全部(ディタイムからナイトタイムまで)を合わせたものの10%が毎月引かれています。記録にある2011年10月から12月までの平均額1138.87円を1779.75円から引くと1ヶ月の差額は以下のようになります。

1779.75円ー1138.87円=640.88円

 検針期間と実燃費を計算した期間(2011年8月18日から12月28日)にはズレがありますが,期間を4ヶ月間とすると640.88円×4=2563.52円を最初の1.42円/kmと出した計算式にあてはめてみます。

4ヶ月間の電気料金+基本料金の差額=6286.376円+2563.52円=8849.896円

電気料金÷走行距離=8849.896円÷4428km=約2円

ということでうちの場合は「1km走るのに1円とか2円ですよ、などという事実」にあてはまりました。

 本書を読んでいないのでハッキリとしたことは言えませんが,最初に書いたように関西電力の場合には一般的な「従量電灯A」の契約から東京電力でいう「深夜電力」などへ変更することは,オール電化住宅にリフォームでもしない限りできません。オール電化住宅であれば最初から「お得ナイト8・10」や「はぴeタイム」契約でしょうから,「基本料金の差額」を考える必要もないでしょう。それぞれの契約で1kmあたり何円,1kwhあたり何円と示せばよいのではないでしょうか。なにも一つにまとめる必要はないのです。

1kwあたり24円という金額で電気自動車の電気代を表記する。これはある意味、電力系の方々の嘘を暴いているともいえる数値算出です

 EVが出始めた初期の頃には,深夜電力などいわゆる安い電力料金のみで電費を計算した広告・宣伝が見られましたから,こういう意見は間違いではないでしょう。

 ですが,大切なことは「ウソ」だと切り捨てることではなく,「ユーザーにとっては本当の意味で電気自動車がどういうものなのか、ということをわかりやすく伝える」ために,「はぴeタイム」契約ならこれくらい,一般的な契約ならこれくらいという「事実」を伝えることではないでしょうか。

EVは深夜電力が使えない(CORISM)2010/12/23